スウェットの部屋着|裏毛と裏起毛の違いと、室温で選び分ける2つの境目

去年の部屋着を出してきて、夕方に着たら暑かった。かといって朝の冷えた台所では足りない。同じ一枚なのに、1日のなかで2回合わなくなる。
こういうとき、たいてい厚みを疑います。もっと薄いもの、もっと厚いものを探す。けれど厚みを変えても、合わない時間帯はそのまま残ります。
変わっていないのは、裏側の作りのほうです。 スウェットと呼ばれている生地には2種類あって、裏がループのまま並んでいるものと、そのループを起こして毛の面にしたものがあります。この2つは、暖かさの出方も、汗を受けたあとの戻り方も違います。
結論:分かれ目は暖かさではなく、汗を受けたあとに戻るかどうか
裏起毛のほうが暖かい。これは合っています。ただ、部屋着として1日着るときに効いてくるのは、暖かさより後のほうです。
家の中でも汗はかきます。家事で動いたあと、湯上がりのあと、暖房の効いた部屋で座っているあいだ。問題は、その湿りが生地から抜けるまでに何分かかるかです。
- 裏毛|ループが水分を受けて、表側へ渡します。空気が動けば戻ります
- 裏起毛|起こした毛が空気をためています。そのあいだに湿りも留まります
だから裏起毛は、寒い部屋では強く、動いたあとには重くなります。裏毛はその逆です。選び分けの軸は、暖かさではなく、この戻り方のほうに置くと外れません。
早見表|裏毛と裏起毛の違い
| 見るところ | 裏毛 | 裏起毛 |
|---|---|---|
| 裏側の見え方 | 粒が1つずつ数えられる | 面が毛でおおわれている |
| 触った感じ | 指に凹凸が引っかかる | すべるように滑らか |
| 向く室温 | 22度より上 | 18度より下 |
| 汗を受けたあと | 空気が動けば戻る | 湿りが留まりやすい |
| 洗ったあとの乾き | 早い側 | 長くかかる |
| 先にへたる場所 | 袖口と首ぐり | 背中と座る面 |
| 重ねて延ばせるか | 下に1枚足して延ばせる | 暖かい側へは動かせない |
読み方はこうです。
- 1日中着る一枚|裏毛。温度の帯が広く、足し引きが効きます
- 夜だけ、寒い部屋で着る一枚|裏起毛。座っている時間が長いほど向きます
- 1枚しか持たない|裏毛。もう1枚足すときに裏起毛を選ぶほうが、着ない一枚が出ません
家で見分ける|裏返して、腕を伸ばした距離から
店でも家でも、同じ手順で分かります。裏返して、腕を伸ばした距離、およそ60cm離して見てください。
- 粒が1つずつ数えられる|裏毛です。ループがそのまま並んでいます
- 粒の境目が見えず、面になっている|裏起毛です。ループが起こしてあります
- 数えられる粒と、つぶれた面が混じっている|裏毛が使われて、へたり始めています
触る方法も足せます。手のひらを軽く当てて横へなでたとき、指の腹に凹凸が当たれば裏毛、抵抗なくすべれば裏起毛です。
⚠️ 表側からは見分けられません。どちらも表は平らな面に見えます。必ず裏返してください。 たたまれた状態で積まれているときは、袖口の内側をめくるだけでも判定できます。
室温で選び分ける|22度と18度、2つの境目
部屋の温度計を見て決めます。外の気温ではありません。家の中は、外が同じでも建物と日当たりでかなり変わります。
| 室温 | 向くほう | 理由 |
|---|---|---|
| 22度より上 | 裏毛 | 起毛だと、座っているだけで内側に熱がこもる |
| 18〜22度 | 着る時間で決める | 長く着るなら裏毛、短時間なら裏起毛 |
| 18度より下 | 裏起毛 | 裏毛では、下に足しても足りなくなる |
あいだの4度分が、いちばん迷う帯です。ここは温度ではなく、その一枚を何時間着ているかで決めてください。
朝から夜まで着替えずに過ごす日は裏毛です。動く時間があるぶん、戻りの早さが効きます。入浴のあとから寝るまでの2〜3時間だけなら裏起毛で、動かずに座っている時間が長いので、ためる側の利点だけが出ます。
洗ったあとの乾き|枚数を決める前に一度だけ測る
枚数で困る前に、乾く時間で困ることのほうが多いです。ここは家によって差が大きいので、一度だけ測っておいてください。
やり方は簡単です。夜に洗って干し、翌朝に縫い目の重なっているところを触ります。袖口の内側、脇の下、裾のリブの中です。面の部分が乾いていても、ここが冷たければまだ湿っています。
- 翌朝に冷たさが残らない|2枚で回せます
- 冷たい感じが残る|3枚目が要ります。干し場所を変えるほうが先に効くこともあります
裏起毛は、同じ条件でも長くかかります。毛のあいだに空気をためる作りなので、その空気のあいだに水分も残るからです。夜に洗って翌朝着たい一枚は裏毛、週末にまとめて洗える一枚は裏起毛、という分け方にすると現実に合います。
何組そろえれば回るかという数え方そのものは、部屋着の記事に置いてあります。
へたる場所が違う|見る場所を取り違えない
どちらも終わりが来ますが、終わる場所が違います。ここを取り違えると、まだ使える一枚を捨てたり、もう戻らない一枚を着続けたりします。
裏毛は、袖口と首ぐりから終わります。 面の部分はかなり長く持ちます。ループがつぶれる前に、リブの編み地のほうが先に伸びます。袖口を指2本で軽く引いて離し、2秒以内に戻らなければ、そこが終わりです。
裏起毛は、背中と座る面から終わります。 毛が寝て、そこだけ光を面で返すようになります。窓の光に対して斜めに向けると、寝たところが筋に見えます。ブラシをかけると一時的に起きますが、次に座った時点で同じところが寝ます。
