洋服の流行の見分け方|古い1枚と重ねて、動いた部位を1つに絞る

流行っている服の名前をいくつ覚えても、次に振れたときには使えません。名前は入れ替わるからです。
代わりに覚えておくと長く使えるのは、服のどこが動いたかを自分で見つける手順のほうです。
そして服は、いっぺんに全部が変わるわけではありません。同じ種類の服を並べて測ると、差が出るのはたいてい1か所だけです。その1か所を見つけられれば、手持ちのまま寄せることもできますし、買い足すなら何を足せばいいかも決まります。
流行を覚えるのではなく、動いた場所を1つ見つける
やることは単純です。同じ種類の服を2枚、平らに重ねる。 片方は手元にある古いもの、もう片方は新しいもの。
そして、決まった4か所だけを比べます。肩の縫い目の位置、ウエストを絞っている量、裾が終わる場所、袖と胴の太さの比。
差が出た1か所が、いま動いている部位です。それだけです。
なぜ「動くのは毎回1か所」なのか
服の形は、いくつもの部位が同時に変わると成立しなくなります。
肩の位置が動けば、袖の付き方も、胴の太さも、それに合わせて調整されます。裾の終わりが動けば、丈の釣り合いが変わります。1か所を動かすと、周りが自動的についてくる。 だから、作る側も一度に複数の部位を動かしません。
見る側からすると、これはありがたい性質です。原因はいつも1つなので、4か所を順番に見れば必ず見つかります。
逆にいえば、4か所全部で差が出たように見えるときは、比べ方のほうが間違っています。サイズが違う、種類が違う、あるいは洗って縮んでいる。そのどれかです。
用意するもの|同じ種類の2枚と、メジャー1本
必要なのは3つです。
1つ、同じ種類の服を2枚。 上に着るものなら上に着るもの同士、下に穿くものなら下同士。種類をまたぐと比べられません。
2つ、同じ表示サイズであること。 サイズが違うと、全部の部位で差が出ます。
3つ、平らな床かテーブル。 掛けた状態では測れません。前を留めて、しわを手で伸ばし、重ねて置いてください。
もう1つ、判定を外しにくくするための注意があります。同じ「上に着るもの」でも、日常で着るものと、改まった場で着るものでは、動く速さが違います。 改まった場のものは形が固定されやすく、動く幅も小さくなります。
だから、比べる2枚は用途も揃えてください。日常のものどうし、改まった場のものどうし。これを混ぜると、動いていないものと動いたものを比べることになり、差が出すぎます。種類・サイズ・用途の3つが揃った2枚が、比較の最小条件です。
準備ができたら、4か所を順番に測ります。全部で5分ほどです。
部位①|肩の縫い目は、肩先から何cmずれたか
平らに置いた状態で、肩の縫い目の位置を比べます。
袖と胴の境目にある縫い目が、2枚でどれだけずれているか。2cm以上ずれていたら、ここが動いた部位です。
外へずれていれば、肩が落ちる方向へ動いています。内へずれていれば、肩の位置が体に近づく方向です。
この部位が動くと、見え方は大きく変わります。肩は輪郭のいちばん上にあって、離れて見たときに最初に目に入る場所だからです。
部位②|ウエストは、一周で何cm細くなっているか
次に、胴の絞りを見ます。
平らに置いて、脇の下の幅と、いちばん細い位置の幅を測ってください。その差が絞っている量です。差がなければ、その服は絞っていないということになります。
2枚を比べて、絞っている量が2cm以上変わっていたら、ここが動いた部位です。
絞りが増える方向へ動いているのか、消える方向へ動いているのか。この2つは服の性格そのものを変えます。絞りがある服は体の形をなぞり、絞りがない服は布の形をそのまま見せます。
部位③|裾は、どの骨で終わっているか
3つ目は、裾の終わる位置です。
平らに置いた状態の着丈だけで比べると、肩の位置に引きずられます。着た状態で、裾が体のどの骨のあたりで終わるかを見てください。
