レストランの服装|カウンター・座敷・テラス、席の種類で選ぶ

**予約した店の席は、カウンターですか、座敷ですか、テラスですか。**それが分かっていれば、服はほぼ決まります。分からないなら、着るものを選ぶ前に、まずそれを店に聞いてください。
レストランの服装で迷う人の多くは、店の格を気にしています。けれど、食事のあいだに困ることのほとんどは、格ではなく席から起きます。高い椅子に座ったら膝が思った以上に出た。座敷で靴を脱ぐのに手間取った。テラスで日が落ちたら震えるほど寒かった。どれも、席の種類を知っていれば着る前に防げたことです。
格や場所ごとの決まりはホテルのレストランの服装とドレスコードと銀座・丸の内・高級レストランの服装にまとめています。この記事は、その手前の「どこに座るか」から服を決める話です。
結論:先に聞くのは、店の格ではなく席の種類
あなたの席がカウンターなら、決めるのは衿元と袖口です。座敷か掘りごたつなら、靴と裾丈です。テラスなら、羽織の厚みです。テーブル席なら、いちばん自由に選んでかまいません。
席によって、人から見える場所と、食事の途中で動かす場所が違います。カウンターは料理人とも隣の人とも近く、見られるのは胸から上だけです。座敷は靴を脱ぐ瞬間と、床に座ったときの膝まわりが人目に入ります。テラスは見え方よりも、日が落ちてからの冷えのほうが問題になります。
つまり、同じ服でも、席が変わると「足りない場所」が移ります。服を1着ずつ「これは大丈夫か」と判定するより、先に席を聞いて、その席で足りなくなる場所だけを整えるほうが早く決まります。
早見表|席ごとに、見える場所と決める場所
| 席の種類 | 人から見える場所 | 先に決める場所 | 目安にするもの |
|---|---|---|---|
| カウンター | 胸から上 | 衿元・袖口 | 袖口が手首から3cm以上落ちないか |
| テーブル | 上半身と足元の一部 | 背もたれに掛ける上着 | 上着の丈が椅子の座面より下に垂れないか |
| 座敷・掘りごたつ | 靴を脱ぐ瞬間と膝まわり | 靴・裾丈 | 手を使わず10秒以内に脱げるか |
| テラス | 全身(ただし暗い) | 羽織の厚み | 日没後の気温が15℃を下回るか |
表は、どこを先に決めるかを示すためのものです。実際の判断は、下の章で席ごとに書いた寸法と気温で行ってください。
予約のときに確かめる3つのこと
席の種類は、予約の電話やメッセージで一言聞けば教えてもらえます。聞くのは次の3つで足ります。
**1つ目は、席がカウンターかテーブルか、座敷か、テラスか。**予約サイトの写真だけでは、どの席に案内されるかまでは分かりません。同じ店に複数の種類の席がある場合も多いので、「何人で、どの席になりますか」と聞くのがいちばん確実です。
2つ目は、靴を脱ぐかどうかです。座敷と書いてあっても、掘りごたつで靴を脱ぐ店、入口で靴を預ける店、座敷だけど椅子を置いている店と、扱いはさまざまです。「靴は脱ぎますか」と聞けば一度で分かります。
3つ目は、テラスなら暖房やひざ掛けがあるかどうかです。秋の夜のテラスは、暖房のそばかどうかで体感が大きく変わります。屋根があるか、風よけがあるかも、ついでに聞いておくと上着の厚みを決めやすくなります。
聞きにくいと感じるなら、「足元が不安なので」と理由を添えてください。店の側も、席を聞かれることには慣れています。むしろ、当日に「寒い」「座りにくい」と言われるほうが困るはずです。
予約サイトで席が選べるとき
予約サイトで席の種類を選べる店もあります。カウンター、テーブル、個室、テラスと並んでいて、自分で選んで予約する形です。
この場合は、席を選ぶ時点で服のことも一緒に考えてください。何を着たいかが先に決まっているなら、その服に合う席を選べばいいのです。膝丈のワンピースを着たいなら、座敷や高い椅子のカウンターは避けてテーブル席に。秋のコートを脱がずに過ごしたいなら、屋内の席に。服から席を選ぶという順番も、同じくらい役に立ちます。