⚠️ 裏起毛の毛は、洗濯のたびに少しずつ抜けます。乾燥機の熱を当てると、抜け方が速くなります。長く使いたい一枚は、裏返して陰で干すほうが持ちます。
秋に1枚足すなら、どちらから
9月の後半は、部屋着を足す時期として扱いやすい時期です。暖房が入る前なので、まだ薄い側も厚い側も選べます。
1枚目に足すなら裏毛です。受け持つ温度の帯が広く、寒くなったら下に1枚入れて延ばせます。裏起毛は、逆方向への手がありません。暖かい日は脱ぐしかなく、脱いだら別の一枚が要ります。
裏起毛を足すのは、暖房が入ってからで間に合います。室温が18度を下回る部屋が家の中にできたと分かってから買うほうが、どの部屋のために買うのかがはっきりします。11月に入ってから探すと厚いものしか選べない、ということも起きにくくなります。
外へ着ていく一枚としてのスウェットの選び方は、秋のスウェットの記事に分けてあります。裏側の作りで選ぶのは家の中の話で、外では表側の織りの目のほうが先に見えます。
よくある行き違い
「厚いほうが暖かいから、迷ったら厚いものを買う」
厚みと暖かさは、同じ方向に動きません。
暖かさを作っているのは、生地の中にどれだけ空気が入っているかです。だから、薄くても毛が立っていれば暖かく、厚くても目が詰まっていればそこまで暖かくありません。厚い一枚は、暖かさより先に重さが出ます。
家で1日着る一枚なら、重さは効きます。肩に乗り続けるからです。厚みではなく、裏側がどちらかで選んでください。
「裏起毛は部屋着にしか使えない」
外に着られるかどうかは、裏ではなく表で決まります。裏起毛でも、表の織りの目が細かければ外へ出られます。
分かれ目になるのは裾と首ぐりのほうです。裾がゴムや紐で絞られているか、首ぐりが引いた形のまま残っていないか。そちらの線引きは部屋着の記事にあります。
「毛玉ができたら、もう寿命」
場所によります。
裏毛の裏側にできる毛玉は、ループがこすれてできたもので、取れば戻ります。生地そのものはまだ生きています。取り方を間違えて根元から引くと、そこだけ薄くなるので、そこは気をつけてください。
一方、裏起毛の表面が光り始めたのは、取り除く対象がありません。毛が寝ているだけで、毛玉ではないからです。見ているものが違うので、同じ「毛玉」という言葉で判断しないでください。
まとめ
- スウェットの裏には2種類ある。ループが並んだ裏毛と、起こして毛の面にした裏起毛
- 分かれ目は暖かさではなく、汗を受けたあとに戻るかどうか
- 裏返して60cm離して見る。粒が数えられれば裏毛、面になっていれば裏起毛
- 室温22度より上は裏毛、18度より下は裏起毛。あいだは着る時間の長さで決める
- 乾く時間は裏起毛のほうが長い。枚数を決める前に、家で一度だけ測る
- 裏毛は袖口と首ぐり、裏起毛は背中と座る面から終わる
装いに活かすなら
裏側の作りで選ぶという見方は、家の中の一枚だけの話ではありません。上着の内側、カーディガンの裏、ひざ掛けにも同じ2種類があります。触って凹凸があるか、すべるか。その1回で、その布がためる側か戻す側かが分かります。
秋は、家の中の温度が部屋ごとにばらけ始める時期でもあります。同じ家でも、日当たりのある部屋と北側の部屋で4度くらい違うことがあります。1枚で全部をまかなおうとせず、長くいる部屋の温度に合わせて決めると、着ない一枚が出にくくなります。
自分の暮らし方に合う厚みや形まで踏み込みたいときは、スタイリストが顧客プロフィールと在庫情報を踏まえて選定する形もあります。家の中の一枚と、外へ出る一枚の線引きを、外から見てもらう使い方です。
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— メグラシ編集部
よくある問い
- Q. 裏毛と裏起毛は、どちらが部屋着に向いていますか
- 室温で分かれます。22度より上の部屋では裏毛のほうが扱いやすく、18度を下回ったら裏起毛が楽になります。あいだの4度分は、その一枚を着ている時間の長さで決めてください。1日中着るなら裏毛、夜の数時間だけなら裏起毛が向きます。どちらが優れているという差ではなく、受け持つ温度の帯が違うだけです。
- Q. 裏毛と裏起毛は、家でどう見分ければいいですか
- 裏返して、腕を伸ばした距離から見てください。粒が1つずつ数えられるように並んでいれば裏毛、面が毛でおおわれて粒の境目が見えなければ裏起毛です。触って確かめる方法もあります。手のひらで軽くなでたとき、指に引っかかる凹凸があれば裏毛、すべるように滑らかなら裏起毛です。
- Q. 洗ったあと、乾く時間はどれくらい違いますか
- 同じ条件で干すと、裏起毛のほうが長くかかります。毛が空気をためる作りなので、その空気のあいだに水分も残るためです。夜に洗って翌朝に着たいなら裏毛、週末にまとめて洗って干す余裕があるなら裏起毛、という分け方が現実的です。枚数を決める前に、家の干し場所で一度だけ測っておくと後が楽になります。
- Q. 秋に1枚だけ足すなら、どちらがいいですか
- 1枚だけなら裏毛を選んでください。受け持つ温度の帯が広く、寒くなったら下に1枚足して延ばせるからです。裏起毛は逆に、暖かい日に調整する手がありません。暖房が入る時期になってから、寒い部屋用にもう1枚足すほうが、着ない一枚が出にくくなります。
— メグラシ編集部




