オフィスカジュアルのベスト|ジャケットの代わりになる日、ならない日

**今日の予定表を開いてみてください。いちばん硬い予定は、社内の打ち合わせですか。それとも、来客の応接や、社外への訪問ですか。**ベストがジャケットの代わりになるかどうかは、この答えと、手持ちのベストの硬さで決まります。
ベストは、ジャケットより軽く、座ったまま一日過ごしても肩が凝りにくい上着です。秋口の、ジャケットでは暑くシャツ1枚では心もとない時期にちょうどいい。ただ、ジャケットの代わりに着ていくと、場面によっては「今日は上着を忘れたのかな」と見えることがあります。
この記事では、**ベストの硬さを5点で数えて、その日の予定の硬さと組み合わせて決めます。**ベストを着るときのVの底の位置や着丈の決め方はジレのオフィスカジュアルに、ニットベストの重ね方はニットベストコーデにまとめてあります。
結論:代わりになるのは、社内の日と、座って話す来客まで
| その日のいちばん硬い予定 | ベストで足りるか | 条件 |
|---|---|---|
| 社内の人だけ、自分の席で過ごす | 足りる | 硬さ2点以上 |
| 社内の会議で、座って発言する | 足りる | 硬さ3点以上 |
| 来客を応接室で迎え、座って話す | 条件つきで足りる | 硬さ4点以上 |
| 社内外の人の前で、立って説明する | 足りない | ベストの上にジャケット |
| 社外を訪ねる、式典に出る | 足りない | ジャケットを主にする |
**迷ったら、その日のいちばん硬い予定に合わせてください。**午前が社内だけでも、午後に訪問があるなら、ジャケットを持って出ます。
ベストで足りない日があるのは、ベストが悪いからではありません。ジャケットとベストでは、相手の目に入る線の数が違うからです。その違いを先に押さえておくと、点数の意味が分かりやすくなります。
ジャケットとベストで違うのは、肩の線と袖の線
ジャケットは、肩先に縫い目があり、そこから袖が手首まで続きます。相手から見ると、顔の左右に硬い横の線が1本ずつ、そこから下へ縦の線が2本入っています。これが、ジャケットを着た人がきちんと見える理由の大部分です。
ベストには、この肩の線と袖の線がありません。身頃だけなので、縦の線は前立てとVの縁にしか入らない。だから、ベストで硬さを出すには、肩と袖の線を中のシャツに担わせる必要があります。
| 見える場所 | ジャケット | ベスト |
|---|---|---|
| 肩先の横の線 | 縫い目と肩の芯で出る | 出ない(中のシャツ次第) |
| 腕に沿った縦の線 | 袖が担う | 中のシャツの袖が担う |
| 首元の線 | 襟とラペル | Vの縁と、中のシャツの襟 |
| 前の縦の線 | 前立てとボタン | 前立てとボタン(ニットは弱い) |
| 生地の表面 | 織りで平ら | 織りなら平ら、ニットは凹凸 |
| 脱いだときの姿 | 中の1枚だけになる | 脱がないで過ごせる |
| 座ったときの形 | 前が開き、肩が浮きやすい | 身頃が体に沿い、崩れにくい |
| 暑さ・寒さの調整 | 脱ぐか着るかの2択 | 着たまま1段だけ調整できる |
表の下の2行は、ベストのほうが得意な場所です。長い会議で座っているとき、ジャケットは前がはだけて肩が浮くことがありますが、ベストは身頃が落ち着いたまま保てます。座って過ごす時間の長い日ほど、ベストの良さが出ます。
その日の硬さを5段で数える
先に、その日の予定の硬さを段で置きます。段は、会う相手と、自分が座っているか立っているかで決まります。
| 段 | その日のいちばん硬い予定 | 相手が見ている距離 |
|---|---|---|
| 1 | 自分の席で作業、同じ部署の人と話す | 1〜2m、横から |
| 2 | 社内の会議で座って発言する | 机を挟んで1.5〜3m |
