編み込みのやり方|崩れた段を数えれば、直す場所は1か所に決まる

編み込みが崩れるのは、崩れる段が毎回同じだから
編み込みが途中から浮く、ゆるむ、片側だけ崩れる。これを「不器用だから」で片づけると、次も同じ場所で崩れます。
実際には、崩れる段はほぼ毎回同じです。3段目までで浮く人はいつも3段目までで浮き、8段目でゆるむ人はいつも8段目でゆるみます。そして段の番号が分かれば、原因は1つに絞れます。
だからこの記事は、編む手順を最初から並べません。あなたが崩した段を数えて、直す1か所を決めるための記事です。
1回だけ、いつもどおりに編んでください。崩れたところで止めて、編み始めから何段目かを数えます。編み込みは3段で1周するので、指で3つずつ数えると速く出ます。
数えるのは1回で足ります。2回目からは、その段に入る前に対処すればいい。
| 崩れた段 | 崩れ方 | 原因 |
|---|---|---|
| 1〜3段目 | 地肌から浮く | 押さえる指が遠い |
| 4〜7段目 | 途中で浮く・傾く | 持ち替えで手が離れている |
| 8段目以降 | だんだんゆるむ | すくう幅が揺れている |
| 片側だけ | 途中から傾く | 肘の高さの左右差 |
| 段が特定できない | 全体がぼやける | 押さえる力ではなく、線が丸みを越えている |
測るのは5つ。1回編みながら見る
①|何段目で浮くか
編み始めから数えて、地肌との間に指が入るようになるのが何段目か。ここが起点です。
②|手が離れている秒数
3つの束を持ち替えるたびに、どれかの束から手が離れます。離れている時間が1秒未満なら保ち、2秒以上あると束がほどけ始めます。
③|すくう幅の揺れ
1段ごとに足す毛の幅が、段によって何cm違うか。0.5cm以内なら揃っている側、1cm以上なら揺れている側です。
④|押さえる指の位置
編み進んでいる点から、押さえている指が何cm後ろにあるか。1cm以内なら地肌に沿い、3cm以上あると間の毛が持ち上がります。
⑤|肘の高さ
編んでいる間、肘が胸の高さより上にあるか下にあるか。下がると束を引く方向が真下へ寄ります。
| 測る数字 | 目安の境目 | 決まること |
|---|---|---|
| ①浮く段 | 3段目まで/4〜7/8以降 | 直す場所 |
| ②手が離れる秒数 | 1秒未満/2秒以上 | 途中でほどけるか |
| ③すくう幅の揺れ | 0.5cm以内/1cm以上 | 後半で足りなくなるか |
| ④押さえる指の位置 | 1cm以内/3cm以上 | 地肌から浮くか |
| ⑤肘の高さ | 胸より上か下か | 左右差が出るか |
どこに線を通すかは、別の軸で決める
この記事が扱うのは工程です。編めているのに印象が思ったものと違うという状態は、崩れではありません。
その場合に効いているのは、線の角度と通過点です。編み始めが生え際の中央から何cm横か、線が水平から何度傾くか、耳の上端より上を通るか。整理は編み込みはどこに通すかにあります。
工程で崩れる場合は段の番号、位置で結果が変わる場合は線の角度。見る場所が違うので、混ぜずに読んでください。
判定①|3段目までで浮く場合
原因は④です。押さえる指が編み進んでいる点から3cm以上後ろにあります。
編み込みは、進んでいる点のすぐ後ろが最も緩みやすい場所です。そこを押さえていないと、間の毛が持ち上がって地肌との間に隙間ができます。
対処は、押さえる指を1cm以内まで近づけること。 力を強める必要はありません。指を近づけるだけで、同じ力でも浮かなくなります。
近づけると指が編む手の邪魔になる場合は、押さえる指を親指から中指に変えてください。親指は太いので、進んでいる点に寄せると場所を取ります。
判定②|4〜7段目で浮く場合
原因は②です。持ち替えのたびに束から手が離れる時間が2秒以上あります。
編み込みの中盤は、足す毛の量が増えて束が太くなる時期です。太い束ほど、手が離れた瞬間にほどける速さが上がります。
対処は2つあります。1つは、持ち替えのときに必ず1本は束を保持しておくこと。 3本すべてから手が離れる瞬間を作らないという意味です。もう1つは、足す毛を先に指の間に挟んでおくこと。挟んでおけば、拾いに行く時間が消えます。
判定③|8段目以降でゆるむ場合
原因は③です。すくう幅が段ごとに揺れています。
後半は視界から外れる位置に入るので、手の感覚だけですくうことになります。ここで幅が1cm以上ばらつくと、多く取った段の先で毛が足りなくなり、束の太さが段ごとに変わります。
対処は、すくう幅を指の本数で固定すること。 人差し指1本ぶんずつ、と決めれば揺れません。目で見なくても、指の幅は変わらないためです。
判定④|左右で結果が違う場合