上に着るものなら、腰骨の上か、腰骨の位置か、腰骨より下か。下に穿くものなら、くるぶしの上か、くるぶしの位置か、床に届くか。
骨1つぶん動いていたら、ここが動いた部位です。裾は、上下の配分を決める場所なので、ここが動くと合わせるものも変わります。
部位④|袖と胴の太さの比
4つ目は、比です。
平らに置いて、二の腕あたりの袖幅と、胸の下あたりの胴幅を測ります。胴幅を袖幅で割った数字が比です。
2枚でこの比が0.3以上動いていたら、ここが動いた部位です。
袖が太くなる方向は、腕まわりに空間を作ります。胴が太くなる方向は、体の輪郭を布で隠します。同じ「ゆったりしている」でも、どちらが太いかで見え方はまったく違います。
4か所を比べて、動いた1か所を決める
4つ測ったら、差の大きい順に並べてください。
いちばん差が大きく、かつ2cm(比なら0.3)を超えているものが、動いた部位です。
差が2cm未満のものは、動いていないものとして扱います。作りの個体差、洗った縮み、置き方のずれで、その程度は動くからです。
差が出たものが1つもなければ、その種類の服は今のところ動いていないということです。買い足す理由がない、という結論になります。これも立派な答えです。
早見表|動いた部位と、手持ちで寄せる場所
| 動いた部位 | 差の読み方 | 手持ちで寄せられる場所 |
|---|---|---|
| 肩の縫い目 | 2cm以上ずれた | 上に重ねる1枚で輪郭を作り直す |
| ウエストの絞り | 絞り量が2cm以上変わった | 区切る一本を足す・外す |
| 裾の終わり | 骨1つぶん動いた | 入れる・折る・上を重ねて位置を変える |
| 袖と胴の比 | 比が0.3以上動いた | 袖をまくる・上に羽織って胴を変える |
表は見比べる場所を並べたものです。どこが動いたかは、手持ちを測らないと出ません。
動いた1か所だけを寄せる|買い足す前にできること
動いた部位が分かったら、まず手持ちで寄せられないかを考えます。
裾が動いたなら、裾は着方で変えられます。 入れる、折る、上に重ねて隠す。位置を変えるだけなら、買う必要はありません。
袖と胴の比が動いたなら、袖のほうが動かしやすいです。 まくる、折り返す。あるいは上に一枚羽織って、胴の見える幅を変える。
絞りが動いたなら、区切る一本を足すか外すかです。 絞りが増える方向なら一本足し、消える方向なら外して落とします。
肩だけは、着方では動きません。 ここが動いた期のみ、1着足すことを考えてください。逆にいえば、それ以外の期は買わずに済みます。
どちらとも取れるとき①|2か所が同時に動いて見える
サイズ違いを比べている可能性が高いので、まず同じ表示サイズで比べ直してください。
それでも2か所出るなら、原因と結果を分けます。 肩の縫い目が外へ落ちると、袖と胴の比は自動的に変わります。裾が下へ動くと、絞りの位置も相対的に上がって見えます。
順番は決まっています。肩を先に確定させ、次に裾、そのあとで絞りと比を見る。 先に確定した部位が原因で、後の部位は結果です。
どちらとも取れるとき②|比べる古い1枚がない
手持ちに比較対象がない種類もあります。その場合は、店頭の棚を使ってください。
同じ棚のなかで、下段や奥に定番として残っている形が古い側、目線の高さや手前にある形が新しい側です。この2枚を平らに置いて、同じ4か所を測ります。
写真しか見られないときは、測れる部位が2つに減ります。肩の縫い目の位置と、裾が終わる場所。この2つは正面からの写真でも読めます。絞り量と比は、平らに置かないと出ないので、写真では判断しないでください。
素材の重さは、部位とは別に動く
形の4か所とは別に、もう1つだけ見ておくと精度が上がります。生地の重さです。
同じ形でも、重い生地はまっすぐ落ち、軽い生地は体の動きについてきます。握って離したときに、しわが3秒以内に消えるか残るかで分けてください。