| 3 | 来客を迎えて応接室で座って話す | 机を挟んで1〜1.5m、正面から |
| 4 | 人の前に立って説明する | 3〜10m、全身が見える |
| 5 | 社外を訪ねる、式典・表彰に出る | 相手の場所で、正面から |
段3と段4の違いは、立つか座るかです。座って話すとき、相手に見えているのは机の上の胸から上だけなので、中のシャツの襟と袖口がそのまま印象になります。立つと、ベストの裾と、その下のボトムスまで全身が見えるので、肩の線がないことが目立ちやすくなります。
手持ちのベストを5点で採点する
次に、手持ちのベストの硬さを数えます。1項目1点、合計5点です。ベスト単体ではなく、その日に中に着るシャツと組んだ状態で数えてください。
| 項目 | 1点になる条件 | 0点になる状態 |
|---|---|---|
| 生地 | 織りの生地(ウール・ポリエステルの平織りなど) | 編み地のニット |
| 前の留め方 | ボタンで前を留めている | 前開きでボタンなし、またはかぶり |
| 色 | 紺・チャコール・黒・焦げ茶・濃いグレー | 生成り・ベージュ・明るい色・柄 |
| 中の首元 | 襟のあるシャツやブラウス | 襟のないカットソーやニット |
| 中の袖 | 長袖で、袖口が手首の骨にかかる | 半袖・七分袖・まくった袖 |
採点のときに迷いやすいのは、色と生地です。**色は、白い紙の上に置いて、紙との差がはっきり大きいものを「濃い」とします。**生地は、指で表面をなでて、編み目の凹凸を感じるかどうかで見分けます。
点数と段の組み合わせ早見表
5点と5段を組むと、ベストで足りるかどうかが1枚で見えます。
| 硬さの点数 | 段1 席で作業 | 段2 社内会議 | 段3 来客の応接 | 段4 立って説明 | 段5 社外・式典 |
|---|---|---|---|---|---|
| 5点 | 足りる | 足りる | 足りる | 上にジャケット | ジャケット主体 |
| 4点 | 足りる | 足りる | 足りる | 上にジャケット | ジャケット主体 |
| 3点 | 足りる | 足りる | 1点足す | 上にジャケット | ジャケット主体 |
| 2点 | 足りる | 1点足す | 2点足す | 上にジャケット | ジャケット主体 |
| 1点 | 1点足す | 2点足す | ジャケット | ジャケット | ジャケット主体 |
| 0点 | 休日向き | ジャケット | ジャケット | ジャケット | ジャケット主体 |
「1点足す」は、中のシャツを襟付きにする、袖を下ろす、のどちらかで届くことが多い場所です。ベストそのものを替えなくても、中の1枚で点数は動きます。
織りのベスト(ジレ)の場合
織りの生地のベストは、はじめから生地で1点を持っています。前をボタンで留めるものなら2点、濃い色ならもう1点。ここまでで3点あるので、中に襟付きのシャツを着るだけで4点に届きます。
| 見るところ | 硬く見える状態 | 柔らかく見える状態 |
|---|---|---|
| 表面 | 平らで、光を当てても凹凸が出ない | 起毛していて、光が散る |
| 前立て | ボタンが3〜5個、縦にまっすぐ並ぶ | ボタンが1個、または紐やフック |
| Vの縁 | 縁が折り返されず、まっすぐ立つ | ショールのように丸く寝る |
| 裾 | 前がとがる、または水平に切れる | 丸く落ちる、ゴムで絞る |
| ポケット | 玉縁で、口が細い線に見える | 大きな貼り付けポケット |
| 背中 | 身頃と同じ生地 | 裏地と同じ艶のある生地 |
背中の生地が艶のある裏地になっているものは、スーツの中に着るベストの作りです。前から見れば硬いのですが、背中は椅子にもたれたときに光ります。ジャケットを脱いで一日過ごすつもりなら、背中まで表の生地で作ってあるものを選んでください。
ニットベストの場合