個室と書かれている席は、テーブルの個室か座敷の個室かで条件が変わります。写真で床に座布団が見えたら座敷、椅子が見えたらテーブルと考えてください。
カウンター席①|座面の高さと、座ったときの裾丈
カウンター席の椅子は、テーブル席より座面が高いことが多く、足が床に届かないこともあります。座面が高いと、座ったときに裾が想像以上に上がります。
目安として、膝丈のスカートは、高めの椅子に座ると裾が10cm前後上がります。立った状態で膝がちょうど隠れる丈なら、座ると膝上5cmほどになります。立った状態で膝上の丈だと、座ったときには太ももの半ばまで上がることがあります。
確かめ方は簡単です。家で、いちばん高いダイニングチェアかキッチンの踏み台に座り、足を浮かせたまま鏡を見てください。裾が膝からどれくらい上にあるかを指で測り、指3本ぶんより上がるなら、カウンター向きではありません。
タイトなスカートは、座面が高いと前に引っ張られて裾が上がりやすくなります。スリットの位置も確かめてください。後ろにあるスリットは座ると広がらず、前や横にあるスリットは座ると開きます。カウンター席では、前や横に深いスリットのあるスカートより、後ろにスリットのあるもののほうが落ち着きます。
足置きのある椅子なら、かかとをそこに乗せて座ることになります。かかとの細い靴だと足置きの棒の上で滑りやすいので、かかとにある程度の面積がある靴のほうが楽です。高い椅子で足をぶら下げたまま2時間座るのは、思った以上に疲れます。
店の種類で、カウンターの高さは変わる
同じカウンター席でも、店の種類によって椅子の高さはかなり違います。魚や和食を出す店のカウンターは、料理人の手元が見えるように作られていて、椅子は普通の食卓の椅子に近い高さのことが多くあります。足は床に届き、裾もそれほど上がりません。
一方で、お酒を中心に出す店や、立ち飲みに近い造りの店のカウンターは、椅子が高く、足が床から離れます。焼き台や鉄板の前のカウンターも、料理人の手元に合わせて高めに作られていることがあります。
予約のときに「カウンターの椅子は高いですか」と聞くのは少し細かすぎると感じるなら、店の写真を見てください。椅子に足置きの棒が付いていれば、高い椅子です。背もたれのない丸い椅子なら、座ったときに背中を預けられないので、姿勢を保つぶん腰まわりに余裕のある服のほうが楽に過ごせます。
カウンター席②|見えるのは胸から上、だから衿元と袖口
カウンター席では、料理人が正面に立ち、隣の人は肩が触れるほどの距離にいます。そのぶん、人から見える範囲は胸から上に絞られます。下がデニムでも、上を整えればカウンターではきちんと見えます。
**衿元は、座ってうつむいたときの開き方で決めます。**立って鏡を見たときには問題のない衿ぐりでも、カウンターで皿をのぞき込むと前に開きます。家で椅子に座って、テーブルの上の皿を見下ろす姿勢をとってみてください。そのとき胸元が開きすぎるなら、上に1枚重ねるか、衿のつまった服にします。
袖口は、手首から3cm以上落ちるかどうかで分けます。ゆるい袖やフレアの袖は、カウンター越しに皿を受け取るとき、ソースやタレの器に触れやすくなります。網焼きや鉄板の前のカウンターでは、垂れた袖が熱い場所に近づくこともあります。手を前に伸ばして、袖口が手首から3cm以上落ちる服は、カウンター席では袖をまくれるものにするか、細めの袖を選んでください。
色にも少し気を配ります。白や淡い色の上は、カウンター席では料理が近いぶん、はねたソースが目立ちます。白を着たいなら、膝に掛けるナプキンを胸元にも使えるよう、大きめのものを頼めるか聞いておくと安心です。
香りの強い香水や柔軟剤も、カウンター席では隣と料理人の両方に届きます。食事の店では香りを控えめにするのが一般的ですが、カウンターは特に距離が近いことを覚えておいてください。