原因は⑤です。利き手ではない側を編むとき、肘が自然に下がります。
肘が下がると、束を引く方向が真下へ寄ります。真下に引くと編み目は詰まりますが、地肌からは浮きやすくなります。詰まっているのに浮く、という一見矛盾した状態はここから出ます。
対処は、崩れる側だけ肘を胸の高さで止めること。 左右で同じやり方にする必要はありません。崩れる側だけ押さえる指を2本にする、という左右差のつけ方でも構いません。
袖と腕|編みやすさは、その日の服で変わる
編み込みは腕を上げ続ける作業です。だから袖の形が、そのまま編みやすさになります。
判定はひとつです。両腕を頭の後ろで組んで、10秒維持できるか。 もたないなら、その服では後半で必ず肘が下がります。
| 袖 | 腕を上げたとき | どうするか |
|---|---|---|
| セットインスリーブ(肩に縫い目) | 肩が引かれやすい | 着替える前に編む |
| ドロップショルダー | 上げやすい | 着てから編んで構いません |
| 頭から通す服 | 編み目が引かれる | 着てから編む |
| 前開きの服 | 影響しません | どちらでも構いません |
袖の形そのものの整理は袖の形の種類にあります。
編む順番は、髪ではなく服が決めています。 頭から通す服の日に先に編むと、着替えの一瞬で3段ぶんがゆるみます。
段を数えたあと、次の1回で変えるのは1つだけ
原因が分かっても、次に編むときに3つ同時に変えると、何が効いたのか分からなくなります。変えるのは1回に1つ。
順番も決まっています。④の押さえる位置 → ⑤の肘の高さ → ②の秒数 → ③の幅。この順にした理由は、前の2つが後ろの2つの前提になっているからです。押さえる位置が遠いままで秒数を詰めても、浮きは残ります。肘が下がったままで幅を揃えても、引く方向が変わって結局ばらつきます。
1回に1つなら、4回編めば全部確かめられます。毎日編む人なら4日、週に2回なら2週間です。4回で終わる作業なので、原因を推測するより実際に1つずつ変えるほうが速く終わります。
変えた回の結果は、崩れた段の番号で記録してください。「7段目 → 押さえる指を近づけた → 12段目まで保った」。この形で3行残しておけば、次の月に同じことで迷いません。番号は再現するので、記録がそのまま自分用の手順書になります。
どちらとも取れるとき①|「浮いているのか、ゆるんでいるのか分からない」
見た目が似ているので混ざりますが、対処は逆になります。先に切り分けてください。
判定は、崩れた場所に指を入れることです。
地肌との間に指が入る場合 浮いています。原因は④の押さえる位置か、⑤の肘の高さです。対処は押さえる指を近づけるか、肘を上げること。
地肌には沿っているのに、編み目の間に隙間がある場合 ゆるんでいます。原因は②か③です。対処は持ち替えの秒数を短くするか、すくう幅を固定すること。
どちらもある場合 先に浮きを直してください。浮いた状態のまま編み目を詰めても、地肌との隙間はそのまま残ります。順番は、地肌に沿わせるのが先、目を詰めるのが後です。
もうひとつ、浮きとゆるみの見分けがつかない状態には、両方が別の段で起きている場合があります。前半で浮き、後半でゆるむ、という組み合わせです。段の番号を数えると2か所に分かれるので、記録の時点で気づけます。
この場合も直す順番は同じです。前半の浮きを先に直すと、後半のゆるみが自然に減ることがあります。地肌から離れた束は、離れているぶんだけ引く方向が定まらず、すくう幅も揺れるためです。前半を直してから、もう一度段を数え直してください。 後半だけ残っていたら、そこで初めて③に手をつけます。
どちらとも取れるとき②|「途中で毛が足りなくなる」
3つに分かれます。
すくう幅が揺れている場合 ③です。多く取った段の先で足りなくなります。対処は幅の固定。
編み進む線が頭の丸みを越えている場合 すくえる範囲そのものが急に狭くなります。この場合は編み方では変わりません。足りなくなった段で止めて、そこから先は編み込みではなく三つ編みへ切り替えてください。切り替え方の判定は三つ編みのやり方にあります。
編み始めの束が細すぎた場合 最初の3束が細いと、足す毛の割合が大きくなり、束の太さが段ごとに跳ねます。対処は、編み始めの束を1cm太くすること。
どちらとも取れるとき③|段が特定できない場合
数えても崩れる段が毎回変わる、という場合があります。この状態では①から⑤のどれも当てはまりません。
このときに疑うのは、編み進む線が頭の丸みの頂点を横切っていることです。丸みの上では地肌の角度が変わるので、同じ力で押さえていても浮く位置が毎回変わります。
対処は、線を丸みの頂点より手前か、越えた先のどちらかに寄せること。頂点をまたぐ線だけを避ければ、崩れる段は安定します。 安定すれば番号が数えられるので、そこから①〜⑤の判定に戻れます。
