スーツ 選び方 女性|秋冬の1着の色は手持ちの靴とバッグで決める

**手持ちの靴とバッグを、全部床に並べてください。**秋冬に選ぶスーツの色は、そこで半分以上決まります。
スーツの色で迷う人は、たいてい売り場で迷っています。紺、チャコールグレー、明るいグレー、黒、ベージュ、茶色。並んだスーツを見比べて、どれも悪くない気がして決められない。店の人にすすめられた色を選んだけれど、家に帰って靴を合わせたら、なんとなくしっくりこない。
こうなるのは、スーツの色を、スーツだけで選んでいるからです。スーツは単体で着るものではありません。毎日、靴とバッグと一緒に着ます。そして靴とバッグは、スーツより長く使うことが多く、すでに手元にあります。
秋冬はとくに、この組み合わせが目立ちます。暗い色の服が増え、靴もブーツや革の厚いものに替わり、バッグも色の深いものを持つようになります。スーツと小物の色の系統がずれていると、全身のつながりが切れて見えます。
この記事では、スーツの色を、手持ちの靴とバッグから決めるやり方をまとめました。上着の丈はジャケットの丈の選び方、上下を分けて着る話はセットアップの着こなしで扱っています。ここでは、色だけに絞ります。
結論:スーツの色は、靴とバッグの色の系統で決める
先に答えを書きます。手持ちの靴とバッグを、黒の系統と茶の系統に分けて、多いほうに合わせてスーツの色を選んでください。
| 手持ちの靴とバッグ | 合わせやすいスーツの色 | 避けたほうがよい色 |
|---|---|---|
| 黒の系統が多い | チャコールグレー、黒、紺 | ベージュ、茶色 |
| 茶の系統が多い | 紺、グレージュ、茶色、ベージュ | 深い黒 |
| 同じくらい | 紺 | どちらかに寄りすぎる色 |
この表で選んだ色なら、スーツを買ったその日から、手持ちの靴とバッグで毎日合わせられます。反対に、表で避けたほうがよいとした色を選ぶと、そのスーツに合わせるための靴とバッグを買い足すことになります。
いちばん大事なのは、買い足さずに合わせられるかです。スーツ1着のつもりで買い物に出て、靴とバッグまで買うことになると、思っていた何倍もの出費になります。そして新しく買った靴やバッグは、ほかの服には合わないことも多く、そのスーツの日にしか使わない小物が増えていきます。
並べて分ける|黒の系統と茶の系統
まず、手持ちの靴とバッグを分けます。並べるのは、仕事の日に使うものだけで構いません。休日だけに使うスニーカーや、旅行用の大きなかばんは除きます。
分け方は、黒の系統と、茶の系統の2つです。
黒の系統には、黒のほかに、濃いグレーや、黒に近い紺も入れます。光沢のある黒も、つやのない黒も、同じ系統です。
茶の系統には、こげ茶、キャメル、ベージュ、赤みのある茶色、そして明るい肌色に近いものを入れます。白やアイボリーの靴やバッグは、茶の系統に入れてください。白は黒と並べると差が大きく、茶色と並べるとなじむからです。
分けたら、それぞれの数を数えます。このとき、使う回数が多いものほど重く数えます。週に3回以上使う靴やバッグは2つ分、月に数回しか使わないものは1つ分として数えると、ふだんの自分の足元と手元がどちらに寄っているかがはっきりします。
数えてみると、思っていたのと違う結果が出ることがよくあります。黒い靴ばかり持っているつもりでいたら、よく使うバッグは茶色だった。茶の系統が好きだと思っていたら、仕事の日に履く靴は黒ばかりだった。こうした発見が、スーツの色を選ぶ手がかりになります。
並べるときに、靴とバッグの色が少し傷んでいるものも混ざっているはずです。つま先がすれて色が薄くなった黒い靴、角が擦り切れた茶色のバッグ。こうしたものも、まだ使うつもりなら数に入れてください。反対に、もう使わないと思っているものは、この機会に除いておきます。数えるのは、この秋冬に実際に使う靴とバッグだけです。
ベルトや時計の革の色も、余裕があれば一緒に見ておきます。ベルトは、上着を脱いだときにウエストに見える小物です。黒い靴を履く日に茶色のベルトを締めていると、足元とウエストで色がずれて見えます。ベルトも靴と同じ系統にそろえておくと、上着を脱いだ日も全身がまとまります。手袋や名刺入れのように、人前で手に取る小物も、できれば同じ系統にしておくと、名刺を差し出す一瞬まで色がつながって見えます。