ニットベストは、生地で1点を持っていません。前が開かないかぶりのものが多いので、留め方でも0点になりがちです。そのままだと、濃い色でも1点です。
ここからは、中に着るシャツで点数を積みます。襟付きのシャツで1点、長袖を手首まで下ろして1点。**これで3点になり、社内の会議までは届きます。**来客の応接まで受けたいなら、前がボタンで開くカーディガン型のニットベストを選ぶと、もう1点足せます。
| ニットベストの形 | 生地 | 前 | 最大の点数 |
|---|---|---|---|
| かぶりのVネック | 0 | 0 | 3点(色・襟・袖) |
| かぶりのクルーネック | 0 | 0 | 3点(ただし襟の出し方が限られる) |
| 前ボタンのVネック | 0 | 1 | 4点 |
| 目の詰まった薄手、前ボタン | 0 | 1 | 4点(表面が平らなら見え方は5点に近い) |
| ざっくり編み、ケーブル柄 | 0 | 0 | 2点(凹凸と柄で休日に寄る) |
最後の行のざっくり編みは、秋らしく見える一方で、表面の凹凸と柄の分だけ休日側に寄ります。社内の日に楽しむ1枚として持ち、来客のある日は外すほうが迷いません。
中に着るもの|襟のあるなしで1点動く
ベストを着たとき、相手の目にいちばん長く入るのは、Vの内側に見える中の1枚の首元です。ここに自分で立つ襟が1本あるかどうかで、硬さの点数が1点動きます。
| 中に着るもの | 首元の点 | 向いている段 |
|---|---|---|
| 襟付きのシャツ(第1ボタンまで留める) | 1点 | 段3まで |
| 襟付きのシャツ(第1ボタンを外す) | 1点 | 段2まで |
| スタンドカラーのブラウス | 1点 | 段3まで |
| ボウタイのブラウス | 1点 | 段2まで(結び目が主役になる) |
| 首の詰まったカットソー | 0点 | 段1〜2 |
| タートルネック | 0点 | 段1〜2(秋冬は段2まで通る職場が多い) |
| Vネックのカットソー | 0点 | 段1(Vが二重になって首元が空く) |
| 半袖のシャツ | 襟1点・袖0点 | 段2まで |
タートルネックは襟がないので0点ですが、首元に縦の面ができるので、秋冬の社内会議なら問題なく通ります。気になるのは、ベストのVとタートルの首の間に何も入らないことで、ここが間延びすると見えたら、ベストのVが浅いものに替えてください。
袖|長袖の袖口が、手首の骨にかかるか
ベストには袖がないので、腕に沿った線はすべて中のシャツの袖が担います。袖口が手首の骨にかかる長さまで下りていれば1点、それより短ければ0点です。
| 袖の状態 | 点 | 相手からの見え方 |
|---|---|---|
| 長袖で、袖口が手首の骨にかかる | 1点 | 腕の線が手首まで続き、ジャケットに近い |
| 長袖で、袖口が手首の骨より1〜2cm上 | 1点 | 通る。机に手を置いたとき少し上がる |
| 長袖を1回まくる | 0点 | 作業中の見え方になる |
| 七分袖 | 0点 | 腕の途中で線が切れる |
| 半袖 | 0点 | 腕の線がなくなり、夏の重ね着に寄る |
袖をまくるのは、作業に集中しているときには自然な動きです。来客の直前にだけ袖を下ろして、カフスのボタンを留める。これだけで0点から1点に戻せるので、応接室に入る前の手順として覚えておくと便利です。
色|濃い色は、1段上に届く
ベストの色は、面積が大きいぶん印象を左右します。濃い色は、ジャケットの定番色と同じ側にあるので、ベストでも1段上に届きます。
| ベストの色 | 点 | 合わせる中の色 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 紺 | 1点 | 白・水色・薄いグレー | いちばんジャケットに近い |
