レディース腕時計の選び方|秋冬はニットの袖口にかかる厚みで決める

**いま着けている腕時計の上に、いちばんよく着るニットの袖口をかぶせてみてください。**袖口がすっと時計の上を通るなら、その時計は秋冬も袖の中に入れて着けられます。袖口が時計の手前で止まる、斜めに持ち上がる、という人は、この記事の先の章を読んでください。
腕時計の選び方というと、文字盤の色や形の話になりがちです。けれど秋冬に困ることの多くは、デザインではなく袖口に収まるかどうかから起きています。ニットの袖口に引っかかって毛玉ができる、シャツのカフスが閉まらない、コートの袖に隠れて時間が見えない。どれも、時計の厚みと大きさが、袖口の内側の広さに合っていないときに起きることです。
この記事では、手首と袖口と時計の3つを家で測り、その時計を「袖の中に入れる」か「袖の外に出す」かを決めます。アクセサリー全体の合わせ方は秋冬のアクセサリーの合わせ方に、耳元の話は秋冬のピアスにまとめてあります。
結論|袖の中に入れるか、外に出すかを先に決める
先に答えを置きます。秋冬の腕時計は、次の2つのどちらかに分かれます。
| 分かれ目 | 袖の中に入れる時計 | 袖の外に出す時計 |
|---|---|---|
| 手首の上の厚み | 1cm未満 | 1cm以上 |
| 文字盤の直径 | 手首の幅の6割前後まで | 手首の幅の7割を超える |
| 袖口との関係 | 袖口がその上を通る | 袖口を一折りして外に出す |
あなたの時計がどちらの側にあるかは、このあとの測り方で分かります。大事なのは、どちらかに決めてから着ける服を選ぶことです。袖の中に入れる時計を、袖の外に出す着け方で着けても問題はありません。困るのは、袖の外に出すべき大きさの時計を、袖の中に入れようとして毎日袖口と格闘することです。
両方の中間に来る時計もあります。厚みが1cm前後、文字盤が手首の幅の6割から7割のあいだ。こういう時計をどう扱うかは、あとの「どちらとも取れるとき」の章で厚めに書きます。
家で測る3つの数|手首・袖口・時計
測るのは、手首まわり、手首の幅、袖口の内周の3つと、時計の厚みと文字盤の直径です。巻き尺と、厚めの紙を1枚用意してください。
手首まわり
手首の骨のすぐ上、時計を着ける位置で、手首の周りを1周測ります。巻き尺がなければ、細く切った紙を手首に巻いて、重なった位置に印をつけ、あとで定規で測ります。きつく締めず、紙が肌に軽く触れる程度で測ってください。
手首の幅
手の甲を上にして、手首の骨のすぐ上を、真上から見たときの横幅です。親指側の端から小指側の端までを定規で測ります。文字盤の大きさを比べるときに使います。
袖口の内周
いちばんよく着るニットの袖口を平らに置き、袖口の端から端までを測ります。これを2倍すると、袖口の内周になります。リブの袖口は伸びるので、置いたまま、引っ張らずに測ってください。シャツなら、カフスのボタンを留めた状態で同じように測ります。
時計の厚みと文字盤の直径
時計を平らな机に置き、横から見て、机から文字盤のガラスのいちばん高い点までを測ります。これが厚みです。文字盤の直径は、時計を上から見て、ケースの端から端までを測ります。つまみの出っ張りは含めません。
袖口に収まるかの計算|手首まわりに、時計の厚みの6倍を足す
袖口が時計の上を通るかどうかは、次の計算で見当がつきます。
手首まわりに、時計の厚みの6倍を足した長さが、袖口の内周より短ければ、袖口は時計の上を通ります。たとえば、手首まわりが15cm、時計の厚みが0.9cmなら、15に5.4を足して20.4cmです。袖口の内周が20cm以上あるニットなら、少し伸ばすだけで時計の上を通ります。
なぜ6倍なのかというと、時計が手首の上に乗ると、袖口はその時計をぐるりと乗り越える形になり、時計の厚みのおよそ2倍が上下に、さらに角を回り込む分が加わるからです。きっちりした数字ではありませんが、目安としては十分に使えます。
この計算で、袖口の内周より2cm以上長くなるなら、その時計とその服の組み合わせは、袖の中に入れるのは難しいと考えてください。2cm以内なら、リブが伸びて通ります。ただ、伸びたリブは着ているうちに跡がつくので、毎日同じ組み合わせにするなら、内周に余裕のある服を選ぶほうが長持ちします。
