卒業式の礼服|担任として前に立つか保護者席かで、黒の明るさを分ける

卒業式に礼服を着るかどうかは、あなたが当日どこに立つかで答えが逆になります。担任として卒業生の前に立つなら、礼服はそのままで正しい側です。式を執り行う側は最も格の高い装いをする、という考え方が慶事にも当てはまるからです。整えるのは首元・足元・髪の3か所だけで足ります。
保護者席に座るなら、礼服はそのままだと重く見えます。保護者は式を祝ってもらう側なので、黒が全身を覆うと喪の場の印象に寄ってしまうからです。**正面から見た黒の面積を、全身の7割以下に下げてください。**首元・インナー・バッグのどこかで黒を明るい色に替えれば、多くの場合それで下回ります。
担任外の教職員、受付に立つ保護者、祖母や来賓のように、どちらとも取れる立場の人は、「式の間に、前を向いて立っている時間があるか」で決めます。前に立つ時間があるなら担任の側、座っている時間がほとんどなら保護者の側です。
判定|当日、あなたはどこに立つか
最初に、当日の自分の立ち位置を3つのうちから選んでください。
| 立ち位置 | 礼服の扱い | 整える方向 |
|---|---|---|
| 卒業生の前に立つ(担任・学年主任・呼名する人) | そのままで正しい | 喪の小物を外して、慶事の小物を1点足す |
| 前に出る時間がある(担任外の教職員・受付・来賓) | 一段軽くする | 黒を少し減らす |
| 席に座っている(保護者・祖父母) | そのままでは重い | 黒の面積を7割以下に下げる |
立ち位置で分けるのは、見られ方が違うからです。前に立つ人は卒業生と保護者の両方から正面で見られ、式の格を示す役目を負います。席に座る人は横や後ろから見られることが多く、式の主役である卒業生の引き立て役になります。同じ礼服でも、役目が違えば整え方が逆になります。
担任・前に立つ教員|礼服は正しい側
担任として前に立つ人にとって、礼服は迷わず選んでよい装いです。卒業生を送り出す側の人間が、最も改まった装いで式に臨むことは、卒業生への敬意として受け取られます。地味すぎるのではないかと心配する必要はありません。
ただし、学校によっては女性の教員が袴を着る慣習があったり、スーツが多数派だったりします。礼服が浮くかどうかは学校ごとの慣習で決まるので、前年の卒業式の集合写真や、同僚の装いを一度確かめておくと安心です。袴が多数派の学校で礼服を選んでも失礼にはなりませんが、写真で一人だけ色味が違うことは覚えておいてください。
担任の礼服で整えるのは3か所
担任が礼服を卒業式向けに整えるときに手を入れるのは、首元・足元・髪の3か所だけです。服そのものは替えません。
首元には、パールのネックレスか、白みのある小さなブローチを1点置きます。喪の場では一連のパールが基本ですが、卒業式では二連にしても構いません。顔の近くに白い光が入るだけで、黒の重さがやわらぎます。コサージュを付ける場合は、白・淡いピンク・淡い黄色など明るい色を選び、胸の高い位置に付けてください。
足元は、光らない黒のプレーンなパンプスで、ヒールは3〜5センチが目安です。卒業生の前を何度も歩き、壇の段差を上り下りするので、高すぎるヒールは避けます。体育館で上履きに履き替える学校なら、黒か白の無地の上履きにそろえます。
髪はまとめて、耳を出します。呼名のときにうつむいて名簿を読むので、顔に髪がかからない形にしておくと、写真にも表情がきれいに残ります。
担任外の教員・職員|担任より一段軽く
担任ではない教職員は、礼服でも構いませんが、担任より一段軽くするのが無難です。式の中で前に出る時間が担任より短く、主に会場の横や後ろに控えることが多いからです。
一段軽くする方法は2つあります。1つは、礼服のジャケットの下に白か淡い色のブラウスを入れて、首元の黒を減らすこと。もう1つは、礼服ではなく濃紺や濃いグレーのスーツにして、小物は担任と同じ格にそろえることです。どちらを選んでも、担任と並んだときに担任のほうが改まって見える、という順番が守られていれば大丈夫です。
保護者席|礼服の黒は、そのままでは重い
保護者として卒業式に出るとき、手持ちの礼服を着るのは失礼ではありません。ただ、喪の場で着るのと同じ組み合わせのままだと、黒が全身を覆い、会場の中で沈んで見えます。とくに春の明るい色を着ている保護者が多い学校では、黒一色はかなり目立ちます。
保護者が礼服を着るときの考え方は、「黒を明るく見せる」ではなく「黒の面積を減らす」です。黒そのものを替えることはできないので、黒が見えている場所のいくつかを、明るい色に置き換えていきます。
喪の印象が残るかの境目|黒の面積を測る
喪の印象が残るかどうかは、正面から見た全身のうち、黒が占める割合で判定できます。全身の写真を撮って、黒い部分とそれ以外の部分を目で比べてください。
- 黒が8割以上: 喪の場とほぼ同じ見え方です。手を入れてください
- 黒が7割前後: 卒業式の黒として成り立ちます
- 黒が6割以下: 黒を基調にした慶事の装いとして、十分に明るく見えます
顔と手足の肌、髪は黒以外に数えます。髪が黒い人は、髪をまとめると黒の面積が減るので、それだけで1割近く下がることがあります。
保護者が礼服を卒業式に寄せる手順
黒の面積を下げる場所は、効く順に次の4か所です。上から順に試して、7割を下回ったところで止めてください。
- インナー: ジャケットの下を白・淡いベージュ・淡いグレーのブラウスに替える。首元から胸までの黒が抜けるので、最も効きます。ワンピース型の礼服で替えられない場合は2に進みます