| チャコール | 1点 | 白・水色・薄いピンク | 秋冬の社内会議に強い |
| 黒 | 1点 | 白・グレー | 表面が平らなものを選ぶ |
| 焦げ茶 | 1点 | 生成り・水色 | 秋らしさと硬さを両立する |
| ミディアムグレー | 0〜1点 | 白・紺 | 白い紙との差で判断する |
| ベージュ・キャメル | 0点 | 白・黒 | 社内の日に向く |
| 生成り・白 | 0点 | 紺・黒 | 明るく柔らかい印象になる |
| 柄(チェック・アーガイル) | 0点 | 無地の白 | 柄の大きさで休日に寄る |
ミディアムグレーは、濃い色とも明るい色とも言えない境目の色です。白い紙の上に置いて、紙との差がはっきりしていれば1点、ぼんやりしていれば0点として数えてください。
丈と、下に合わせるもの
ベストの着丈は、下に合わせるボトムスとのつなぎ目になります。ジャケットの代わりに着る日は、ベストの裾がどこで終わるかで、全身の硬さが変わります。
| ベストの着丈 | 合わせるボトムス | 見え方 |
|---|---|---|
| 腰骨の上で終わる短め | ハイウエストのパンツ・スカート | すっきり、ただし段4では軽い |
| 腰骨のあたり | センタープレスのパンツ | いちばんジャケットに近い |
| 腰骨より下、太ももの上 | 細めのパンツ・タイトスカート | 縦長で、社内の日に向く |
| 太ももの中ほどまでのロング | 細めのパンツ | ベストが主役になり、硬さより雰囲気が出る |
ジャケットの代わりに着るなら、腰骨のあたりで終わる丈が扱いやすいです。ボトムスはセンタープレスのパンツか、膝下丈のタイトスカートを合わせると、縦の線が1本増えて硬さがそろいます。
前を留めるか、開けるか
前にボタンのあるベストは、留めるか開けるかで見え方が変わります。留めると前立ての縦の線がまっすぐ通り、開けるとVの縁が2本の縦の線として残ります。
| 状態 | 段 | 見え方 |
|---|---|---|
| ボタンを全部留める | 段3まで | いちばん硬い。前の線が1本通る |
| いちばん下のボタンだけ外す | 段3まで | 座ったときに裾が突っ張らない |
| 全部開ける | 段2まで | 柔らかく、羽織りに近い |
| 前が開かないかぶり | 段2まで | 留め方の点は0 |
座って話す段3の日は、いちばん下のボタンだけ外しておくと、座ったときに裾が突っ張らず、前の形が崩れません。
秋の室温とベスト|10月から11月の端境
ベストがいちばん働くのは、冷房が止まり、暖房がまだ入らない10月から11月の職場です。シャツ1枚では朝晩が寒く、ジャケットでは日中の室内が暑い。この時期は、ベストで1段だけ調整できることがそのまま利点になります。
| 室温の目安 | ベストの生地 | 上に重ねるか |
|---|---|---|
| 26度前後(冷房の切れ目) | 薄手の織り、または薄手のニット | 重ねない |
| 23〜25度 | 薄手〜中厚の織り | 重ねない |
| 20〜22度 | 中厚の織り、目の詰まったニット | 段4以上の日だけ重ねる |
| 18〜19度 | 中厚〜厚手のニット | 段3以上の日は重ねる |
| 暖房で26度以上 | 薄手 | 上は脱げる形で持つ |
| 外が10度以下 | 何でも | 通勤はコートを上に |
秋の職場は、同じ建物でも席によって温度が2〜3度違うことがあります。自分の席の温度を一度測っておくと、ベストの厚みを選ぶ目安になります。
段1・段2の日|社内だけの日は、点数を気にしすぎない
同じ部署の人と過ごす日や、社内の会議で座って発言する日は、ベストの点数が2点か3点あれば十分です。ここは、ベストをいちばん気楽に楽しめる日でもあります。