実際に試すときは、腕を下ろした姿勢で
計算で見当がついたら、実際に服を着て確かめてください。このとき、腕を前に出した姿勢ではなく、腕を体の横に下ろした姿勢で見ます。腕を前に出すと袖口が自然に引かれて、時計の上を通りやすくなるので、収まっているように見えてしまうからです。
腕を下ろしたまま、袖口が時計の上を越えて手首の先まで落ちているか。時計の手前で止まって、袖口が斜めになっていないか。腕を2、3回振ってから、もう一度見てください。歩いているときの状態に近くなります。
最後に、時間を見る動きをしてみます。手首を返して文字盤を見るまでに、反対の手を使わずに済むか。袖の中に入れる時計なら、手首を少し曲げるだけで袖口が引かれて文字盤がのぞくのが理想です。反対の手で袖を押し上げないと見えないなら、時計を少し手の甲側に寄せてみてください。
ニットの袖口|リブの締まりと、つまみの向き
秋冬にいちばん困るのが、ニットの袖口です。
リブの袖口は、手首の細いところで締まるように作られています。時計を手首の骨の上に着けていると、リブがちょうどその上で締まり、時計の角やつまみに擦れます。毛玉ができる、ニットの糸が引っかかって飛び出す、といったことは、ほとんどがこの擦れから起きます。
まず試してほしいのは、時計を手首の骨より手のひら側に1cmほど寄せて着けることです。リブがいちばん強く締まる位置から時計が外れるので、擦れがぐっと減ります。時計が手の甲側に少しずれて落ち着くので、時間を見るときに手首を返す動きも小さくて済みます。
次に、つまみの向きです。つまみは時計の右側、つまり着ける腕の手の甲側に出ていることが多い部品です。これがリブの糸を引っかけます。つまみの出っ張りが大きい時計なら、時計の向きを変えることはできないので、着ける腕を変えてみてください。利き手と反対の腕に着けていると、つまみは手の甲側を向きますが、反対の腕に着けると、つまみは手首の内側を向きます。内側を向いていると、袖口に触れる回数がぐっと減ります。
ローゲージの太い糸のニットは、糸と糸の間が広いので、つまみや金属のベルトの隙間に糸が入りやすくなります。太い糸のニットを着る日は、時計を手のひら側に寄せるだけでなく、つまみの小さい時計を選ぶと安心です。
シャツの袖口|カフスのボタンの位置で調整する
シャツやブラウスのカフスは、ニットのリブと違って伸びません。だから、収まるかどうかがはっきり分かれます。
カフスのボタンを留めた状態で、時計の上を通るかを確かめてください。通らないなら、そのシャツと時計の組み合わせは、袖の中に入れることはできません。
ボタンが2つ並んでいるカフスなら、外側のボタンで留めると、内周が1.5cmほど広がります。時計を着ける側の袖だけ、外側のボタンで留めるという方法もあります。左右で袖口の締まり方が少し違っても、着ている本人以外にはまず気づかれません。
ボタンが1つしかないカフスで、時計が通らないなら、ボタンを付け替えて内周を広げることもできます。手芸の範囲でできる作業ですが、付け替えたボタンの位置が袖口の端に近すぎると、カフスがだらしなく開きます。袖口の端から1cm以上内側に付けるのが目安です。
シャツの袖口に時計を入れると、時間を見るときに袖を引き上げる動きが必要になります。仕事中に何度も時間を見る人は、シャツの日だけは時計を袖口の外に出し、カフスの手前で止まる位置に着けるほうが楽なこともあります。
コートの袖|重なる2枚と、時間を見るときの動き
コートを着ると、時計の上にニットの袖とコートの袖の2枚が重なります。
コートの袖口は硬く、内周もそれほど広くないことが多いので、ニットの袖口の上からさらに時計を越えるのは難しくなります。時計を手首の骨の上に着けていると、コートの袖の裏地が擦れて、裏地の傷みが早くなることもあります。
コートの日は、時計の位置を手のひら側に寄せるのに加えて、時間の見方を決めておくと楽です。腕を前に伸ばし、手首を少し曲げると、コートの袖が自然に引かれて時計がのぞきます。それでも見えないなら、反対の手でコートの袖を軽く押し上げるしかありません。
外で時間を見ることが多い人は、コートの日だけ、時計を手首の内側に向けて着けるという方法もあります。手のひらを上に向けたとき、文字盤が見える向きです。コートの袖口の前側は手の甲側より短いことが多く、手首の内側のほうが袖口から出やすいからです。見慣れないうちは違和感がありますが、時間の見やすさは変わります。
