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スーツに似合う帽子|つばと下襟の幅の比が2〜3.5倍なら合う

メグラシ編集部//読了 20分
きちんとした上下の装いに帽子を合わせ、つばの長さと下襟の幅を見比べている場面

スーツに似合う帽子は、帽子の形の名前では決まりません。決めているのは、つばの長さと、上着の下襟の幅の比です。つばが下襟のいちばん広いところの2倍から3.5倍に入っていれば、帽子と襟の線がそろって見えます。

もう1つは傾きです。本体の上端の線が床と平行か、前後の傾きが5度以内なら、肩の水平と帽子の水平がそろいます。この2つが範囲に入れば、どんな形の帽子でもスーツと釣り合います。

秋冬は、ここにコートの襟が加わります。外ではコートを着るので、比をコートの襟で取り直す必要があります。この記事では、手持ちの上着で測る手順から、秋冬の素材の合わせ方、コートとの関係、迷ったときの決め方までを順に書きます。

まず測る|つばの長さと下襟の幅

必要なのは、メジャーか定規だけです。手持ちの上着と帽子を並べて、次の2つを測ります。

  1. 上着の下襟のいちばん広いところの幅を、縫い目に対して直角に測る
  2. 帽子を正面から見て、全体の横幅と本体の横幅を測る
  3. 全体の横幅から本体の横幅を引く。これが左右合わせた「つばの長さ」
  4. つばの長さを下襟の幅で割る

下襟は、襟の折り返しのうち、胸側にある部分です。首に立っている上側の襟ではなく、胸の前で下へ向かって開いている側です。いちばん広いところは、たいてい胸のポケットの高さか、少し上にあります。

つばの長さを正面の横幅で測るのは、人の目が、正面から見たときに本体の左右へはみ出しているつばの横線を、下襟の線と並べて読むからです。帽子を机に置き、真上から定規を当てて、つばの端から端までと、本体の端から端までを、それぞれ直線で測ってください。

2つの線と、それぞれの範囲

見るところ測り方成立する範囲
比つばの長さ ÷ 下襟の最大幅2〜3.5倍
傾き本体上端の線と床の角度5度以内
艶表面が光を散らすか、帯で返すか上着と同じ帯

比と傾きは、スーツと帽子が合うかどうかの骨組みです。艶は、骨組みが合ったうえで、素材の質感がそろっているかを見るものです。

この3つは、見る順番も決まっています。比は帽子か上着を替えないと動きません。傾きはかぶり方で動かせます。艶は表面の性質なので、比と傾きが合ったあとに確かめれば足ります。

比|つばの長さ ÷ 下襟の最大幅

下襟の幅が8cmの上着なら、つばの長さは16cmから28cmが範囲です。下襟が6cmの細い上着なら、12cmから21cm。下襟が10cmの広い上着なら、20cmから35cmになります。

たとえば、全体の横幅が32cmで本体の横幅が17cmの帽子なら、つばの長さは15cmです。下襟が7cmの上着と合わせると、比は約2.1倍で範囲に入ります。同じ帽子でも、下襟が9cmの広い上着と合わせると1.7倍になり、範囲を下回ります。

下襟の幅は、上着ごとに固定の数字です。同じ形に見えても、幅が2cm違うことは珍しくありません。2cm違えば、つばの上限は7cm動きます。手持ちの上着を並べて、いちばん広いところに定規を当てるだけで、その日から使える物差しになります。

測る位置も間違えないでください。下襟がいちばん広くなるのは、折り返しが胸のほうへ向きを変える手前です。首に近い側で測ると細く出て、いちばん外の角で測ると広く出ます。折り返しの縁に沿って定規を滑らせ、いちばん長くなったところで止めてください。

数字で見ているものは、つばの横線が襟の線より細すぎず、太すぎないかどうかです。2本の線が、同じ縮尺の帯として目に入れば、帽子と上着がひと組に見えます。

2倍を下回るとき、3.5倍を超えるとき

下襟が細い上着では、上限のほうが先に効きます。下襟が5cmなら、つばの上限は17.5cmです。同じ帽子でも、下襟が9cmの上着なら31cmまで許されます。帽子が合うかどうかは、帽子だけでも上着だけでも決まらず、2つの組み合わせでしか決まりません。