明るい色のニットベストや、ざっくり編みのもの、柄の入ったものは、この段の日に回してください。中を襟のないカットソーにしても、社内の人とだけ会うなら困ることはほとんどありません。点数を上げる工夫は、来客や訪問のある日のために取っておくと、1週間の中で服の役割が自然に分かれます。
社内の会議で発言する段2の日だけは、中の首元に少し気を配ると安心です。会議室では机を挟んで向かい合うので、相手の目がVの内側に集まります。襟付きのシャツか、首の詰まったカットソーにしておけば、段2で困ることはありません。
段4の日|人の前に立って説明する
人の前に立つと、相手には全身が見えます。距離も3m以上あくので、細かい生地の違いは見えず、線の数だけが伝わります。ここで肩の線がないと、上半身が中のシャツだけの印象に近づきます。
**段4の日は、点数にかかわらず、ベストの上にジャケットを重ねてください。**ベストを着たままジャケットを重ねると、スーツの中にベストを着たのと同じ形になり、前を開けてもVの縁と前立てが縦の線を足してくれます。説明が終わって席に戻ったら、ジャケットを脱いでベストで過ごせます。
段3の日|来客を応接室で迎える
応接室では、机を挟んで1〜1.5mの距離で、正面から座って話します。相手に見えているのは胸から上なので、Vの内側の襟と、机に置いた手の袖口がそのまま印象になります。
硬さ4点以上なら、ベストのままで構いません。3点のときは、中のシャツの第1ボタンを留める、袖を手首まで下ろす、のどちらかで4点に上げてから入ってください。2点以下なら、ジャケットを手元に置いておき、応接室に入る前に羽織ります。
オンライン会議の日
画面に映るのは、胸から上だけです。ベストの肩の線がないことはほとんど目立たず、Vの内側の襟が見え方の大部分を占めます。
社外の人との会議なら、中を襟付きのシャツにしておけば、ベストで十分です。気をつけたいのは色の差で、白いシャツと濃紺のベストは画面で差が強く出て、白だけが明るく飛ぶことがあります。飛ぶようなら、中を水色や薄いグレーに替えると落ち着きます。
段5の日|社外を訪ねる、式典に出る
相手の場所へ行く日は、こちらの服装が相手の会社への敬意として読まれます。この日は、ベストの点数を数えずに、ジャケットを主にしてください。
ベストを中に着たままジャケットを重ねるのは構いません。移動中や訪問先でコートを脱いだときも、前が整って見えます。ただ、訪問先で上着を脱ぐよう勧められたときに、ベストがニットの柔らかいものだと、そこから急に休日寄りに見えることがあります。訪問の日に中に着るなら、織りのベストのほうが安心です。
どちらとも取れるとき①|午前は社内、午後に来客や訪問
1日の中で予定の硬さが変わる日は、朝の時点で、いちばん硬い予定に届く形を持って出ます。
午後が段3の来客なら、4点のベストで出て、午前は袖をまくり、第1ボタンを外しておきます。来客の10分前に袖を下ろし、ボタンを留める。午後が段4や段5なら、ジャケットを通勤の手に持つか、職場のロッカーに1着置いておくと、朝の荷物が増えません。
どちらとも取れるとき②|職場の誰もジャケットを着ていない
周りがみんなシャツやニット1枚で過ごしている職場では、ベストでも十分に硬い側に入ります。この場合は、点数を1段下げて考えて構いません。
ただし、来客の応接や社外の訪問の日は、相手の会社の硬さで決めてください。**自分の職場が柔らかくても、相手の職場が硬いなら、相手に合わせるのが基本です。**相手の会社の人がふだん何を着ているかは、過去に会ったときの様子や、打ち合わせの写真から分かることがあります。
どちらとも取れるとき③|手持ちのベストが3点で、段3の来客がある
3点のベストで段3を受けたいときは、足りない1点を中のシャツで埋めます。どの1点を足すかは、ベストで取れていない項目によって変わります。
| ベストで取れていない項目 | 足し方 |
|---|---|
| 生地(ニット) | 中を襟付きシャツにして、袖を手首まで下ろす |