- 首元: 明るい色のスカーフかコサージュを胸元に。面積の大きいスカーフのほうが効きます
- バッグ: 黒のバッグを、淡いベージュやグレー、白に替える。手元は写真の中心近くに写るので、見た目の面積以上に効きます
- 羽織り: 体育館が寒い日は、黒ではなく淡いグレーやベージュのストールを肩に掛ける
靴とストッキングは、黒のままでも構いません。足元は面積が小さく、ここを明るくすると逆に浮くことがあるからです。ストッキングは黒ではなく肌色にすると、それだけで喪の印象が薄れます。
どちらとも取れるとき|前を向いて立つ時間で決める
担任ではないけれど壇上に上がる、保護者だけれど受付に立つ、PTAの役員として来賓を案内する。こうした立場の人は、「式の間に、前を向いて人から見られる時間があるか」で決めてください。
- 式の最中に、前を向いて立っている時間が合わせて10分以上ある → 担任の側に寄せる。礼服はそのまま、小物で整える
- 前に出るのは式の前後だけで、式の最中は席に座っている → 保護者の側に寄せる。黒の面積を下げる
迷ったときは、保護者の側に寄せておくほうが安全です。前に立つ人が少し明るい装いでも失礼にはなりませんが、座っている人が喪の装いに近いと、写真に残ったときに目立つからです。
祖母・来賓として出る場合
祖母として孫の卒業式に出る人は、保護者席と同じ扱いになります。黒の面積を下げる手順も同じです。顔の近くに明るい色があると表情が明るく写るので、首元のスカーフかコサージュは、とくに効きます。
来賓として招かれた人は、担任と保護者の中間です。式の中で紹介されて立ち上がる場面があるので、礼服はそのままで構いませんが、首元に明るい色を1点足してください。来賓は式を祝う側なので、喪の小物だけで出るのは避けます。
体育館の寒さと礼服
卒業式の体育館は、冬の名残で底冷えすることが多い場所です。礼服は薄手の生地が多いので、寒さ対策は先に考えておきます。
担任は前に立つので、上に羽織るものを着たままにはできません。ジャケットの下に薄手の保温インナーを着て、首元から見えない形にしておきます。保護者は席で羽織ることができるので、淡い色のストールや膝掛けを持っていくと、寒さ対策と黒の面積を下げることが同時にできます。黒のストールは避けてください。黒の面積が増えて、せっかく下げた割合が戻ってしまいます。
礼服を買い足すなら、どちらの用途に寄せるか
これから礼服を買う人は、自分が卒業式にどちらの立場で出ることが多いかを考えて選びます。
教員として毎年卒業式に出る人は、ジャケットとワンピースが分かれたアンサンブル型が便利です。ジャケットを着れば式典向けの格、脱げば会食にも出られる形になります。保護者として出る人は、インナーを替えられるジャケット型を選んでおくと、卒業式ではインナーで黒を減らし、弔事では黒のインナーに戻す、という切り替えができます。生地や金具の光り方で礼服が慶事に使えるかどうかは、礼服で卒園式に出られるかで確かめられます。
まとめ|同じ礼服を、立つ場所で逆に整える
卒業式の礼服は、担任として前に立つなら正しい側で、首元・足元・髪の3か所を整えるだけで足ります。保護者席に座るなら、黒の面積を7割以下に下げてください。インナー、首元、バッグ、羽織りの順に替えていけば、手持ちの礼服のままで卒業式に寄せられます。
どちらとも取れる立場の人は、式の最中に前を向いて立つ時間で決め、迷ったら保護者の側に寄せる。この3つを覚えておけば、同じ一着を毎年の式に使い回せます。
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よくある問い
- Q. 担任の先生が卒業式に礼服を着るのはおかしくないですか
- おかしくありません。担任は式の中で呼名をしたり、卒業生の前に立ったりする、式を執り行う側の立場です。執り行う側が最も格の高い装いをするのは、慶事でも弔事でも同じ考え方なので、礼服は正しい側にあります。ただし、喪の場とまったく同じ小物で出ると暗く沈むので、首元にパールか白みのある飾りを1点、靴は光らない黒のプレーンなパンプス、髪はまとめて耳を出す、の3か所だけ整えてください。袴を着る学校もありますが、それは学校ごとの慣習なので、同僚の過去の写真で確かめるのが確実です。
- Q. 保護者ですが、手持ちの礼服しかありません。卒業式に着ていけますか
- 着ていけます。ただし、礼服をそのまま着ると黒の面積が大きく、喪の印象が残りやすいので、首元と手元と足元のどこかで黒を減らしてください。目安は、正面から見た全身のうち黒が7割以下になることです。明るい色のコサージュかスカーフを胸元に、バッグを黒以外の淡い色に替えるだけでも、7割を下回ることが多くあります。ジャケットの下のインナーを白か淡い色に替えられる形なら、それが最も効きます。
- Q. 祖母として孫の卒業式に出るとき、礼服でいいですか
- 保護者席と同じ扱いで考えてください。祖母は式を執り行う側ではないので、礼服をそのまま着ると黒が重く見えます。首元に明るい色の飾りを1点、バッグを淡い色にして、黒の面積を下げます。年齢を重ねるほど、顔の近くに明るい色があると表情が明るく写るので、写真の面でも首元の1点は効きます。体育館の寒さが心配なら、黒ではなくグレーや紺の羽織りを重ねると、黒の面積を減らしながら暖かさも足せます。
— メグラシ編集部