黒の系統が多い人|チャコールグレーか黒
黒の系統の靴とバッグが多い人は、チャコールグレーを第一の候補にしてください。
チャコールグレーは、黒に近い濃いグレーです。黒い靴やバッグとはつながりがよく、全身がひと続きに見えます。それでいて、黒ほど重くならないので、仕事の日に毎日着ても、まわりに強すぎる印象を与えません。
黒のスーツも候補になります。ただし、仕事用に選ぶなら、喪服と同じ深い黒は避けます。喪服の黒は、光を吸い込むような深い黒です。仕事用の黒は、少し灰色がかった黒や、細かな織り柄が入って光を返す黒を選ぶと、改まりすぎず、弔事の服とも区別がつきます。
紺も合わせられます。黒い靴と紺のスーツは、仕事の装いとしてごく一般的な組み合わせです。ただ、黒と紺は近い色なので、並ぶと紺が黒に負けて、くすんで見えることがあります。紺を選ぶなら、黒と並べたときにはっきり紺とわかる、少し明るめの紺にしておくと、足元の黒とのつながりがきれいに出ます。
黒の系統が多い人が避けたほうがよいのは、ベージュや茶色のスーツです。黒い靴にベージュのスーツを合わせると、足元だけが重く沈んで、上下が分かれて見えます。
チャコールグレーと黒のどちらにするかで迷ったら、中に着るものの色を考えてください。白いブラウスを合わせることが多いなら、黒のスーツは白との差が強く出て、きりっとした印象になります。やわらかい色のニットを合わせることが多いなら、チャコールグレーのほうが中の色となじみます。仕事の1着として毎日着るなら、チャコールグレーのほうが合わせられる中の色の幅が広く、使い勝手はよくなります。
明るいグレーのスーツも、黒の小物と合わせられないわけではありません。ただし、明るいグレーと黒い靴は色の差が大きいので、足元だけが強く見えやすくなります。明るいグレーを選ぶなら、靴を濃いグレーにするか、黒い靴でも甲の浅い軽い形のものにして、足元の重さをやわらげます。
茶の系統が多い人|紺かグレージュ
茶の系統の靴とバッグが多い人は、紺を第一の候補にしてください。
紺と茶色は、昔から仕事の装いで使われてきた組み合わせです。こげ茶の靴とバッグに紺のスーツを合わせると、黒の小物より、やわらかく親しみのある印象になります。秋冬は、茶の系統の小物の深い色が、紺の深さとよくなじみます。
グレージュも候補になります。グレーにベージュを混ぜたような色で、茶色の靴ともキャメルのバッグともつながります。紺より明るく軽い印象になるので、ふだんの職場が比較的やわらかい雰囲気なら、グレージュのスーツがよく合います。
茶色やベージュのスーツも、茶の系統の小物を持っている人なら選べます。秋冬にとてもよく合う色で、ほかの人とかぶりにくいのもよいところです。ただし、改まった場面や、初めて会う相手が多い仕事では、茶色やベージュは少しやわらかすぎると受け取られることもあります。仕事の1着目には紺かグレージュを選び、茶色やベージュは2着目にするのが無難です。
茶の系統の中でも、靴の色の明るさで、合わせやすいスーツの色は少し変わります。こげ茶のような濃い茶色の靴なら、紺の濃い色ともよく合い、改まった場面でも落ち着いて見えます。キャメルのような明るい茶色の靴なら、紺は少し明るめのものか、グレージュのほうがなじみます。明るい茶色の靴に濃紺のスーツを合わせると、足元だけが浮いて軽く見えることがあるからです。
茶の系統の小物で白やアイボリーのバッグをよく使う人は、スーツの色を少し明るめにしておくと、バッグとのつながりが出ます。グレージュやミディアムグレーは、白いバッグとも茶色の靴とも合わせられる、使い勝手のよい色です。
茶の系統が多い人が避けたほうがよいのは、深い黒のスーツです。黒いスーツに茶色の靴を合わせると、上下の色の差が大きすぎて、足元だけが別の服のように見えます。
両方が同じくらいの人|紺を選ぶ
黒の系統と茶の系統が同じくらいの人は、紺を選んでください。
紺は、黒の靴とも茶色の靴とも合わせられる、ほとんど唯一の色です。黒い靴の日は落ち着いてきちんとした印象に、茶色の靴の日はやわらかく親しみのある印象に。同じスーツでも、小物を替えるだけで印象を動かせるので、手持ちの小物を両方とも活かせます。