手元とバッグの置き場
カウンター席には、バッグを置く場所がほとんどありません。足元にかごが用意されている店もありますが、ない店では膝の上か、背中と背もたれのあいだに置くことになります。カウンター席の日は、膝の上に載せても邪魔にならない、小さめのバッグにしておくと落ち着きます。
手元も、カウンター席ではよく見られます。料理人の正面で、箸やグラスを持つ手がずっと視界に入るからです。大ぶりの指輪や、腕を動かすたびに音のするブレスレットは、カウンターの木や器に当たって音を立てることがあります。カウンター席の日は、手元のアクセサリーを1つに絞ると、食事に集中できます。
腕時計も同じです。金属のベルトの時計は、カウンターに腕を置いたときに当たります。気になるなら、食事のあいだだけ外してバッグにしまっておいてください。
座敷・掘りごたつ①|靴を脱ぐ秒数で靴を選ぶ
座敷や掘りごたつの席では、靴を脱ぐ瞬間が人目に入ります。店の入口や座敷の手前で、案内の人や同行者を待たせながら靴を脱ぐことになるからです。
**目安は、手を使わずに10秒以内で脱げるかどうかです。**かかとを踏んだり、紐をほどいたり、ファスナーを下ろしたりする必要がある靴は、たいてい10秒を超えます。玄関で立ったまま脱ぎ履きを試し、スマートフォンのストップウォッチで測ってみてください。
秋になると履きたくなるブーツは、座敷ではいちばん手間取る靴です。ショートブーツでもファスナーを下ろして足を抜くのに20秒前後、膝下までのブーツなら30秒を超えることもあります。帰りに履くときはさらに時間がかかります。座敷の店に行く日は、ブーツではなく、甲の開いたパンプスやローファー、ストラップが1本だけの靴にしておくと楽です。
脱いだあとの足元も見られます。ストッキングのつま先の補強部分や、靴下のかかとの薄くなった部分は、立っているときには見えなくても、座敷では目に入ります。出かける前に、履いている靴下やストッキングを一度確かめてください。靴の中敷きも、脱いで並べると見えます。中敷きがはがれかけていたり、汚れが目立ったりする靴は、座敷の日には避けたほうが落ち着きます。
お手洗いに立つときと、帰りに履くとき
座敷の店では、食事の途中でお手洗いに立つときにも、靴を履くかスリッパに履き替えることになります。脱ぎ履きの手間は、入口で一度だけではなく、食事のあいだに何度か繰り返すものと考えてください。
帰りに靴を履くときは、入口で大勢が一度に靴を履くので、さらに混み合います。かかとを入れるのに靴べらが要る靴や、ストラップを留め直す靴は、後ろの人を待たせがちです。靴べらを使わずに、立ったままかかとを入れられる靴なら、帰りも慌てずに済みます。
脱いだ靴は、店の人が向きをそろえて並べてくれることが多くあります。自分で脱いだ場合は、つま先を外に向けてそろえておくと、帰りに履きやすくなります。
座敷・掘りごたつ②|床に座っても膝が隠れるか
座敷の席では、床に座ります。正座でも横座りでも、スカートは立っているときより大きく上がり、横にも広がりません。
膝丈のスカートで正座をすると、裾は膝の上に乗り、膝頭が出ます。横座りにすると、上になった側の脚の太ももまで見えることがあります。**座敷で膝を隠したいなら、立ったときに膝下10cm以上の丈が要ります。**ふくらはぎの真ん中にかかるくらいの丈なら、正座でも横座りでも膝が隠れます。
タイトなスカートは、座敷ではいちばん困ります。正座をするには、膝を曲げたときに太もものまわりに余裕が要りますが、タイトスカートにはそれがありません。座れても、座り直すたびに裾を引っ張ることになります。座敷の店では、フレアやプリーツのように裾に広がりのあるスカートか、ゆとりのあるパンツを選んでください。
