編み下ろし|編み始めの高さと、束が背中に触れ始める位置で決まる

編み下ろしで決まっていないのは、編み目ではなく起点の高さ
編み目はきれいなのに、後ろ姿がぼんやりする。編み下ろしで結果を決めているのは、編み目の細かさではなく、編み始めた場所の高さです。
起点が耳の上端より下だと、編みの部分が首の後ろに沈み、頭と背中の間に何もない帯ができます。起点が耳の上端より3cm以上高ければ、頭の丸みから背中へ線が続きます。同じ編み方でも、起点が3cm違えば後ろ姿は別物です。
だからこの記事は、編み方の順番を並べません。縦の位置を測って、後ろ姿が続いているかを判定するための記事です。
編み込みの判定と、ここが入れ替わる
同じ「編む」でも、決めている面が違います。
編み込みで結果を決めるのは線をどこに通すかという横の設計です。角度と通過点の整理は編み込みはどこに通すかにあります。編み目が浮く・ゆるむの原因は崩れた段を数える判定が対になります。
編み下ろしで結果を決めるのは頭から背中へどうつなぐかという縦の設計です。見るのは頭の表面ではなく、後ろから見たときの縦の流れです。ここが入れ替わりの中身です。
測るのは5つ。所要3分
後ろ姿の写真が1枚あると早く済みます。指の幅で換算し、人差し指の幅がおよそ1.5cmです。
①|編み始めの起点の高さ
耳の上端を0として、編み始めた場所が何cm上か下か。
- 耳の上端より下:首の後ろに沈みます
- 0〜2cm上:中立。服によって分かれます
- 3cm以上上:頭の丸みから背中へ続きます
②|背中に触れ始める点
首の付け根から下へ何cmのところで、束が背中の面に着いているか。
- 10cm以内:縦の線として読まれます
- 15cm以上:面に張りついて見えます
③|後ろ襟ぐりの縁との交差
服の後ろの襟ぐりの縁と、束が交わる点の距離。3cm以内で重なると、線が1本に潰れます。
④|後ろから見た束の幅
束のいちばん広い部分が、頭の横幅の何割か。3割までなら編み目が読め、4割を超えると面として届きます。
⑤|毛先の終点
編み終わりが背中のどこで終わるか。肩甲骨の上端より上か下かで、背中の余白の残り方が変わります。
| 測る数字 | 目安の境目 | 決まること |
|---|---|---|
| ①起点の高さ | 耳の上端の上か下か/3cm | 後ろ姿が続くか途切れるか |
| ②触れ始める点 | 10cm以内/15cm以上 | 線に見えるか面に張りつくか |
| ③襟ぐりとの交差 | 3cm以内/3cm以上 | 服の線と潰れるか |
| ④束の幅の割合 | 3割/4割以上 | 編み目が読めるか |
| ⑤毛先の終点 | 肩甲骨の上端より上か下か | 背中の余白 |
後ろの襟ぐりが先、編みがあと
編み下ろしは背中に落ちるので、必ず後ろの襟ぐりと交差します。 交差の仕方は服が先に決めています。
| 服 | 後ろの襟ぐり | 束をどう置くか |
|---|---|---|
| 首の詰まった服 | 縁が高い位置にある | 起点を3cm以上上へ。縁の上で形を完成させます |
| 広く開いた背中 | 縁が低く、肌の面が広い | 束を片側へ2cm寄せる。中心に落とすと面を割ります |
| 襟の立った服 | 後ろに立ち上がりがある | 起点を上へ。束は襟の外側へ出します |
| フード付き | 後ろに厚みがある | 束は片側へ。中心は厚みに埋もれます |
| 肩の出る服 | 肩の輪郭が線になる | ⑤を肩甲骨より上で終わらせ、横の線を増やしません |
| 厚手の上着 | 襟が首を囲む | 束を上着の外へ出す。内側に入れると消えます |
首元の線の整理はネックラインの種類12種が対になります。
判定①|起点を耳の上端より3cm上へ
①が耳の上端より下なら、後ろ姿に帯ができます。上げる操作は簡単で、編み始める毛を取る位置を、頭の後ろで3cm高くするだけです。編み方も束の太さも変えません。
上げすぎの目安もあります。頭頂に近い位置(耳の上端から8cm以上)から始めると、編みの部分が頭の上に乗り、後ろから見て頭の丸みが平らに見えます。3〜6cm上が、続き方のいちばん安定する帯です。
起点の高さは、手で確かめられます。編み始める前に、取ろうとしている毛の根元に指を置き、そのまま横へ動かして耳の上端に触れてください。指がまっすぐ横に動けば0cm、上へ下りてくるなら起点が上です。鏡が1枚しかない日でも、この確かめ方なら1人でできます。
起点が下がりやすいのは、髪を後ろでひとつにまとめてから編み始めたときです。まとめた時点で毛が下へ集まるので、そこから編むと起点は自動的にうなじ寄りになります。上げたい日は、まとめずに、頭の後ろの高い位置から3束を取って編み始めてください。