紺を選ぶときは、濃さに気をつけます。黒に近い濃い紺は、黒い靴とはよく合いますが、茶色の靴と合わせると重く見えます。明るすぎる紺は、茶色の靴とはなじみますが、黒い靴と合わせると足元だけが強く見えます。両方の靴で使うなら、その中間くらいの、ふつうの紺を選んでください。
紺は、どの年代でも、どの職場でも使いやすい色です。社会人になったばかりの人の1着目にも、何着も持っている人の新しい1着にも向いています。そのぶん、ほかの人と同じ色になりやすいのも事実です。紺の中で少しだけ自分らしさを出したいなら、生地の表面に細かな織りの表情があるものや、ボタンの色が生地と少し違うものを選ぶと、遠目には定番の紺のまま、近くで見たときに小さな違いが生まれます。
迷ったときは、売り場で紺の生地を、手持ちの黒い靴と茶色の靴の両方の上に重ねて見ます。どちらの上でも、靴と生地の間に強い差が出ないものが、両方で使える紺です。
秋冬の色の濃さ|同じ色でも濃さで印象が変わる
同じ紺やグレーでも、濃さによって印象が大きく変わります。秋冬は、とくにこの濃さに気をつけて選んでください。
秋冬は、まわりの服全体が暗くなります。職場の人の服も、街を歩く人のコートも、暗い色が増えます。その中で、あまりに濃い色のスーツを選ぶと、全身が沈んで見えます。反対に、明るすぎる色のスーツは、暗い色の多い職場の中で目立ちすぎることがあります。
目安は、まわりの暗さより、ほんの少し明るい色です。秋冬の職場で、紺のスーツを選ぶなら、黒に近い濃紺より、少し明るめの紺。グレーを選ぶなら、黒に近いチャコールより、少し明るめのミディアムグレー。ほんの少しの明るさの差で、全身が沈まず、それでいて目立ちすぎない装いになります。
ただし、手持ちの靴とバッグの色とのつながりは、この濃さより優先します。黒い靴とバッグが多い人なら、濃いチャコールのほうがつながりがよいこともあります。濃さは、靴とバッグの系統で色を決めたあと、その色の中で選ぶものと考えてください。
着る場面で、候補を絞る
靴とバッグで色の候補が決まったら、そのスーツを着る場面で、候補をさらに絞ります。
| 主に着る場面 | 選びやすい色 |
|---|---|
| ふだんの職場 | 紺、グレージュ、ミディアムグレー |
| 社外の人と会う仕事 | 紺、チャコールグレー |
| 面接や改まった式典 | 紺、チャコールグレー、黒 |
ふだんの職場で着るなら、色の幅は広く取れます。紺のほかに、グレージュやミディアムグレーのような、少しやわらかい色も選べます。
社外の人と会うことが多い仕事なら、紺かチャコールグレーにしておくと、どんな相手にも落ち着いた印象を持ってもらえます。
面接や、入学式や卒業式のような改まった式典にも着るなら、紺、チャコールグレー、黒が候補です。面接の服の選び方は面接スーツの選び方にまとめています。
弔事に着られるかも、ここで考えておきます。仕事用のスーツを、急なお通夜に着ていくことがあるかもしれません。その場合に着られるのは、黒か、黒に近い濃い紺やチャコールグレーの無地のスーツです。明るいグレーやベージュ、柄の入ったスーツは、弔事には向きません。仕事の1着で弔事にも備えたいなら、靴とバッグが黒の系統であることを確かめたうえで、濃いチャコールグレーか濃紺の無地を選んでおくと、急な場面でも困りません。
場面がひとつに決まらないなら、いちばん多く着る場面に合わせてください。週に何日着るかを数えて、いちばん多い場面の色を選びます。ほかの場面には、中に着るものと小物で合わせます。
中に着るものの色
スーツの色が決まったら、中に着るものの色を考えます。中に着るブラウスやニットは、スーツと小物をつなぐ役割をします。
黒の系統の小物とチャコールグレーのスーツなら、中には白、薄いグレー、黒が合います。白を合わせると明るく軽い印象に、黒を合わせると落ち着いて改まった印象になります。
茶の系統の小物と紺のスーツなら、中には白、生成り、薄いベージュが合います。生成りや薄いベージュは、茶色の小物とのつながりを生んで、全身をやわらかくまとめます。