パンツの場合は、座ったときに膝まわりと腰まわりに余裕が残るかを見ます。硬いデニムや細身のパンツは、床に座ると膝の裏とお腹に食い込みます。床に座って、膝まわりの生地をつまんだとき、指2本ぶんのゆとりが残るかどうかで確かめてください。
掘りごたつの席は、床に座るといっても足を下に下ろせるので、正座ほどは裾が上がりません。ただ、出入りのときに一度床に腰を下ろしてから足を入れるので、その瞬間だけは座敷と同じです。掘りごたつだから大丈夫と思わず、座敷と同じ丈を目安にしておくと安心です。
秋冬の座敷は、床から冷える
秋が深まると、座敷の床は冷たくなります。暖房が効いていても、暖かい空気は上にたまり、床に近いところは冷えたままです。2時間座っていると、足先や腰が冷えてきます。
座敷の店に行く日は、靴下やストッキングを一段厚めにしておくと楽です。薄いストッキング1枚だと、畳の冷たさがそのまま足に伝わります。厚手のタイツや、ストッキングの上に履ける薄手の靴下を持っていき、座敷に上がる前に重ねるのも一つの方法です。
膝掛けになる薄手のストールを持っていると、座敷では膝の上に掛けて、裾の乱れを隠す役にも立ちます。座っているあいだの冷えと、膝が出る心配を、1枚で同時に防げます。
テラス席①|日没後の気温で羽織を決める
テラス席は、日が落ちると外の気温がそのまま体に来ます。昼の暖かさで服を決めると、食事の後半に冷えてきます。
**目安にするのは、食事が終わる時刻の気温です。**秋の夜は、日が落ちてから1時間で2〜3℃下がることがあります。18時に席に着いて20時に食事を終えるなら、天気予報で20時の気温を見てください。
- 18℃以上なら、薄手のカーディガンかシャツを1枚羽織れば足ります
- 15〜18℃なら、ジャケットか厚手のカーディガンを着たまま食事をする前提にします
- 15℃を下回るなら、コートを脱がずにいられる組み方にします
15℃が境目になるのは、そのあたりから、座ってじっとしていると体が冷えやすくなるからです。歩いているときには気にならない気温でも、2時間座っていると体は冷えます。
コートを脱がずに食事をするなら、コートの袖が料理に触れないかを確かめてください。袖口の太いコートは、皿を取り分けるときに邪魔になります。食事のあいだ着たままでいるなら、袖の細いジャケットや、袖をまくれるコートのほうが使いやすくなります。
店に暖房やひざ掛けがあるかで、必要な厚みは変わります。予約のときに聞いたうえで、暖房のそばの席なら一段軽く、なければ一段重くしてください。
雨上がりの夜と、ストーブのそば
雨上がりの夜のテラスは、気温の数字より寒く感じます。地面や椅子が湿っていて、空気も冷たく重いからです。雨上がりの日は、天気予報の気温より2〜3℃低い日と考えて、上着を一段厚くしてください。
椅子が濡れていることもあります。店の人が拭いてくれることがほとんどですが、淡い色のスカートやパンツは、わずかな湿りでも跡が残ります。雨上がりのテラスに行く日は、濃い色の下か、膝に掛けて座れるストールを持っていくと安心です。
反対に、ストーブのすぐそばの席に通されると、テラスでも暑いくらいになります。ストーブに近い側だけが熱くなり、反対側は冷えたままです。脱ぎ着しやすい上着にしておけば、席の位置に合わせて調整できます。厚いコート1枚より、薄手のものを2枚重ねるほうが、テラスでは使いやすくなります。
テラス席②|風と照明で変わること
テラス席では、風と照明も服の見え方を変えます。
風が強い日は、軽い素材のスカートが膝の上でめくれ、髪が料理にかかりそうになります。薄い生地のフレアスカートは、座っていても風を受けて浮きます。風が強い予報の日は、裾に重みのある素材や、膝の上にナプキンを広げて押さえられる丈を選んでください。髪が長いなら、まとめておくと食事のあいだ気にせずに済みます。