判定②|触れ始める点を10cm以内に引き上げる
②が15cm以上のときは、束の上半分が浮いています。これが背中に張りついて見える状態の正体です。
引き上げる操作は①と同じで、起点を3cm上げると、触れ始める点はおおむね5cm上がります。別々に直すのではなく、①を動かせば②も動きます。
もう一つの操作は、編みを頭の表面に沿わせる距離を伸ばすことです。地肌から離す位置を下げると、束は背中へ早く着きます。
②が5cm未満まで上がると、今度は別の見え方になります。首の後ろがほとんど隠れるので、後ろから見て首の縦が消えます。首元が詰まった服の日は、これで後ろ姿が短く見えます。10cm前後が、線として読まれてなおかつ首の縦が残る帯です。
自分で測るときは、首の付け根の骨に指を当てて、そこから手のひらの縦(およそ10cm)を下ろします。手のひらの下端より上で束が背中に触れていれば10cm以内です。触れていなければ、起点を3cm上げてもう一度確かめてください。
判定③|襟ぐりとの交差を3cm以上あける
③が3cm以内なら、次のどちらかにします。
- 束を片側へ2cm寄せる:縁と斜めに交わり、線が2本として読めます
- 起点を上げる:縁より上で編みの形が完成し、下は毛先だけになります
背中の開いた服の日は、中心に落とさないほうが安定します。開いた面のちょうど真ん中に縦の線を置くと、面が左右に割れます。
寄せる方向は、その日の分け目と逆側です。分け目と同じ側へ寄せると、頭の上の分かれ目と束が同じ側に集まり、後ろから見て片側だけ重くなります。逆側へ寄せると、上の分かれ目と下の束が斜めに並び、後ろ姿に1本の斜線が通ります。
上着を着る日は、交差の判定を上着の襟でやり直してください。中に着た服の襟ぐりで合わせても、外から見えているのは上着の襟です。 上着を脱ぐ場面がある日は、脱いだあとの襟ぐりのほうで決めておくと、長くいる場面に合います。
判定④|束の幅は頭の横幅の3割まで
編むときに左右へ広げると、幅が増えて面になります。同じ毛量でも、縦に厚く保てば幅は3割に収まります。
判定は後ろ姿の写真1枚です。束の広い部分が頭の横幅の4割を超えていたら、次の1回では編みながら左右へ引かず、真後ろへ引いてください。引く方向だけで幅は変わります。
幅が広がりやすいのは、編み終わったあとに目を引き出したときです。引き出す操作は編み目を大きく見せますが、そのぶん左右へ広がります。引き出すなら、上から3段目までの片側だけ。 全体を左右均等に引き出すと、束は面になります。
もう1つ、幅は服の面積との関係でも見えます。背中の面が広い服ほど、同じ束が細く見えます。厚手の上着を着ている日は、同じ幅でも実際より細く見えるので、3割ちょうどではなく3割強で作っておくと、外から見て編み目が読めます。
判定⑤|毛先の終点で背中の余白が決まる
- 肩甲骨の上端より上:背中の下半分が空きます。上着を羽織る日に収まります
- 肩甲骨より下:背中に縦の線が1本通ります。背中の面が広い服の日に向きます
終点は編む前に決められます。編むと毛先は上がるので、その分を見込んでおきます。上がる量の測り方は三つ編みの縮み率の判定と同じです。
どちらとも取れるとき①|「起点は上げたのに、まだ途切れて見える」
起点と触れ始める点がそろっていても、途中で1か所だけ浮いていることがあります。多くは編みの3〜5段目で、後頭部の丸みがいちばん急に変わる場所です。
この場合は編み目の問題なので、段を数えて直します。縦の位置は合っているのに続いて見えない日は、原因が段のほうにあります。
見分け方は簡単で、後ろ姿の写真で束の左右の輪郭線をたどってください。線が1か所で急に外へふくらんでいれば段の問題、全体がなだらかで途中に何もない帯があれば起点の問題です。前者なら編み方、後者なら位置。直す場所がまったく違うので、ここを取り違えると何度編み直しても同じところで止まります。
毛先の始末で、後ろ姿の終わり方が変わる
編み終わりをどう留めるかも、後ろから見える情報です。
- 編み終わりで止めてゴム1本:束の終わりに横の線が1本入ります。輪郭がそこで切れます
- 編みを毛先まで続けて細くする:終わりが先細りになり、縦の流れがそのまま消えます
- 毛先を折り返して留める:終点が上がり、⑤の判定ごと変わります
背中の面が広い服の日は、先細りにして縦を長く見せるほうがまとまります。上着を羽織る日は、折り返して終点を肩甲骨より上へ上げると、上着の中に収まります。同じ編み方でも、終わり方だけで後ろ姿の長さが3cm前後変わります。