比が範囲を下回ると、つばが襟より細く見えます。顔のまわりの線が細く、胸の線が太くなるので、視線が胸に落ちて、帽子が小さく浮いて見えます。

比が範囲を超えると、つばが襟より強く見えます。顔のまわりに太い線ができて、胸の襟が細く見えます。全身の重さが頭に集まり、帽子だけが主役になります。

どちらの場合も、帽子が悪いわけでも、上着が悪いわけでもありません。2本の線の太さが合っていないだけです。手持ちの上着が複数あるなら、同じ帽子を別の上着に合わせて、比が範囲に入る組み合わせを探してください。

なぜ形の名前ではなく、線で決まるのか

帽子には、形の名前がたくさんあります。中折れの帽子、丸い山の帽子、ベレー帽、キャスケット、ニット帽。スーツに合うかどうかを、この名前で覚えようとすると、例外が多すぎて迷います。

同じ名前の帽子でも、つばの出や本体の高さは一つずつ違います。つばの細い中折れの帽子もあれば、つばの広い中折れの帽子もあります。名前が同じでも、比が範囲に入るものと外れるものがあります。

目が読んでいるのは、名前ではなく線です。顔のまわりにできる帽子の線と、胸の前にできる襟の線。この2本が同じ太さでそろっていれば、帽子と上着がひと組に見えます。形の名前で迷ったら、名前を忘れて、線を2本並べて比べてください。

傾き|本体の上端が、床と平行か

比が合ったら、次は傾きです。横から鏡に映して、本体の上端にできている線を見ます。

  • 床と平行:肩の線とも平行になり、帽子と上着の水平がそろう
  • 前が下がる:5度以内なら落ち着いて見える。5度を超えると前へ倒れて見える
  • 後ろが下がる:5度以内なら軽く見える。5度を超えると後ろへ倒れて見える

5度は、本体の前から後ろまでの長さが20cmなら、前後の高さの差が2cmほどです。鏡の前で、本体の前の端と後ろの端に指を置き、高さの差が指1本の太さより小さければ、5度以内に入っています。

傾きが5度を超えると、肩の水平と帽子の水平がぶつかります。スーツの肩は、肩パッドや芯で水平に整えられているので、帽子の傾きがより目立ちます。

傾きの直し方は、後ろの縁だけ

傾きは、かぶり方でその場で直せます。直すときは、後ろの縁だけを動かしてください。

前が下がっているなら、後ろの縁を下へ押します。後ろが下がっているなら、後ろの縁を少し上へ持ち上げて、前を浅くかぶります。前の縁を動かすと、つばの見え方が変わって、比の見え方まで変わってしまいます。後ろだけを動かせば、つばの線は保ったまま、本体の上端の傾きだけが直ります。

髪型によっては、後ろの縁が髪に乗って、どうしても後ろが上がることがあります。この場合は、髪を低い位置でまとめるか、後ろの髪を首に沿わせて下ろすと、縁が髪の上に乗らずに収まります。

秋冬は、帽子とコートの襟が同時に見える

秋から冬にかけて、スーツの上にコートを着る日が増えます。外にいるあいだ、帽子と並んで見えるのは、上着の襟ではなくコートの襟です。

コートの襟は、上着の襟より広いことが多く、厚みもあります。上着の襟で比が範囲に入っていた帽子が、コートを着ると2倍を下回ることがあります。コートの襟が帽子より強く見えて、帽子が小さく浮きます。

秋冬に帽子を選ぶときは、上着の襟とコートの襟の両方で比を確かめてください。両方で範囲に入る帽子が、いちばん出番の多い一つになります。片方でしか入らない帽子は、コートを着ない日か、コートを着る日のどちらかに使い分けます。

コートを着る日は、比をコートの襟で取り直す

コートの襟で比を取るときも、測り方は同じです。コートの下襟のいちばん広いところを、縫い目に対して直角に測ります。

襟の形によっては、下襟がない一着もあります。立ち襟や、襟のないコートです。この場合は、首まわりの襟の高さで比を取ります。襟の高さの2倍から3.5倍が、つばの範囲になります。襟のないコートなら、比の物差しがないので、帽子のつばは細めにして、本体の傾きと艶で合わせます。

コートの前を開けて着る日は、コートの襟と上着の襟の両方が見えます。この場合は、より外側にあるコートの襟を優先して比を取ってください。外側の線のほうが、帽子に近く、太く見えるからです。