秋冬は、中に着るものの素材にも気を配ります。同じ白でも、つやのあるブラウスは改まった印象に、ふんわりとした薄手のニットはやわらかい印象になります。スーツの色を1つに決めて、中に着るものの色と素材を替えることで、1着のスーツをさまざまな場面に合わせられます。
中に着るものの色は、手持ちの小物の系統と同じ側に寄せると、外れることがありません。黒の系統の小物なら、中は白か黒かグレーの無彩色。茶の系統の小物なら、中は生成りやベージュの温かい色。このつながりを意識するだけで、スーツと小物と中に着るものの3つがひとつにまとまります。
コートの色との関係
秋冬は、スーツの上にコートを重ねます。コートの色も、スーツの色を選ぶときに一緒に考えておきます。
すでに持っているコートがあるなら、そのコートの色も、靴とバッグと一緒に並べてください。コートは、靴とバッグと同じくらい、全身の印象を大きく左右します。
黒やチャコールのコートなら、黒の系統に数えます。キャメルやベージュのコートなら、茶の系統に数えます。紺のコートは、黒の系統と茶の系統のどちらとも合うので、どちらにも数えずに、中立の1点と考えてください。
コートを並べてみると、黒の系統と茶の系統の数が逆転することもあります。靴とバッグだけなら黒が多かったのに、いちばんよく着るコートがキャメルだった、という場合です。このときは、コートを靴と同じくらい重く数えてください。秋冬のあいだは、通勤の行き帰りにずっとコートを着ていて、人の目に入る時間が長いからです。数え直して同じくらいになったなら、紺を選べば、黒い靴にもキャメルのコートにも合わせられます。
コートの色とスーツの色の関係で気をつけたいのは、コートの裾からスーツのパンツやスカートがのぞく部分です。キャメルのコートの下から黒いパンツがのぞくと、色の差が大きすぎて、足元が重く見えます。キャメルのコートを持っているなら、スーツは紺かグレージュにしておくと、コートの下からのぞく色がなじみます。
顔まわりの見え方は、首元で整える
スーツの色を小物で決めると、「その色が自分の顔に合うかどうか」が気になる人もいると思います。
ここではっきり書いておきたいのは、スーツの色は小物に合わせ、顔まわりは首元で整えると分けて考えてよいということです。スーツは首から下の大きな面積を覆いますが、顔のすぐ下に来るのは、中に着るブラウスやニットの襟元です。顔まわりの見え方は、この襟元の色でかなり変えられます。
たとえば、チャコールグレーのスーツを着たときに顔まわりが沈んで見えるなら、中に白か明るい色のブラウスを合わせます。紺のスーツで顔まわりが強く見えすぎるなら、中を生成りや薄いベージュにして、やわらかさを足します。
首元に小さなスカーフや、明るい色の細いストールを足すのもひとつの方法です。秋冬なら、首元に1か所明るい色を入れるだけで、暗い色の多い装いの中に、顔まわりの明るさが生まれます。
スーツの色を顔に合わせて選ぶと、小物と合わなくなることがあります。小物と合わないスーツは、毎日の組み合わせに困ります。顔まわりは首元で整えられるので、スーツの色は小物のほうを優先してください。
柄を入れるか|無地・細い縞・織り柄
色が決まったら、無地にするか、柄を入れるかも考えます。
仕事の1着目なら、無地がいちばん使いやすい選択です。無地なら、上着だけを別のパンツやスカートと合わせたり、パンツだけをニットと合わせたりしても、柄がぶつかることがありません。無地のスーツは、中に着るものや小物の色を選ばず、どんな場面にも合わせられます。
柄を入れるなら、遠くから見ると無地に見える程度の、控えめなものにします。細い縞が入ったもの、細かな織り柄で表面に表情があるもの。こうした柄は、近くで見ると変化があり、遠くからは落ち着いた無地に見えます。
秋冬には、表面に少し起毛感のある生地や、細かな格子柄の生地もよく見かけます。こうした生地は、季節感があって温かみのある印象になりますが、改まった場面では少しやわらかく見えることもあります。面接や式典にも着る1着なら、無地か、ごく細い縞にとどめておきます。
柄を入れる場合も、色の選び方は同じです。縞や格子の地の色が、手持ちの靴とバッグの系統と合っているかを確かめてください。紺地に白い細縞なら、黒の小物とも茶の小物とも合います。茶色地の格子なら、茶の系統の小物と合わせます。