どちらとも取れるとき②|「毛量が少なくて細く見える」
束の幅が2割を下回ると、後ろから見て線が細くなります。このときに束を左右へ広げると④の問題に変わるので、広げずに編み目を1段あたり0.5cm大きくしてください。同じ毛量でも束の縦の厚みが増え、細さが目立たなくなります。
どちらとも取れるとき③|起点が耳の上端から2cm前後の日
中立の帯です。この日は服で決めてください。首の詰まった服なら3cm以上へ上げ、背中の開いた服なら2cmのままで置きます。開いた背中の日に起点を上げすぎると、肌の面と編みの間が空きすぎます。
今日の1回で決める手順
- 編む前に、起点を耳の上端から3〜6cm上に取る
- 編み終わったら、束が背中に触れ始める点が首の付け根から10cm以内かを手で確かめる
- 後ろ姿の写真を1枚撮り、束の幅が頭の横幅の3割に収まっているかを見る
- 服の後ろ襟ぐりの縁と束の交差が3cm以内なら、束を片側へ2cm寄せる
- 毛先の終点が肩甲骨の上端より上か下かを決めてから、編み始める
よくある誤解
「編み目が細かいほど上品に見える」 ── 後ろから見て届いているのは編み目ではなく、束全体の幅と縦の流れです。細かさより起点の高さが先に効きます。
「長いほど編み下ろしが映える」 ── 長さが増えると触れ始める点が下がり、背中に張りつく側へ寄ります。長い日ほど起点を上げてください。
「編み込みの判定をそのまま使える」 ── 編み込みは横の設計、編み下ろしは縦の設計です。線の角度が決まっていても、起点の高さは別に決める必要があります。
まとめ
編み下ろしで決まっていないのは編み目ではなく、編み始めの起点の高さと束が背中に触れ始める点です。起点を耳の上端から3〜6cm上に取れば、頭の丸みから背中へ線が続きます。触れ始める点が10cm以内なら、束は面ではなく線として読まれます。
そのうえで、後ろの襟ぐりとの交差を3cm以上あけ、束の幅を頭の横幅の3割に収める。後ろ姿は自分では見えませんが、測る場所は全部、指と写真1枚で確かめられます。
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よくある問い
- Q. 編めているのに、なぜか野暮ったく見えます。
- 編み目ではなく編み始めの高さを見てください。起点が耳の上端より下にあると、編みの部分が首の後ろに収まってしまい、後ろから見て頭と背中の間に何もない帯ができます。この帯が野暮ったさの正体です。対処は起点を耳の上端より3cm以上高い位置へ上げることで、編み目の粗さも束の太さも変えずに、後ろ姿の縦の流れがつながります。編み直すのではなく、編み始める場所だけを上げてください。
- Q. 背中に張りついて見えます。どうすればいいですか?
- 束が背中に触れ始める点を測ってください。首の付け根から下へ何cmのところで、編んだ束が背中の面に着いているかを手で確かめます。15cm以上下だと、束の上半分が浮いたまま背中の中ほどに落ちるので、面に張りついて見えます。対処は編み始めを3cm上げて、触れ始める点を10cm以内に引き上げることです。同じ長さでも、触れ始める位置が上がると束は縦の線として読まれます。
- Q. 服の襟ぐりと重なって、髪が消えてしまいます。
- 後ろの襟ぐりの縁と、束が交差する点の距離を見てください。3cm以内で重なると、髪の線と服の線が1本に潰れて、編んだことが後ろから読めません。対処は2つで、束を片側へ2cm寄せて縁と斜めに交差させるか、編み始めを上げて縁より上で束の形が完成するようにするかです。服の襟ぐりが広い日ほど、この判定が効きます。
- Q. 束が太くて重たく見えます。細く編むべきですか?
- 太さそのものではなく、頭の横幅に対する割合で判定します。後ろから写真を撮り、束のいちばん広い部分の幅が頭の横幅の何割かを見てください。4割を超えると、編み目ではなく面として目に届き、重たく見えます。対処は編むときに左右へ広げず、束を縦に厚く保つことです。同じ毛量でも、幅を3割に収めれば編み目が読めます。
- Q. 編み込みの記事と、見る場所はどう違いますか?
- 通す線の角度を決めるのが編み込みの判定で、縦の起点と背中への接し方を決めるのが編み下ろしの判定です。編み込みは頭の表面をどう横切るかという横の設計、編み下ろしは頭から背中へどうつなげるかという縦の設計になります。同じ手の動きでも見る面が違うので、サイドに通す線が決まっている日でも、起点の高さは別に決める必要があります。
— メグラシ編集部




