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離婚を決断した日、装いから自分を取り戻した話

メグラシ編集部//読了 9分
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3行で言うと

  • 離婚届に判を押した日、私のクローゼットは「誰かのため」の服でいっぱいだった。
  • 装いを「夫の好み」から「自分の好み」に戻す、1年の旅が始まった。
  • 装いが変わると、世界の見え方が変わっていった。

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この記事は、メグラシ編集部の実体験を元にしたエッセイです。

離婚届に判を押した日

ある春の朝、私は離婚届に判を押した。

40代前半。15年の結婚生活の終わり。詳しい経緯は、ここには書かない。ただ、「自分を取り戻す時間」が必要だと、二人とも理解した上での選択だった。

判を押した手は、思ったよりも震えなかった。むしろ、長く緊張していたものが、ふっと緩むような感覚。区役所からの帰り道、私はしばらく公園のベンチに座って、空を見上げていた。

家に戻って、まず最初に開けたのは、クローゼットだった。

クローゼットを開けて、気づいたこと

そこにあった服を見て、私はようやく気づいた。「これ、全部、夫の好みだ」

ぴったりしたシルエットのワンピース。彼が好きだった淡いピンク。彼が「上品でいい」と言ったブランドのジャケット。彼の同僚との会食用に新調した、品のあるブラウス。

私の40代のクローゼットは、私の好みではなく、「夫の好みの私」を表現するための服でいっぱいだった。

それは、悪意があったわけではない。結婚生活の中で、自然と、少しずつ、「相手に喜んでもらえる装い」を選んでいただけ。自分でも気づかないうちに、私は「妻という役割」を装いから演じていた。

その夜、私はクローゼットの前で、長い時間、立ち尽くしていた。「じゃあ、私の好みって、何だっけ?」その問いに、すぐには答えられなかった。

まずは、捨てないことから始めた

離婚直後、よくある「解放」のイメージで、すべての服を一気に捨ててしまう人もいるかもしれない。

でも、私はそうしなかった。それは、結婚生活そのものを否定したくなかったから。 夫との15年は、私の人生の一部だった。その時間に着ていた服を、いきなり全否定するのは、自分自身への暴力のような気がした。

代わりに、私はクローゼットの一角を「保留ゾーン」と決めた。「もしかしたら、これからも着るかもしれない」「でも、自分の好みかは分からない」服を、そこにまとめておく。判定は、急がない。

そして、新しい一着を買うときは、「これは、誰のための服?」と必ず自分に問いかけることにした。「自分のため」と即答できない服は、買わない。

これが、私の「装いを取り戻す旅」のスタート地点だった。

最初の一着は、明るいオレンジのカーディガン

離婚から3週間後、私はひとりで吉祥寺のセレクトショップに行った。

並んでいる服を、ゆっくり見て回った。「私、何色が好きなんだっけ?」「どんなシルエットが好きなんだっけ?」久しぶりに、自分の感覚と対話する時間。

そこで目に留まったのが、明るいオレンジ色のカーディガンだった。

夫は、暖色系をあまり好まなかった。「派手じゃない?」「もう少し落ち着いた色がいいよ」と、よく言われていた。だから、私は何年も、オレンジや黄色を選んでこなかった。

でも、その日、鏡の前でそのカーディガンを羽織ったとき、私の顔が、ぱっと明るくなった。「あ、私、こういう色、好きだったんだ」と、何年ぶりかで思い出した。

そのカーディガンを抱えて、帰り道、私は少しだけ泣いた。

1年かけて、装いを入れ替えた

それから1年。私は、季節ごとに、少しずつ服を入れ替えていった。

夏には、明るい色のリネンのワンピース。秋には、ふんわりとしたシルエットのニット。冬には、シンプルな黒のロングコート。春には、軽やかなギンガムチェックのブラウス。

派手な変化ではなかった。でも、一着ずつ、確実に、私のクローゼットは「私のもの」になっていった。

そして、不思議なことに、装いが変わると、世界の見え方も少しずつ変わっていった。

明るい色の服を着る日は、すれ違う人と目が合ったときに、自然と微笑むようになった。シルエットがゆったりした服を着る日は、深呼吸ができるようになった。装いは、私の体だけでなく、私の心の状態も変えていた。

1年後、鏡の前で

離婚から1年後の春。私は、最初に買ったオレンジのカーディガンを着て、自宅のリビングの鏡の前に立った。

鏡の中の私は、15年前の「結婚前の私」ではなかった。15年の結婚生活を経験して、それを終えて、新しい章を始めた、40代の今の私だった。

「おかえり」と、心の中でつぶやいた。

「ただいま」と、もう一人の私が答えた。

その瞬間、私は確信した。装いは、自分を取り戻すための、最も静かで、最も確実な手段だった。

離婚が教えてくれたこと

離婚を経験してわかったことがある。

装いは、誰かのためのものではない。誰かに「喜んでもらうため」「褒められるため」のものでもない。装いは、本来、自分が自分でいるための「日常の儀式」だ。

結婚生活の中で、装いが「相手のため」になっていたことに気づけたのは、離婚があったからこそ。私は、その気づきに、今は感謝している。

そして、もし今、結婚生活の中で「装いが自分のものじゃない気がする」と感じている方がいたら。離婚しなくても、ぜひ、鏡の前で問いかけてみてほしい。

「これは、誰のための服?」

その問いから、装いと自分の関係性が、また少しずつ変わっていくかもしれない。

「自分のための装い」を、月に一度の習慣に

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よくある問い

Q. この記事は実話ですか?
メグラシ編集部の実体験を元に、複数の体験を統合して構成しています。同じ経験をされた方の参考になれば幸いです。
Q. 装いを変えるのに、どれくらい時間がかかった?
私の場合は約1年でした。一気に変えるのではなく、一着ずつ、季節ごとに、ゆっくり入れ替えていきました。
Q. 何から始めたら良い?
鏡の前で「これは誰のための服?」と問いかけてみることから始めてください。「自分のため」と即答できない服から、少しずつ手放していくと良いと思います。

— メグラシ編集部

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