文字盤の大きさは、手首の幅との比で見る
文字盤が大きいか小さいかは、時計だけを見ても決められません。同じ直径でも、手首の幅によって見え方が変わるからです。
測った手首の幅に対して、文字盤の直径が何割にあたるかを出してください。手首の幅が5cmで文字盤が3cmなら、6割です。
6割前後なら、手首の上に収まって見え、袖口の中にも入りやすい大きさです。7割を超えると、手首の上で文字盤が目立ち、袖口の中に入れると持ち上がりやすくなります。5割を下回ると、袖口から少しのぞいたときに、時計だと気づかれないくらい控えめになります。
どの比が正しいということはありません。大事なのは、選んだ比と、袖の中に入れるか外に出すかが、ちぐはぐにならないことです。7割を超える時計を選ぶなら、袖の外に出す着け方を前提に服を選ぶ。5割を下回る時計を選ぶなら、袖の中に入れてときどきのぞかせる着け方が似合います。
ベルトの素材|秋冬は袖口との擦れで選ぶ
ベルトの素材によっても、袖口との相性が変わります。
金属のベルトは、コマとコマの間に隙間があり、ニットの糸が入り込みやすい素材です。細かいコマのものほど糸を挟みやすく、毛玉や糸の引きつれが起きやすくなります。秋冬に金属のベルトを着けるなら、袖口が詰まった目のニットや、表面のなめらかなシャツと合わせると落ち着きます。
革のベルトは、表面がなめらかなので、袖口と擦れても糸を引っかけることはほとんどありません。秋冬の袖口とはいちばん相性のいい素材です。ただ、革は手首の汗や雨で傷みやすいので、冬でも汗をかきやすい人は、ときどき外して乾かしてください。
布のベルトは、袖口と同じような表面なので、擦れても目立ちません。厚みも出にくく、袖の中に入れる着け方に向いています。ただし、ニットの毛が布のベルトに移って、ベルトのほうに毛玉ができることがあります。
ベルトを付け替えられる時計なら、秋冬だけ革か布に替えるのも一つの方法です。替える手間はかかりますが、袖口の傷みが減るので、ニットを長く着られます。
ベルトの幅も、袖口との相性に効く
素材だけでなく、ベルトの幅も見てください。幅の広いベルトは、手首の上で面が大きくなり、袖口がその上を通るときに引っかかる場所が増えます。幅の狭いベルトは、袖口がするりと越えやすく、袖の中に入れる着け方に向いています。
目安としては、文字盤の直径の半分くらいの幅なら、袖口との擦れは少なく済みます。文字盤と同じくらいの幅のベルトは、時計全体がひとつの大きな塊になるので、袖の外に出す着け方のほうが似合います。
もう一つ、留め具の形です。ベルトの先を穴に通して留める形は、留めたあとにベルトの先が手首の内側に出ます。この先が袖口の内側に触れると、ニットの糸を引っかけることがあります。ベルトの先を通す輪が2つある時計なら、両方にしっかり通しておくと、先が浮かずに済みます。
どちらとも取れるとき|中間の大きさの時計の着け方
厚みが1cm前後、文字盤が手首の幅の6割から7割。袖の中にも入れられそうで、入れると少し窮屈。こういう時計は、日によって着け方を変えるのがいちばんの答えです。
薄手のニットやシャツの日は、袖の中に入れる
袖口が薄い服の日は、時計を手のひら側に1cm寄せて、袖の中に入れます。袖口が時計の上を通るかどうかは、先の計算で確かめてください。通るなら、袖口が時計の上で少し持ち上がっても、それほど目立ちません。
厚手のニットやコートの日は、袖の外に出す
袖口の厚い服の日は、無理に中に入れず、袖口を一折りして時計を外に出します。折る幅は、時計の文字盤の直径と同じくらいが目安です。折った袖口の端が、時計のすぐ手前で止まるようにすると、時計と袖口の間にすき間ができず、すっきり見えます。
どちらの日か決められないときは、着ける腕を変える
その日の服が、薄手と厚手の間でどちらとも言えないときは、時計を利き手と反対の腕から、利き手の腕に替えてみてください。利き手の腕は、物を持つときによく動くので、袖口が少し上がった状態になりやすく、時計が自然にのぞきます。利き手と反対の腕は、動きが少ないので、袖の中に収まりやすいです。どちらの腕に着けるかだけで、袖の中に入れるか外に出すかを選べることがあります。