照明は、屋内より暗いことが多くなります。暗い照明の下では、黒や紺のような濃い色は背景に溶け、写真に撮ると輪郭が見えにくくなります。テラスで写真を撮りたいなら、顔の近くに明るい色を1つ置いてください。白いシャツの衿、淡い色のストール、光る素材の小さなアクセサリーなど、胸から上に光を拾うものがあると、暗い中でも顔が沈みません。
秋のテラスで羽織るものを選ぶなら、上着の色を明るめにするのも一つの手です。羽織を着たまま食事をすることになるので、上着の色がそのまま全体の印象になるからです。
テラスの照明は、席によっても明るさが違います。店の建物に近い席は屋内の明かりが届いて明るく、外側の席ほど暗くなります。写真を撮りたい日は、予約のときに「明るい席がいいです」と伝えておくのも一つの方法です。
テーブル席|いちばん自由だが、背もたれに掛ける上着を見る
テーブル席は、ほかの席に比べて困ることが少ない席です。椅子の高さは普通で、靴を脱がず、屋内なので気温も安定しています。服は、店の雰囲気に合わせて選べば十分です。
ひとつだけ気にしたいのが、脱いだ上着の置き場所です。テーブル席では、上着を椅子の背もたれに掛けることが多くなります。そのとき、上着の裾が座面より下に垂れると、通る人の足に当たったり、床に触れたりします。
**上着の丈は、背もたれに掛けたときに座面より上に収まるかで見てください。**腰丈のジャケットや短めのカーディガンなら、背もたれに掛けても座面の上に収まります。膝まであるコートは、背もたれに掛けると床に近づくので、入口で預けられるか聞いておくと安心です。
荷物のかごがある店では、上着をかごに入れることもできます。かごに入れても型崩れしない素材かどうかも、上着を選ぶときの目安になります。
子どもと一緒の日のテーブル席
子どもと一緒に食事をする日は、テーブル席になることが多いでしょう。子ども用の椅子が置けるのは、たいていテーブル席だからです。
子どもと一緒の日は、服の基準が一つ増えます。子どもが手を伸ばしたときに、袖口や膝に食べ物が付いても困らないかどうかです。淡い色や、洗いにくい素材の服は、子どもと一緒の日には向きません。膝の上にナプキンやタオルを広げておけるよう、膝の上が平らになる丈と形の服にしておくと、食事のあいだ慌てずに済みます。
子どもを抱き上げたり、席を立ってあやしたりすることも増えます。立ったり座ったりを繰り返しても裾が乱れない、ゆとりのある服を選んでください。
どちらとも取れるとき①|席が当日まで分からない
予約サイトで席を選べなかった、人数が決まらず席が確定していない、店に聞いても「当日のご案内になります」と言われた。そういうときは、どの席に当たっても困らない組み方にします。
組み方は3つです。まず、裾は立って膝が隠れる丈より長いものにします。膝下10cm以上あれば、カウンターの高い椅子でも座敷の床でも膝が出すぎません。パンツなら、座って膝まわりに指2本ぶんのゆとりが残るものです。
次に、靴は手を使わずに10秒以内で脱げるものにします。座敷に当たったときだけ困る靴を履いていくと、その日に限って座敷に通されることがあります。
最後に、羽織を1枚持ちます。テラスに当たったときには上着として着て、屋内なら膝に掛けるか椅子の背に掛けます。膝に掛けても肩に羽織っても形になる、薄手の大判ストールやカーディガンが使いやすいでしょう。
迷ったら、座敷に合わせてください。座敷でいける服は、カウンターでもテーブルでもまずいけます。反対に、カウンター向きの短い丈やテラス向きの厚いコートは、ほかの席では困ることがあります。いちばん条件の厳しい席に合わせておけば、ほかの席では余裕が出ます。
席に通されてから、その場で直せること
席が分からないまま出かけて、思っていたのと違う席に通されることもあります。そのときに、その場で直せることを知っておくと慌てません。
カウンターの高い椅子で膝が出すぎるなら、ストールやナプキンを膝に広げてください。座敷で靴の脱ぎ履きに手間取るなら、先に同行者に入ってもらい、自分は最後にゆっくり脱げば、人を待たせずに済みます。テラスで寒いなら、店の人にひざ掛けや席の移動ができるかを聞いてみてください。屋内に空いた席があれば、移してもらえることもあります。