秋冬の素材|起毛と艶の帯をそろえる

上着の表面合わせる帽子の表面避けるもの
つや消しの起毛した布起毛したフェルト、毛足の短い布光を帯で返す硬い表面
つや消しの平らな布起毛の少ないフェルト、平らな布毛足の長い起毛
光沢のある布艶のある表面、張りのある布起毛の強いもの
目の詰まった編み地編み地の帽子、柔らかいフェルト艶の強い硬い表面

秋冬のスーツは、起毛した布やつや消しの布が増えます。帽子も、表面が光を散らすか、帯で返すかの2種類に分けて、上着と同じ側にそろえてください。

つや消しの上着に、光を帯で返す帽子を合わせると、帽子だけが別の光り方をして浮きます。起毛した上着に起毛の帽子を合わせると、表面の質感が続いて、帽子と上着がひと組に見えます。

フェルトの帽子は秋冬の定番ですが、フェルトにも起毛の強いものと平らなものがあります。帽子の表面を指でなでて、毛足が立つか、指が滑るかを見てください。上着の表面も同じようになでて、同じ感触の側にそろえます。

色は、上着より濃いか淡いかを決めておく

帽子の色は、上着と同じ色にするか、上着より濃いか淡いかをはっきり決めておきます。中途半端に近い色は、違いが目立って、合わせ損ねたように見えます。

  • 同じ色:帽子と上着がひと続きになり、縦に長く見える
  • 上着より濃い色:帽子が引き締まって見え、顔まわりがはっきりする
  • 上着より淡い色:帽子が軽く見え、顔まわりが明るくなる

秋冬は、深い色のスーツが増えます。深い紺やこげ茶の上着には、同じ色か一段濃い色の帽子を合わせると、落ち着いた印象になります。淡い色の帽子を合わせるなら、マフラーや手袋にも同じ淡さの色を入れて、顔まわりと手元で色を呼応させてください。

コートを着る日は、帽子の色をコートとの関係でも決めておきます。外ではコートが全身でいちばん大きな面になるので、帽子の色はコートと同じか、コートより濃いか淡いかで見え方が決まります。上着とコートの色が違う場合は、帽子をどちらかに必ずそろえてください。上着にもコートにも属さない3つめの色の帽子は、顔まわりに色が1つ増えて、装いがまとまりにくくなります。迷ったら、外にいる時間が長い日はコートに、屋内でかぶったままの時間が長い日は上着に、帽子の色を合わせます。

柄の入った上着の場合は、柄の中でいちばん面積の大きい色を上着の色として扱います。細い縞や小さな格子の上着なら、少し離れて見たときに見える色が、帽子と比べる色です。

本体の高さは、顔の縦の長さと比べる

つばの比と傾きが合っても、本体の高さが合わないと、帽子だけが目立ちます。本体の高さは、顔の縦の長さと比べて決めます。

鏡の前で、額の生え際からあごの先までの長さを測ってください。本体の高さが、その長さの半分から3分の2ほどに収まっていれば、顔と帽子の縦の比率が落ち着きます。半分より低いと帽子が浅く見え、3分の2を超えると頭の上が重く見えます。

本体の高さは、かぶる深さでも変わります。深くかぶると、見えている本体が低くなります。浅くかぶると高くなります。比と傾きを決めたあとで、かぶる深さを少しずつ変えて、顔の長さとの比率が落ち着く位置を探してください。

帽子の帯は、首元の線の太さにそろえる

帽子の本体とつばの境目に巻かれている帯も、線の一つです。帯の幅は、首元にできている線の太さとそろえると、全身の線が整います。

首元の線とは、シャツの襟の幅や、首に巻いたスカーフの幅、インナーの首元の縁です。シャツの襟が細いなら、帯も細いものを選びます。首元にスカーフを巻くなら、スカーフの幅と帯の幅を近づけてください。

帯の色は、首元の色か、上着の色のどちらかにそろえます。どちらとも違う色の帯は、顔のまわりにもう1本の色の線を足すので、帽子が装いから浮いて見えます。

パンツスーツとスカートのスーツで変わるところ

比と傾きの基準は、パンツスーツでもスカートのスーツでも変わりません。変わるのは、全身の重心と、帽子が受け持つ役目です。

パンツスーツは、脚の線がまっすぐ下へ伸びて、全身が縦の線で読まれます。帽子のつばは、この縦の流れを頭の上で受け止める役目を持つので、比の範囲の中でも少し広め、2.5〜3.5倍の側が合いやすくなります。