今日の1回で決める手順
順番はこれで固定です。
- 服を先に決める。 両腕を頭の後ろで組んで10秒もつかを確かめる
- もたないなら、着替える前に編む
- 編み始めの束を、細すぎない太さで取る
- 押さえる指を、編み進む点から1cm以内に置く
- すくう幅を指1本ぶんに固定する
- 崩れたら止めて、段を数えてから直す場所を決める
美容室で相談するときも、この言い方が通ります。「うまく編めない」と伝えるより、「4段目あたりで浮きます」と段で伝えるほうが、返ってくる助言が具体的になります。
よくある誤解
- 崩れるのは不器用だから:崩れる段はほぼ毎回同じで、段ごとに原因が違います
- 強く押さえれば浮かない:押さえる位置が3cm以上後ろなら、力を足しても浮きます
- 手が速いほうがきれいに編める:速さではなく、手が離れている秒数です
- 左右は同じやり方でそろえる:肘の高さが違うので、崩れる側だけ変えて構いません
- 毛が足りなくなるのは毛量のせい:すくう幅の揺れか、線が丸みを越えたかのどちらかです
- 編んでから着替える:頭から通す服の日は、着替えの一瞬で3段ゆるみます
- やり方を覚えれば安定する:安定させるのは手順ではなく、段の番号を数える習慣です
まとめ
編み込みの工程で効いていたのは、器用さではなく崩れた段の番号でした。
- 1〜3段目で浮くなら、押さえる指を1cm以内へ近づける
- 4〜7段目で浮くなら、持ち替えで手が離れる時間を1秒未満にする
- 8段目以降でゆるむなら、すくう幅を指1本ぶんに固定する
- 片側だけ崩れるなら、その側の肘を胸の高さで止める
- 段が毎回変わるなら、線が丸みの頂点をまたいでいる
- 腕を頭の後ろで10秒組めない服の日は、着替える前に編む
数えるのは段の番号1つ、直すのは1か所。2回目からは、その段に入る前に手を変えれば済みます。
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— メグラシ編集部
よくある問い
- Q. 編み込みがすぐ地肌から浮きます。どうすればいいですか?
- 浮き始める段を数えてください。編み始めから3段目までで浮くなら、原因は押さえる指の位置です。編み進んでいる点から3cm以上後ろを押さえていると、その間の毛が持ち上がります。対処は押さえる指を1cm以内まで近づけることで、力を強める必要はありません。4段目から7段目で浮くなら、持ち替えのときに束から手が離れている時間が長すぎます。8段目以降なら、すくう幅が段ごとに揺れています。段によって直す場所が違うので、先に数えるのが早道です。
- Q. 途中で毛が足りなくなります。
- すくう幅が一定でないことがほとんどです。1段ごとにすくう幅が1cm以上ばらつくと、多く取った段の先で足りなくなります。対処は、すくう幅を指の本数で固定することです。人差し指1本ぶんずつと決めれば揺れません。もう1つの原因は、編み進む線が頭の丸みを越えていて、すくえる範囲が急に狭くなっている場合です。この場合は足りなくなった段でいったん止めて、そこから先は編み込みではなく三つ編みへ切り替えてください。
- Q. 右側はうまく編めるのに、左側が崩れます。
- 肘の高さが左右で違っています。利き手ではない側を編むとき、肘は自然に下がり、束を引く方向が真下へ寄ります。真下へ引くと編み目は詰まりますが、地肌から浮きやすくもなります。対処は、崩れる側だけ肘を胸の高さで止めて、そこを動かさないことです。左右で同じやり方にする必要はありません。崩れる側だけ押さえる指を2本にする、という左右差のつけ方でも構いません。
- Q. 服を着てから編むのと、着る前に編むのはどちらがいいですか?
- 袖の形で決まります。腕を上げたときに肩が引かれる袖の日は、肘の高さを保てないので、編むのは着替える前にしてください。判定は、両腕を頭の後ろで組んで10秒維持できるかどうかです。10秒もたないなら、その服では編み込みの後半が必ず崩れます。前開きの服の日は着てから編んでも構いません。頭から通す服の日は、編んでから着ると編み目が引かれるので、着てから編むほうが安全です。
- Q. 編み込みの位置は、どう決めればいいですか?
- この記事は編む工程の話に絞っています。どこに線を通すか、何度傾けるか、どの高さを横切らせるかという位置の設計は別の軸なので、線の角度と通過点で判定する記事に分けてあります。工程で崩れる場合は段の番号、位置で結果が変わる場合は線の角度、というように見る場所が違います。編めているのに印象が思ったものと違う、という状態なら、崩れているのではなく線の設計のほうを見てください。
— メグラシ編集部