どちらとも取れるとき|靴を1足持って売り場に行く
ここまで読んで、自分の場合はどちらとも言えない、と感じた人もいると思います。黒の系統と茶の系統が本当に同じくらいで、紺を選ぼうと思うけれど、紺の濃さで迷う。黒の系統が少し多いけれど、本当はキャメルのバッグをいちばんよく使っている。こうした境目のときの決め方を、いちばん厚く書いておきます。
境目のときは、いちばんよく使う靴を1足だけ持って、売り場に行ってください。スーツの色を見比べるときに、その靴の上に生地を重ねて見ます。
スーツの売り場は、照明が明るく、どの色もきれいに見えるように整えられています。そこでスーツだけを見ても、手持ちの靴と合うかどうかはわかりません。実際の靴を足元に置いて、その上に生地を重ねてみると、つながりのよい色と、足元だけが分かれる色がはっきりわかります。
靴を持っていけないなら、靴を写真に撮っていきます。ただし、写真は照明で色が変わるので、昼間の窓の近くで撮った写真にしてください。売り場でも、できれば窓の近くや、明るい自然光の当たる場所で、写真とスーツの生地を見比べます。
もうひとつの迷いは、いちばんよく使うバッグと、いちばんよく使う靴の系統が違う場合です。黒い靴をいつも履いているけれど、バッグはキャメル、というような組み合わせです。この場合は、靴のほうを優先してください。靴はスーツのパンツやスカートの裾のすぐ下にあって、全身のつながりに直接関わります。バッグは手に持つもので、体から少し離れていることが多いので、色の差が目立ちにくいからです。靴が黒でバッグがキャメルなら、スーツはチャコールグレーか紺にして、キャメルのバッグは差し色として使います。
さらに、手持ちの靴とバッグがほとんどない場合もあるでしょう。社会人になったばかりの人や、仕事の服を一から揃え直す人です。この場合は、スーツと一緒に靴とバッグも選ぶことになりますが、順番は靴が先です。まず、自分が毎日履いて歩きやすい靴を1足決めて、その靴の色に合わせてスーツの色を選んでください。迷ったら、黒い靴に紺かチャコールグレーのスーツがいちばん失敗のない組み合わせです。
売り場の光と、職場の光は違う
スーツの色を売り場で決めるときに、もうひとつ気をつけておきたいのが光です。同じスーツでも、光によって色の見え方が大きく変わります。
売り場の照明は、服がきれいに見えるように、明るく、少し温かみのある光で整えられていることが多いです。この光の下では、紺は鮮やかに、グレーはやわらかく、茶色は深く見えます。
一方、職場の照明は、白っぽい蛍光灯の光であることがよくあります。この光の下では、紺は黒っぽく沈み、グレーは青みがかって冷たく見え、茶色はくすんで見えます。売り場で選んだ色が、職場では思っていたのと違って見えるのはこのためです。
そして秋冬は、日が短く、通勤の朝や帰りの夕方は暗い時間になります。暗い中では、紺と黒の区別がつきにくくなり、チャコールグレーも黒に近く見えます。秋冬に毎日着るスーツは、明るい光の下だけでなく、暗い光の下でどう見えるかも考えておいてください。
確かめ方は、売り場の中で、いちばん光の弱い場所や、窓の近くの自然光の当たる場所に、スーツを持っていって見ることです。試着室の照明と、売り場の照明と、窓の近くの光。3つの光で見て、どれでも手持ちの靴とつながって見える色を選びます。店の人に「窓の近くで見てもいいですか」と一言断れば、たいていは快く応じてもらえます。
秋冬の手入れで、色の見え方を保つ
選んだ色を長くきれいに見せるには、秋冬ならではの手入れも欠かせません。
秋冬のスーツは、コートを重ねたり、かばんを肩にかけたりすることで、生地がこすれやすくなります。こすれた部分は、表面が毛羽立って白っぽく見えたり、反対につやが出てテカって見えたりします。とくに濃い色のスーツは、この変化が目立ちます。
着たあとは、ハンガーにかけて、やわらかいブラシで上から下へ軽くブラシをかけてください。表面のほこりが落ちて、毛並みがそろい、色が深く見えるようになります。肩や背中など、かばんやコートとこすれやすい部分は、とくに念入りにします。