| 前の留め方(かぶり) | 中のシャツを第1ボタンまで留め、首元の線を強くする |
| 色(明るい) | 中を紺やグレーのシャツにして、面の暗さを足す |
| 首元(襟なし) | 中を襟付きのシャツかスタンドカラーに替える |
| 袖(半袖・七分) | 長袖の中に替える。替えられないなら上にジャケット |
どうしても1点が足りないときは、ジャケットを手元に置いておけば十分です。応接室に入る直前に羽織り、相手が帰ったら脱ぐ。羽織る時間は短くても、相手の記憶に残るのは座って話した時間の姿なので、ここだけ届いていれば困りません。
入社したて・異動したての最初の2週間
職場の硬さがまだ分からない時期は、ベストの点数を高めにしておくと失敗がありません。最初の2週間は4点以上のベストか、ジャケットで出社して、周りの人の服装を見ておきます。
見ておくのは3つです。社内の会議でジャケットを着ている人の割合、来客のある日に服装を変える人がいるか、上の立場の人がどこまで柔らかい服を着ているか。周りの半分以上がジャケットを着ていない職場なら、3点のベストでも社内の日は十分だと判断できます。
鏡の前で確かめる3分の手順
ベストでジャケットの代わりにする日の朝は、次の順番で確かめてください。
| 順番 | 確かめること | 通らないときの直し方 |
|---|---|---|
| 1 | 今日のいちばん硬い予定の段を決める | 予定表を見直す |
| 2 | ベストと中の組み合わせで点数を数える | 中のシャツを替える |
| 3 | 早見表で、段と点数の交わる所を見る | ジャケットを持って出る |
| 4 | 腕を前に伸ばして、脇にしわがたまらないか | ベストのボタンを1つ外す |
| 5 | 椅子に座って、裾が突っ張らないか | いちばん下のボタンを外す |
| 6 | 横から見て、中のシャツの裾が出ていないか | シャツの裾をしまい直す |
5番目の座ってみる手順は、応接のある日には飛ばさないでください。座ったときにベストの前が引っ張られて、ボタンの間にすき間が開くことがあります。開くようなら、いちばん下のボタンを外すか、ベストのサイズを見直します。
慣れてくると、1から3までは前の晩に済ませられます。予定表を見て段を決め、ベストと中のシャツを椅子の背に掛けておく。朝は4から6の、体を動かして確かめる手順だけで足ります。
1枚買い足すなら、何点のベストを選ぶか
これからベストを1枚足すなら、自分の週の予定のうち、どの段の日がいちばん多いかで選ぶと無駄がありません。1週間の予定を段で数えて、いちばん多い段に届くベストを1枚目にします。
| いちばん多い段 | 1枚目に選ぶベスト | 理由 |
|---|---|---|
| 段1〜2が週4日以上 | 目の詰まった薄手のニットベスト、濃い色 | 中のシャツで3点まで届き、座っている時間が楽 |
| 段3が週1〜2日ある | 織りの前ボタンのベスト、紺かチャコール | それだけで3点あり、襟付きシャツで4点になる |
| 段4が週1日以上 | 織りの前ボタンのベスト、ジャケットと同じ色 | 上にジャケットを重ねたとき、色が1つにまとまる |
| 段5が月に数回 | 手持ちのジャケットと同じ生地に近いベスト | 訪問先で上着を脱いでも、前が整う |
| 決まっていない | 紺の織りの前ボタンのベスト | どの段にも1点ずつ足しやすい |
買う前に店で確かめたいのは、背中の生地と、座ったときの前の開きです。試着室の椅子に一度座って、ボタンの間が開かないか、裾が太ももに当たって持ち上がらないかを見てください。立って鏡を見るだけでは、座って過ごす一日の形は分かりません。
2枚目を足すなら、1枚目と反対側の性格にすると、週の中で着分けやすくなります。1枚目が織りの紺なら、2枚目は明るい色のニット。社内の日と来客の日で、ベストを替えるだけで段を変えられます。