重さは形の4か所とは独立して動きます。形は変わっていないのに、以前の1枚と印象が違う。そういうときは、たいてい生地の重さが動いています。
そして重さは、手持ちでは寄せられません。ここだけは、足すか足さないかの判断になります。
動いていない期に、何をするか
測ってみて、4か所とも差が2cm未満だった。この結果は珍しくありません。むしろ、こちらのほうが多い時期もあります。
このとき、買う理由はありません。 手持ちがそのまま使える、という結論です。
そして、動いていない期にできることが1つあります。手持ちの寸法を記録しておくことです。
いま持っている服の、肩の縫い目の位置、絞り量、裾の終わり、袖と胴の比。これを1枚ずつ紙に書いておくと、次に測るときの比較対象になります。古い1枚を探す手間が省けます。
記録は数字だけで構いません。種類と、4つの数字。それだけで、次の判定が1分で終わります。動いていない期にやっておくと、動いた期に迷わずに済みます。
まとめ|4か所を測れば、名前は要らない
流行っているものの名前を覚える必要はありません。
同じ種類の2枚を平らに重ねて、肩の縫い目、絞り量、裾の終わり、袖と胴の比を測る。差が2cmを超えた1か所が、動いた部位です。
動いたのが肩以外なら、たいてい手持ちのまま寄せられます。 買うかどうかを決めるのは、そのあとで構いません。
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— メグラシ編集部
よくある問い
- Q. 流行っているものを覚えるのと、動いた部位を探すのは何が違いますか。
- 使える期間が違います。名前で覚えると、その名前が使われなくなった時点で判断の材料が消えます。部位で覚えると、次に振れたときも同じ4か所を見るだけで済みます。たとえば肩の縫い目が外へ動いた時期と、内へ戻った時期では、見るべき場所は同じで、答えだけが反転します。手順が残るほうが、長く使えます。
- Q. 比べるための古い1枚が手元にありません。どうすればよいですか。
- 店頭の同じ棚で、いちばん安定して置かれている形と、いちばん目立つ場所に置かれている形を比べてください。棚の奥や下段に定番として残っているものが古い側、手前や目線の高さにあるものが新しい側です。2枚を平らに置いて同じ4か所を測れば、手持ちがなくても差は読めます。写真だけで判断するときは、肩の縫い目と裾の終わりの2か所に絞ってください。
- Q. 4か所のうち2か所が同時に動いているように見えます。
- サイズ違いを比べている可能性が高いです。同じ表示サイズどうしで比べ直してください。それでも2か所動いて見えるなら、片方は「動いた結果そう見えているだけ」のことがあります。たとえば肩が外へ落ちると、袖と胴の太さの比も自動的に変わります。原因と結果を分けるには、肩の縫い目の位置を先に確定させてから、袖と胴を見てください。
- Q. 動いた部位が分かったあと、何をすればよいですか。
- 手持ちの中から、その部位が動いた側に近い1枚を探してください。全部を買い替える必要はありません。動いたのが裾の終わりなら、裾の位置を変えられる着方(入れる・折る・上に重ねる)で寄せられます。肩なら、肩の落ちた1枚を1着だけ足せば足ります。動いた1か所だけを合わせると、残りは手持ちのままで釣り合います。
- Q. 差がわずかで、動いたのかどうか判断がつきません。
- 差が1cm未満なら、動いていないものとして扱ってください。作りの個体差や、洗って縮んだ分でその程度は動きます。判断できるのは2cm以上の差です。2cm未満の差しか出ないときは、その部位はまだ動いていないか、動きはじめたばかりです。どちらにしても、いま手持ちを変える理由にはなりません。
— メグラシ編集部