どの席でも、ストールが1枚あれば、膝を隠す、寒さを防ぐ、汚れを防ぐの3役をこなします。席が分からない日の持ち物としては、いちばん役に立つ1枚です。
どちらとも取れるとき②|1軒目と2軒目で席が違う日
食事のあとにもう1軒行く日は、席の種類が2つ重なります。1軒目が座敷で、2軒目がカウンターのバー、というような組み合わせです。
この場合は、条件の厳しいほうに合わせます。座敷とカウンターなら、座敷の条件である裾丈と靴を満たしたうえで、カウンターの条件である衿元と袖口を整えます。膝下の丈のワンピースに、脱ぎやすい靴、袖口の細いカーディガンを合わせれば、どちらの席でも困りません。
1軒目がテラスで2軒目が屋内なら、テラスの寒さに合わせた上着が、2軒目では荷物になります。2軒目にクロークや荷物かごがあるかを確かめておくか、たたんで小さくなる上着にしておくと、移動のあいだも楽です。
時間帯がずれることにも注意してください。1軒目を18時に始めて2軒目を出るのが22時なら、帰り道の気温は1軒目の開始時刻より5℃以上低いことがあります。秋の夜は、出かけるときより帰るときの服で決めておくほうが、後から困りません。
どちらとも取れるとき③|「カジュアルで大丈夫です」と言われた
店に服装を聞いたら「カジュアルで大丈夫です」と言われた。けれど、どこまでカジュアルにしていいか分からない。そういうときも、席から考えると線を引きやすくなります。
カウンター席なら、下はカジュアルでかまいません。上だけ、衿のある服か、衿ぐりが整ったきれいめのニットにしておけば、料理人の前でも落ち着きます。見えるのは胸から上なので、デニムやスニーカーでもほとんど気になりません。
座敷なら、カジュアルの度合いより、床に座れるかどうかを優先してください。柔らかいワイドパンツや、裾の広いロングスカートは、カジュアルでも座敷向きです。
テラスなら、カジュアルな上着で寒さに備えれば十分です。パーカーやデニムジャケットでも、テラスの雰囲気には合います。
テーブル席は、店の内装と照明に合わせてください。照明が暗く、テーブルクロスが掛かっている店なら、カジュアルといっても一段きれいめに寄せると浮きません。明るく、木のテーブルがむき出しの店なら、普段着に近くてもなじみます。
記念日の夜と、仕事の会食で変えるところ
同じ席でも、誰と何のために行くかで、整える場所の優先順位が少し変わります。
**記念日の夜は、写真に残る場所を優先します。**カウンターなら胸から上、テラスなら顔のまわりの明るさです。記念日の食事では、料理と一緒に写真を撮ることが多く、写るのは座った姿の上半身です。衿元のアクセサリーや、顔の近くの色を、ほかの日より少し華やかにしても浮きません。
仕事の会食では、席を立つ回数と、立ったときの姿を優先します。取引先の人を出迎える、席を立って挨拶する、帰りに見送る。仕事の会食では、座っている時間よりも、立ち上がる瞬間を見られることが多くなります。座敷の会食なら、靴の脱ぎ履きと、立ち上がるときに裾が乱れないかを家で一度試してください。膝をついて立ち上がる動作で、スカートの後ろが脚にまとわりつかないかを見ておくと安心です。
どちらの場合も、決めるのは席の種類です。そのうえで、写真か、立つ姿か、どちらを優先するかで、整える場所を一つ足してください。
年代で変わるところ
席の種類から決めるという手順は、年代が変わっても同じです。ただ、年代によって、気になりやすい場所が少しずつ変わります。
20代から30代前半は、カウンターの高い椅子でも身軽に座れるぶん、裾丈の確認を後回しにしがちです。座ったときの膝の位置を一度鏡で見ておくだけで、写真に残ったときの印象が変わります。