スカートの日と、パンツの日で変わること
ベストの下に何をはくかでも、全身の硬さは少し動きます。点数には入れていませんが、段3と段4の境目にいる日は、ここで半歩寄せられます。
センタープレスのパンツは、脚の前に縦の折り目が1本通るので、ベストの前立てと線がつながります。上から下まで縦の線が続くので、肩の線がないぶんを縦で補えます。段3の来客の日にパンツを選ぶと、ベストでも落ち着いて見えやすいのはこのためです。
スカートの場合は、膝下丈のタイトスカートなら、ベストの裾から下にまっすぐ面が続き、パンツと同じくらいの硬さになります。フレアやプリーツのスカートは、裾が広がって動くぶん柔らかく見えるので、社内の日に合わせると気持ちよく着られます。来客の日にフレアを合わせるなら、ベストと中のシャツで4点以上を確保しておくと安心です。
よくある行き違い
| 思い込み | 実際 |
|---|---|
| ベストはジャケットより略式だから、職場では控えたほうがいい | 社内の日なら、ほとんどの職場で通る。段と点数で決めればよい |
| ベストを着れば、どんな日もジャケットはいらない | 段4と段5の日は、ベストの上に重ねるかジャケットを主にする |
| ニットベストは職場では使えない | 中を襟付きのシャツにすれば、社内会議までは届く |
| 明るい色のベストは職場に向かない | 社内の日なら問題ない。来客の日だけ中の色で暗さを足す |
| ベストの上にジャケットを重ねると古く見える | 前を開けて着れば、スーツの中のベストと同じ形で自然に見える |
| 袖をまくったほうが、ベストはこなれて見える | 作業中は自然だが、来客の前では袖を下ろすと1点戻る |
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— メグラシ編集部
よくある問い
- Q. オフィスカジュアルで、ジャケットの代わりにベストを着ていってもいいですか
- 社内の人とだけ会う日なら、ほとんどの職場で通ります。来客の応接まで受けたいなら、ベストの硬さを5点で数えてください。織りの生地であること、前をボタンで留めること、紺・チャコール・黒・焦げ茶のような濃い色であること、中に襟のあるシャツを着ていること、シャツの袖口が手首の骨にかかっていること。4点以上そろえば、座って話す来客までは代わりになります。社外を訪ねる日と、人前で立って話す日は、ベストの上にジャケットを羽織ってください。
- Q. ニットベストとジレでは、どちらがきちんと見えますか
- 同じ色なら、織りの生地でボタンのあるジレのほうが硬く見えます。ニットは編み地なので表面に凹凸があり、縁が柔らかく落ちるからです。ただ、ニットでも目の詰まった薄手のもので、中に襟付きのシャツを合わせれば、社内の会議までは十分です。来客の応接まで考えるなら織りのジレ、社内の日が中心ならニットベスト、と分けて持つと迷いが減ります。
- Q. ベストの中は、Tシャツやカットソーでもいいですか
- 社内の人だけの日なら通ります。ただ、襟のない1枚を中に着ると、ベストの硬さの点数が1点下がります。首元に硬い線がなくなり、全体が休日の重ね着に寄るからです。カットソーを合わせるなら、首元の詰まったもので、袖が手首まであるものを選んでください。半袖や七分袖を中に着ると、腕の途中で線が切れて、さらに1点下がります。
- Q. ベストを着て、上にジャケットを重ねるのは重たく見えませんか
- ベストの生地が薄く、前を開けた状態で身頃が平らに収まるなら、重たくは見えません。スーツの中に着るベストと同じ考え方です。確かめ方は、ジャケットの前を留めてから腕を前に伸ばし、脇の下と背中に布がたまらないかを見ることです。たまるようなら、ニットベストを薄手のものに替えるか、ジャケットの前を開けて着てください。
— メグラシ編集部