スカートのスーツは、裾で横の線が一本入ります。帽子のつばが広すぎると、頭と裾の2か所に横の線が強く出て、体の真ん中が短く見えます。比の範囲の中でも少し狭め、2〜3倍の側を選ぶと、上下の釣り合いが取れます。

髪型とかぶる深さ

帽子の見え方は、髪型とかぶる深さでも変わります。髪の量が多いと、帽子が頭の上に乗って浅くなり、本体が高く見えます。髪をまとめると、深くかぶれて、本体が低く見えます。

髪を下ろすなら、耳の上あたりで髪が帽子の縁から出る量を、左右でそろえてください。片方だけ多く出ると、本体の上端の傾きとは別に、帽子が斜めにかぶっているように見えます。

髪をまとめるなら、低い位置でまとめると、後ろの縁が髪に乗らず、傾きを直しやすくなります。高い位置でまとめると、まとめた髪が本体の後ろを押し上げて、前が下がった形になりやすくなります。

屋内で脱ぐ回数から、形を逆算する

スーツで帽子をかぶる日は、屋内に入ると脱ぐ場面が多くなります。仕事の訪問、式典、食事の席。脱ぐ回数が多い日は、比と傾きが範囲でも、形を変える判断が要ります。

脱ぐ回数が3回を超える日は、次の2つを確かめてください。

  1. 片手で持ったとき、もう片方の手が空いたまま動けるか
  2. 脱いだあと、置く場所があるか、なければ膝の上に収まるか

つばの広い帽子は、片手で持つと手首に重さがかかり、扉を開けたり資料を受け取ったりするときに邪魔になります。本体が高い帽子は、膝の上に置くと倒れやすく、席で落ち着きません。脱ぐ回数が多い日は、つばが狭く、本体が低めで、柔らかく折りたためる帽子を選ぶと、一日を通して扱いやすくなります。

席で置く場所を、先に決めておく

帽子を脱いだあと、どこに置くかを先に決めておくと、帽子の選び方が変わります。

  • 帽子掛けや荷物置きがある場所:形を崩さずに置ける。比と傾きを優先して選ぶ
  • 椅子の背やひざの上に置く場所:柔らかく、つぶれても戻る帽子を選ぶ
  • 置く場所がない場所:かばんにしまえる、折りたためる帽子を選ぶ

秋冬は、コートも脱いで手に持つことになります。コートと帽子とかばんを同時に持つと、手がふさがります。コートの袖の中に帽子を入れて、コートと一緒に腕に掛けると、片手が空きます。この持ち方ができる柔らかさがあるかも、選ぶときに確かめてください。

場面ごとの許容範囲|式典・仕事・街

比と傾きの基準は、場面によって少し幅が変わります。

式典や改まった席では、比も傾きも範囲の中央に寄せます。比は2.5〜3倍、傾きは床と平行に近く。帽子の線と襟の線がきっちりそろうほど、装い全体が改まって見えます。屋内では脱ぐのが基本なので、脱いだあとの置き場所も先に確かめておいてください。

仕事の日は、範囲の中であれば大丈夫です。脱ぐ回数が多くなりがちなので、扱いやすさを優先します。

街を歩く日や、休日にスーツを着る日は、範囲の端まで使えます。比が3.5倍に近い広めのつばや、傾きが5度に近い少し倒した角度も、遊びとして成り立ちます。ただし、範囲の外まで出ると、線がずれて見えるので、端までにとどめてください。

どちらとも取れる場合①|比が1.9

比を測ったら、2倍にわずかに届かない1.9倍だった。いちばん多い迷い方です。

この場合は、かぶる深さを少し浅くしてみてください。浅くかぶると、つばの前の縁が少し上がり、正面から見たつばの線が太く見えます。比の数字は変わりませんが、目に入る線の太さが増えて、2倍に届いたときと近い見え方になります。

もう一つの方法は、上着の襟を細く見せることです。襟の外側にマフラーやストールを掛けると、見えている下襟の幅が狭くなります。見えている幅で比を取り直すと、2倍を超えることがあります。秋冬は巻き物が自然に使えるので、この方法が取りやすい季節です。

どちらとも取れる場合②|傾きが5度前後

傾きを直そうとしても、5度前後から動かない。髪型や頭の形で、どうしても後ろが上がる、または前が下がることがあります。

この場合は、傾きの向きを全身の線にそろえます。前が下がる傾きなら、上着の前の裾も少し下がって見える形のほうが、全身の傾きが一つの方向にそろいます。後ろが下がる傾きなら、上着の前を開けて、前の線を少し上げて見せると、帽子と上着の傾きが呼応します。