30代後半から40代は、座敷で床に座る時間の長さが気になりやすくなります。正座が続くと足がしびれ、横座りに崩すたびに裾が乱れます。座敷の店では、足を崩しても膝が隠れる丈と、座り直しやすいゆとりを優先してください。
50代以降は、テラスの冷えと、座敷から立ち上がる動作が負担になりやすくなります。テラスでは上着を一段厚く、座敷では掘りごたつの席を頼めるか予約のときに聞いておくと、食事のあいだを楽に過ごせます。どの年代でも、決めるのは席の種類で、年代はそこに足す確認を1つ増やすだけです。
よくある行き違い
最後に、席の種類を確かめずに服を決めたとき、よく起きる行き違いをまとめます。
「きれいめにしたのに、座敷で膝が出た」。きれいめのワンピースは膝丈のものが多く、座敷では短くなります。きれいめであることと、床に座れることは別の条件です。
「テラスで写真を撮ったら、顔だけが暗かった」。テラスの照明は、屋内より暗いことが多く、濃い色の服だと顔のまわりが沈みます。顔の近くに明るいものを1つ置くだけで変わります。
「ブーツを脱ぐのに時間がかかり、同行者を待たせた」。秋のブーツは、座敷の店でいちばん困る靴です。座敷かどうか分からない店に行く日は、脱ぎやすい靴にしておくほうが気が楽です。
「カウンターで袖がソースの器に触れた」。ゆるい袖は、カウンター越しに皿を受け取るときに器に近づきます。カウンター席の日は、袖口の細い服か、まくっておける袖の服にしてください。
「テラスで上着を脱いだら、椅子の背に掛ける場所がなかった」。テラス席の椅子は、背もたれが低かったり、細い棒だけだったりすることがあります。テラスでは上着を脱がずに過ごす前提で、着たまま食事ができる袖の細い上着を選んでください。
「座敷で横座りを続けたら、スカートにしわが残った」。薄手の素材は、床に座るとしわが付きやすく、立ち上がったときに目立ちます。座敷の店に行く日は、しわになりにくい素材か、しわが目立ちにくい柄のものを選ぶと、帰り道も気になりません。
どれも、着る前に席の種類を聞いていれば防げることです。店の格を気にする前に、一度「どの席になりますか」と聞いてみてください。
関連記事
よくある問い
- Q. レストランの服装は、何を基準に選べばいいですか
- 店の格や料理の種類より先に、座る席の種類を確かめてください。カウンター席なら見えるのは胸から上なので、衿元と袖口を整えます。座敷や掘りごたつの席なら靴を脱いで床に座るので、脱ぎやすい靴と、座っても膝が隠れる裾丈が要ります。テラス席なら日が落ちてからの気温がそのまま体に来るので、脱がずにいられる羽織を持ちます。テーブル席はいちばん自由ですが、背もたれに掛ける上着が椅子からはみ出さないものを選ぶと落ち着きます。予約のときに席の種類を一言聞くだけで、服の迷いはほとんど消えます。
- Q. 席が当日まで分からないときは、どうすればいいですか
- 3つの席のどれに当たっても困らない組み方にします。立って膝が隠れる丈のワンピースか、ゆとりのあるパンツ。靴は手を使わずに10秒以内で脱ぎ履きできるもの。そして、膝に掛けても肩に羽織っても形になる薄手の上着を1枚。この3つがそろっていれば、カウンターでも座敷でもテラスでも、どこか1か所だけが足りないということが起きません。迷ったら、座敷に合わせて決めるのが安全です。座敷でいける服は、ほかの席でもまずいけます。
- Q. カジュアルな店と言われたら、デニムでもいいですか
- 席がテーブルかテラスなら、デニムで困ることはほとんどありません。カウンター席なら、下がデニムでも上を整えれば十分です。見えるのは胸から上だからです。気をつけたいのは座敷で、硬いデニムは床に座ると膝の裏とお腹に食い込み、2時間の食事のあいだに何度も座り直すことになります。座敷の店で下をパンツにするなら、生地が柔らかく、座ったときに膝まわりに指2本ぶんのゆとりが残るものを選んでください。
— メグラシ編集部