時計の位置を、手首の骨の前後で動かす
手首の骨より手の甲側に時計を着けると、袖口から出やすく、時間が見やすくなります。手首の骨より腕側、つまり肘に近いほうに着けると、袖の中に収まりやすくなります。中間の大きさの時計なら、この位置の調整だけで、袖口との関係がかなり変わります。ベルトの穴を1つ緩めて、時計が手首の上で少し動くようにしておくと、その日の服に合わせて位置を変えられます。
ここまで試しても、袖口が毎回引っかかるなら、その時計は秋冬の手持ちの服と大きさが合っていません。袖の外に出す時計として扱うことに決め、袖を折れる服の日にだけ着けるようにすると、迷う回数が減ります。
袖の外に出す着け方|折る幅と、時計の位置
袖の外に出す時計を着ける日の、袖の扱い方です。
袖口を折る幅は、先に書いたとおり、文字盤の直径と同じくらいが目安です。折った袖口の端が、時計の手前で止まるようにします。袖を押し上げるだけだと、時間がたつと袖が下りてきて、時計にかぶさります。折っておけば、袖口の位置が一日動きません。
袖の上に時計を巻く着け方もありますが、秋冬のニットの上に時計を巻くと、ベルトがニットの表面を押しつぶし、外したあとに跡が残ります。手首が冷える日にニットの上から時計を巻きたくなる気持ちは分かりますが、ニットを長く着たいなら、袖を折って時計を肌の上に着けるほうがおすすめです。
袖を折ると、手首がむき出しになって寒いという人は、袖を折る代わりに、袖口の内側に親指を通せる穴があるニットや、袖口の短いニットを選ぶ方法もあります。袖が手首の上で止まるなら、時計は自然に袖の外に出ます。
服の袖の形ごとに、時計の扱いが変わる
袖口の内周だけでなく、袖そのものの形によっても、時計との付き合い方が変わります。秋冬によく着る袖の形ごとに書いておきます。
袖口が広がる形
袖口に向かって広がる形のブラウスやニットは、袖口の内周が広いので、どんな時計でも袖の中に入ります。ただ、腕を下ろしたときに袖口が手の甲まで落ちてきて、時計が完全に隠れます。時間を見るたびに袖をかき分ける必要があるので、この形の服を着る日は、時計を手首の骨より腕側に着けるより、手の甲側に寄せて着けるほうが、袖口からのぞきやすくなります。
袖が長めで、手の甲にかかる形
袖丈が長めで、手の甲の半分くらいまでかかるニットは、秋冬によく見かける形です。この形は、袖口のリブが手首より先で締まるので、時計の上でリブが擦れることはあまりありません。そのかわり、時計はいつも袖の中に隠れます。時間を見る回数が多い日は、袖を一折りして、時計の手前で止める着け方にしてください。
袖口がゴムで絞られた形
袖口にゴムが入っているブラウスやスウェットは、時計の上でゴムが締まり、時計の形が袖の上に浮き出ます。厚みのある時計だと、ゴムが時計の角に引っかかって、腕を動かすたびにずれます。この形の服の日は、ゴムの位置より手のひら側に時計を寄せるか、袖を時計の手前まで押し上げておくと、落ち着きます。
袖口にボタンやファスナーがある形
ジャケットやコートの袖口に飾りのボタンやファスナーがあると、時計のガラスやケースに当たって、傷がつくことがあります。とくに金属のファスナーは、時計のケースを擦りやすい部品です。この形の服を着る日は、時計の向きを手首の内側に変えておくと、ボタンやファスナーに当たる回数が減ります。
手袋をする日|時計と手袋の口の重なり
冬の外出で手袋をする日は、手袋の口と時計が重なります。
手袋の口が手首の骨より手前で止まる短いものなら、時計を手首の骨の上に着けていても、手袋の口と時計は重なりません。手袋の口が手首を越えて腕まで覆う長いものなら、時計の上に手袋の口が乗ります。
手袋の口が時計に乗ると、手袋の口が持ち上がって、手首に冷たい空気が入ります。長い手袋をする日は、時計を手首の骨より腕側に1cmほど上げて着けるか、手袋の口を時計の上にかぶせずに時計の手前で止めます。どちらがいいかは、外にいる時間で決めてください。長く外にいるなら、手袋の口を優先して、時計を上げます。
手持ちが1本だけのとき|秋冬を通して着けるなら
腕時計を1本しか持っていない人のほうが多いと思います。その1本で秋冬を通すなら、決めておくことは2つだけです。