それでも落ち着かないなら、帽子の形を替えます。本体の前後の長さが短い帽子は、同じ高さの差でも傾きの角度が大きくなります。本体が前後に長い帽子を選ぶと、同じ差でも角度が小さくなり、5度以内に収まりやすくなります。

どちらとも取れる場合③|艶が中間

帽子の表面が、つや消しとも光沢とも言い切れない中間のときがあります。秋冬のフェルトに多い迷い方です。

この場合は、照明の下で、帽子と上着を並べて見てください。天井の照明が帽子に帯状に映るなら、光沢の側です。光がぼんやり広がるなら、つや消しの側です。上着も同じように見て、同じ側にそろっているかを確かめます。

それでも決まらないなら、外で見てください。屋外の光は屋内より強く、艶の差がはっきり出ます。帽子をかぶって出かける場面が外であるなら、外の光で見た結果を優先してください。

どちらとも取れる場合④|コートを脱ぐと比が外れる

コートを着ているときは比が範囲に入るのに、脱いで上着だけになると3.5倍を超える。秋冬にだけ起きる迷い方です。

コートの襟が広いぶん、それに合わせた広いつばの帽子は、上着の細い襟と並ぶと強すぎます。この場合は、屋内で帽子を脱ぐ場面かどうかで決めてください。屋内で脱ぐなら、上着と帽子が並ぶ時間はほとんどないので、コートの襟に合わせた帽子で構いません。

屋内でもかぶったままの場面があるなら、上着の襟とコートの襟の中間の比になる帽子を選びます。両方で範囲の端に入る帽子なら、どちらと並んでも線が大きく外れません。手持ちの上着とコートの組み合わせごとに、比を一度ずつ測っておくと、出かける前に迷わなくなります。

つばのない帽子は、本体の縁を線として見る

秋冬には、ベレー帽やニット帽のような、つばのない帽子をスーツに合わせたい日もあります。つばがないので、比の物差しはそのままでは使えません。この場合は、本体の縁、つまり額の上にできる帽子の下端の線を、つばの代わりに読みます。

見るのは、縁の線の太さと、額の上での高さです。縁が折り返しになっている帽子なら、折り返しの幅を下襟の幅と比べてください。折り返しの幅が下襟の幅の3分の1から3分の2ほどなら、線の太さが釣り合います。折り返しが下襟と同じくらい太いと、額の上に太い横線が入り、顔まわりが重く見えます。

額の上での高さは、眉から縁までの距離で見ます。眉から指2本分ほど上に縁があれば、顔の縦の長さと帽子の縁の線が落ち着きます。眉にかかるほど深くかぶると、顔の上半分が隠れて、スーツの改まった印象と離れます。

ベレー帽は、片側に倒す角度で全身の印象が変わります。スーツに合わせるなら、倒す角度は小さく、本体の上端が床と平行に近い位置にとどめてください。大きく倒すと、肩の水平とぶつかって、傾きの基準を超えたときと同じ見え方になります。ニット帽は、編み地の表面が上着と同じ側にそろうかを、前の章の艶と起毛の表で確かめます。

手袋とかばんで、手元の線もそろえる

帽子と襟の線がそろったら、手元にも目を向けます。秋冬のスーツでは、手袋とかばんが、顔まわりの次に目に入る場所になるからです。

手袋は、袖口との重なりで見ます。上着の袖口から手袋の縁が見えるなら、縁の幅を帽子の帯の幅と近づけると、頭と手元で線が呼応します。手袋の表面も、帽子と同じく、光を散らすか帯で返すかを上着にそろえてください。帽子がつや消しのフェルトなのに、手袋だけ強い艶があると、手元だけが別の光り方をします。

かばんは、持ち手の太さと、本体の角の形で見ます。持ち手の太さは、帽子の帯の幅か、下襟の縁の太さに近いものを選ぶと、全身の線の太さがそろいます。本体の角が四角くはっきりしたかばんは、つばの線がまっすぐな帽子と合います。角が丸く柔らかいかばんは、つばが少し波打つ帽子や、つばのない帽子と合います。

秋冬は、手袋とかばんに加えて、脱いだ帽子とコートも手に持つことになります。手元に持つものの色を2色までにしておくと、手がふさがっても装いが散らかって見えません。帽子と手袋を同じ色にそろえる方法は、いちばん手軽に全身をまとめられる組み合わせです。