同じスーツを続けて着ないことも大切です。1日着たら、少なくとも1日は休ませると、生地のしわが落ち着いて、色の見え方も保たれます。スーツを1着しか持っていないなら、上着とパンツやスカートを、別の服と組み合わせて着る日を作るだけでも、休ませる時間が生まれます。
2着目を足すとき
1着目のスーツが決まって、しばらく着たあとに2着目を足すときも、同じやり方で色を選びます。
2着目は、1着目と同じ系統の小物に合う色の中から、1着目と違う色を選びます。黒の系統の小物で、1着目がチャコールグレーなら、2着目は紺。茶の系統の小物で、1着目が紺なら、2着目はグレージュ。こうすると、手持ちの小物を替えずに、2着を交互に着られます。
2着目で小物の系統を変えたいなら、そのときは小物も一緒に足すことになります。黒の系統の小物しか持っていない人が、2着目にベージュのスーツを選ぶなら、茶色の靴かバッグを1つ足します。このときも、足す小物は1つずつにして、まずは靴から足してください。靴が茶色になれば、バッグが黒でも全身のつながりは保てます。
2着目を選ぶときは、1着目と上下を入れ替えて着られるかも考えておくと、組み合わせが広がります。紺の上着にグレーのパンツ、グレーの上着に紺のパンツ。色が近すぎず離れすぎていない2着なら、上下を入れ替えて4通りに着られます。
色選びでよくある後悔
最後に、スーツの色選びでよくある後悔を3つ挙げておきます。どれも、手持ちの靴とバッグを先に並べていれば防げたものです。
ひとつめは、店ですすめられた色を選んだら、手持ちの靴と合わなかったというものです。店の人は、売り場の照明の下で、そのスーツがいちばんきれいに見える色をすすめてくれます。けれど、手持ちの靴やバッグまでは見えていません。すすめられた色が気に入ったら、その場で決めずに、家の靴と合わせてから決めても遅くありません。
ふたつめは、流行の色を選んだら、翌年には着にくくなったというものです。ある年に流行した明るいベージュや、くすんだ緑のスーツは、その年はとても新鮮に見えます。けれど、手持ちの小物と合っていなければ、流行が過ぎたあとに合わせる小物がなく、着る回数が減っていきます。流行の色を選ぶなら、2着目以降にして、1着目は小物に合う定番の色にしておくと安心です。スーツの流行の読み方はスーツのトレンドはボタンとパンツの裾幅で読むにあります。
みっつめは、顔に合う色を優先したら、小物と合わずに毎朝迷うようになったというものです。顔まわりは首元で整えられる、と先に書いたとおり、スーツの色は小物を優先して構いません。
スーツの色選びは、売り場の色を見比べることから始めると、終わりがありません。**家の靴とバッグを並べて、その系統に合う色を選ぶ。**それが、秋冬の1着を迷わず選ぶいちばん確かな方法です。
よくある問い
- Q. 初めての仕事用のスーツは、何色がいいですか
- 手持ちの靴とバッグを並べて、黒の系統と茶の系統のどちらが多いかを見てください。黒が多ければチャコールグレー、茶が多ければ紺、同じくらいなら紺を選ぶと、手持ちの小物で毎日合わせられます。どの職場でも使いやすいのは紺です。
- Q. 黒いスーツは仕事に着てもいいですか
- 仕事で着ることはできますが、喪服と同じ深い黒は避けてください。仕事用の黒は、少し灰色がかった黒や、細かな織り柄の入った黒を選ぶと、改まりすぎず、弔事の服とも区別できます。中に明るい色を合わせると、重く見えにくくなります。
- Q. 茶色やベージュのスーツは秋冬に合いますか
- 秋冬にとてもよく合います。ただし、靴とバッグも茶の系統でそろえる必要があります。黒の靴とバッグに茶色やベージュのスーツを合わせると、足元だけが分かれて見えます。茶の系統の小物を持っていないなら、紺かグレーのほうが手持ちで合わせやすくなります。
- Q. スーツの色で、顔色が悪く見えることはありますか
- 首元に近いところに暗い色が多いと、顔まわりが沈んで見えることはあります。その場合はスーツの色を変えるより、中に着るブラウスやニットの色で調整してください。スーツは靴とバッグに合わせ、顔まわりは中に着るもので整える、と分けて考えると選びやすくなります。
— メグラシ編集部