1つめは、その時計を「袖の中に入れる時計」として扱うか、「袖の外に出す時計」として扱うかです。先の計算と、文字盤と手首の幅の比で決めてください。中間に来るなら、袖の中に入れる時計として扱い、厚手の服の日だけ袖の外に出す、と決めておきます。
2つめは、着ける位置です。手首の骨のどちら側に着けるかを決めておくと、毎朝ベルトの穴で迷わなくなります。袖の中に入れる時計なら、骨より手のひら側に1cm。袖の外に出す時計なら、骨の上か、少し手の甲側。ベルトの穴は、夏より1つ緩めにしておきます。
この2つを決めたうえで、その秋冬によく着る服の袖口を見直してください。袖の中に入れる時計として扱うなら、袖口の内周が狭い服を1枚か2枚選び出し、その服の日だけ袖を折る、と決めておけば十分です。服を買い足すときは、袖口の内周を店で見ておくと、時計との相性がその場で分かります。
1本の時計を長く着けるには、袖口との擦れで時計のケースやガラスに傷がつかないようにすることも大事です。とくに冬は、コートの袖口や金属のファスナーとの擦れが増えます。帰ってきたら、ケースとガラスを柔らかい布で軽く拭いておくと、細かい傷がつきにくくなります。
時計を外す時間と、置き場所
秋冬は、家に帰ってから時計を外すまでの時間が、夏より長くなりがちです。ニットを着たまま家事をすると、袖口の中で時計が汗や湿気にさらされ、革のベルトなら傷みが早くなります。
帰ってきたら、上着を脱ぐのと同じタイミングで時計を外す、と決めておくと楽です。外した時計は、玄関か寝室の決まった場所に、文字盤を上にして置きます。革のベルトなら、ベルトを伸ばして平らに置くと、手首の形に曲がったまま固まるのを防げます。
外した時計を置く場所の近くに、ニットの袖口用のブラシを置いておくのもおすすめです。時計と擦れた袖口には、小さな毛玉や毛羽立ちができていることがあります。その日のうちに軽くブラシをかけておくと、毛玉が大きくなる前に整えられます。
時計の上にブレスレットを重ねる日
秋冬は、時計の隣に細いブレスレットを重ねたくなる季節でもあります。重ねるなら、ブレスレットは時計より手の甲側に着けてください。時計より腕側に着けると、袖口が時計を越えたあと、さらにブレスレットを越えなければならず、袖口の内周が足りなくなります。手の甲側に着けておけば、袖口は時計の手前で止まり、ブレスレットだけが袖口からのぞきます。
重ねたブレスレットと時計が触れ合うと、時計のケースに細かい傷がつきます。間に指1本分のすき間を空けて着けるか、ブレスレットを布や革のものにすると、傷を気にせずに済みます。
仕事・行事の日の目安
仕事の日と、行事や式典の日では、時計に求められることが少し違います。
仕事の日は、時間を見る回数が多いので、見やすさを優先します。シャツの袖口に収まる大きさで、袖を大きく動かさずに時間を確かめられる位置に着けてください。会議中に時間を見るときに、袖を引き上げる動きが大きいと、相手に気を遣わせることがあります。
行事や式典の日は、時計はできるだけ控えめにします。文字盤の直径が手首の幅の5割前後で、厚みが薄いもの。袖口から少しのぞく程度にとどめます。弔事の席では、金属の光る時計は外すか、袖の中に完全に隠れるように着けるのが無難です。
秋冬の式典は、ジャケットやコートを着る場面が多く、袖が2枚、3枚と重なります。そういう日は、時計は袖の中に入れて、時間を見る必要があるときだけ、そっと袖を押し上げるのがいちばん落ち着きます。
よくある行き違い
「春に買った時計が、秋になって急に着けにくくなった」
春夏は袖口がないか、あっても薄いので、どんな大きさの時計でも困りません。秋になって袖口が厚くなったとたんに、時計の厚みや大きさが袖口に合わなくなった、ということです。時計が悪いのではなく、袖口との組み合わせが変わっただけです。袖の外に出す着け方に切り替えるか、秋冬だけ薄い時計に替えるかを決めてください。
「手首の細い人には、小さい時計しか似合わない」
文字盤の大きさは、手首の幅との比で見るのがいちばん分かりやすい方法ですが、似合う比は一つではありません。手首が細くても、大きめの文字盤を袖の外に出して着けると、手元に一つ目立つ場所ができて、それが装いの中心になることもあります。大事なのは、選んだ大きさと着け方がそろっていることです。
「時計を外すと、手首に跡が残る」