2つが同時に外れているときの順番

比も傾きも範囲の外にある場合は、傾きから直します。傾きはかぶる角度でその場で動かせますが、比は帽子か上着を替えないと動きません。

  1. 後ろの縁を動かして、本体の上端を床と平行にする
  2. 平行にしたうえで、比を測り直す
  3. 比が範囲に入れば、そのまま使う
  4. 入らなければ、別の上着かコートと合わせる
  5. どの上着とも入らなければ、帽子を替える

傾きを直すと、かぶる深さが変わり、正面から見たつばの見え方も少し変わります。そのため、比は傾きを直したあとで測り直すのが正確です。

手持ちの組み合わせを、表にしておく

上着とコートと帽子が複数あるなら、組み合わせごとの比を一度だけ測って、書き留めておくと便利です。

上着の下襟の幅、コートの下襟の幅、帽子のつばの長さの3つを測っておけば、あとは割り算だけで比が出ます。紙に書いて、クローゼットの扉の内側に貼っておくと、朝に組み合わせを決めるときに迷いません。

範囲に入る組み合わせに印をつけておくと、使える帽子と使えない帽子がはっきりします。どの上着とも範囲に入らない帽子は、スーツ以外の装いに回してください。スーツに似合わなくても、別の装いで線がそろうことはよくあります。

新しく帽子を探すときも、この書き留めた数字が役に立ちます。手持ちの上着の下襟の幅に2と3.5をかけて、つばの長さの範囲を先に出しておけば、売り場では帽子の全体の横幅と本体の横幅を見るだけで、候補に入るかどうかが分かります。試しにかぶる前に、数字で半分に絞れるので、迷う時間がずっと短くなります。

判定の順番

最後に、帽子を選ぶときの順番をまとめます。

  1. 上着の下襟の最大幅を測る(秋冬はコートの襟も)
  2. 帽子の全体の横幅から本体の横幅を引いてつばの長さを出し、比を出す
  3. 比が範囲に入るかを見る
  4. 横から鏡に映し、本体の上端の傾きを見る
  5. 傾きが5度を超えるなら、後ろの縁で直す
  6. 表面の艶と起毛を、上着とそろえる
  7. 色を、上着と同じか、濃いか淡いかに決める
  8. 屋内で脱ぐ回数と、置く場所を確かめる

1〜3は帽子と上着の組み合わせで決まり、その場では動かせません。4〜8は、かぶり方や持ち方で調整できます。動かせないものから先に決めて、動かせるものは後で合わせる。この順番で見れば、スーツに似合う帽子は、形の名前を覚えなくても選べます。

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— メグラシ編集部

よくある問い

Q. スーツに似合う帽子は、何を見て選べばいいですか
つばの長さと、上着の下襟のいちばん広いところの幅を比べてください。つばが下襟の幅の2倍から3.5倍に入っていれば、帽子の線と襟の線がそろって見えます。形の名前より先にこの比を見て、そのあとで本体の傾きと表面の艶を確かめます。
Q. つばの長さは、何と比べればいいですか
上着の下襟のいちばん広いところの幅と比べます。下襟は、襟の折り返しのうち胸側にある部分です。首に立っている側ではなく、下へ向かって開いている側の、いちばん幅が広いところを、縫い目に対して直角に測ってください。
Q. 秋冬にコートを着るときは、どの襟で比を取りますか
外にいる時間はコートの襟で取ります。コートの襟は上着の襟より広いことが多いので、上着では範囲に入っていた帽子が、コートでは2倍を下回ることがあります。上着の襟とコートの襟の両方で2〜3.5倍に入る帽子が、秋冬にいちばん使いやすい一つです。
Q. 本体の傾きは、どうやって見るのですか
横から鏡に映して、本体の上端にできている線を見ます。この線が床と平行に近ければ、肩の線とも平行になります。前が下がって後ろが上がっている、またはその逆で、傾きが5度を超えると、肩の水平と帽子の水平がぶつかって見えます。
Q. 比と傾きが両方とも範囲の外でした。どちらから直しますか
傾きからです。傾きはかぶる角度でその場で動かせますが、比は帽子か上着を替えないと動きません。後ろの縁を下へ押して、本体の上端が床と平行になる位置を探してから、比を見直してください。

— メグラシ編集部

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