ベルトを締めすぎているか、時計が手首の骨の上に乗っていて、骨に当たっていることが原因です。ベルトの穴を1つ緩め、時計を骨より手のひら側に寄せると、跡が残りにくくなります。秋冬はニットの袖口の締め付けも加わるので、夏より1つ緩めにするくらいでちょうどいいことが多いです。
「ニットの袖が時計の上でいつも斜めになる」
袖口が時計の上を通り切れず、時計の手前で止まっているサインです。先の計算で、手首まわりに時計の厚みの6倍を足した長さが、袖口の内周を超えていないか確かめてください。超えているなら、その組み合わせでは袖の中に入れるのは難しいので、袖の外に出す着け方に切り替えます。
「薄い時計にしたのに、まだ袖口に引っかかる」
厚みではなく、つまみやベルトの留め具が引っかかっていることがあります。時計を手首から外して、袖口の内側を時計の上で軽く滑らせてみてください。引っかかる場所が、つまみなのか、ケースの角なのか、ベルトの留め具なのかが分かります。つまみなら、着ける腕を変えて内側に向ける。ケースの角なら、時計を手のひら側に寄せる。留め具なら、ベルトの先を輪にしっかり通す。引っかかる場所が分かれば、直し方も一つに決まります。
「時計の上だけ、ニットの袖が毛羽立ってきた」
袖口と時計が毎日同じ場所で擦れているサインです。時計の位置を、手首の骨の前後で日によって少しずつ変えると、擦れる場所が一か所に集まらず、毛羽立ちが広がるのを遅らせられます。毛羽立ちは、ブラシで軽く整えてから、気になるなら毛玉取りで表面を整えてください。
装いに活かすなら
腕時計は、毎日着けるものほど、袖口との相性で疲れ方が変わります。好きなデザインの時計でも、毎朝ニットの袖口と格闘するなら、だんだん着けなくなってしまいます。
秋のはじめに、いちばんよく着る3枚の服の袖口の内周を測っておくと、その秋冬に時計をどう着けるかが一度で決まります。袖の中に入れる日、外に出す日、腕を替える日。決め方が分かっていれば、朝に迷うことはありません。時計を買い足すときも、手持ちの袖口の数字と比べれば、その時計が袖の中に入るか外に出すものかが、店先で分かります。
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よくある問い
- Q. ニットの袖口に腕時計が引っかかって、毛玉ができます
- 原因は、時計の厚みそのものより、袖口のリブが時計の角やつまみに擦れていることがほとんどです。まず、時計を手首の骨より手のひら側に1cmほど寄せて着けてみてください。袖口のリブがいちばん強く締まる位置から時計が外れるので、擦れが減ります。それでも毛玉ができるなら、つまみが出ている側を親指側ではなく小指側に向けるか、金属のベルトを革や布のベルトに替えると落ち着くことが多いです。
- Q. 大きめの文字盤の腕時計は、秋冬に着けにくいですか
- 袖の中に入れようとすると着けにくくなります。文字盤の直径が手首の幅の7割を超えると、ニットやシャツの袖口がその上を通るときに持ち上がり、袖口が手首の上で斜めになります。大きめの文字盤が好きなら、袖の中に入れることは諦めて、袖口を一折りして時計を袖の外に出す着け方に決めてしまうほうが、すっきり見えます。その場合は、袖を折る分の長さがある服を選ぶことになります。
- Q. コートを着る日は、腕時計を外したほうがいいですか
- 外す必要はありません。ただ、コートの袖口はニットより硬く、内周もそれほど広くないので、時計を手首の骨の上に着けていると、袖の裏地が擦れて傷みやすくなります。コートを着る日は、時計を手のひら側に少し寄せるか、利き手と反対の腕に着けておくと、袖の出し入れのたびに擦れることが減ります。時間を見るときは、コートの袖を軽く押し上げてください。
- Q. 仕事で腕時計を着けるなら、どのくらいの大きさがいいですか
- 仕事の日は、シャツの袖口に収まる大きさを目安にすると困りません。文字盤の直径が手首の幅の6割前後、厚みが1cm未満なら、たいていのシャツのカフスの下に収まります。会議や商談で時間を見るときに、袖を大きく動かさずに確かめられるのも利点です。行事や式典の日は、さらに薄くて小さいものを選び、袖口から少しだけ見える程度にとどめると、場になじみます。
— メグラシ編集部





