卒園式の保育士のパンツスーツ|担任・ピアノ・進行の役で丈と幅を選ぶ

**卒園式の当日、あなたが式の中でいちばん長くしている動きは何ですか。**名前を呼ぶこと、ピアノを弾くこと、式を進めること、子どもの列について動くこと。そのどれかで、選ぶパンツスーツの形が決まります。
先に結論を言っておくと、卒園式に保育士がパンツスーツで出ること自体は、多くの園でふつうのことです。迷うべきなのは「パンツかスカートか」ではありません。**自分の役に対して、上着の丈と裾の長さが合っているか。**そこだけです。
入園式の側の選び方は入園式の保育士のセレモニースーツにまとめてあります。あちらは新しい子を迎える日の動き、この記事は子どもを送り出す日の動きを前提にしています。卒園式は、呼名・証書・歌・別れのことばと、式の中で職員が前に出る場面が入園式より多い。だから、役ごとに分けて考えたほうが早く決まります。
結論:パンツでよいかは園が決め、形は役が決める
パンツでよいかどうかは、あなたの好みではなく園の申し合わせで決まります。そこが決まったら、あとは当日の役で形を選びます。
| 当日の役 | いちばん長く見られる姿 | 見る寸法 |
|---|---|---|
| 担任(呼名・証書の補助) | 前に立って礼をする後ろ姿 | 上着の後ろ丈がヒップの高いところを覆うか |
| ピアノ | 鍵盤の前に座った横姿 | 座ったときに裾がペダルに触れないか |
| 進行・司会 | 正面で止まって立つ全身 | 縦の線が1本通るか、手元が落ち着くか |
| 誘導・裏方 | 中腰で子どもの列に添う姿 | 中腰で生地が突っ張らないか、靴で小走りできるか |
**この表の左の列から、自分の役を1つだけ選んでください。**2つ以上あるなら、後の章「役が2つ以上重なるとき」で優先順位を決めます。
なぜ役で決めるのか。保護者がその日の職員を覚えているのは、全身の印象ではなく、いちばん長く目にした姿だからです。担任なら呼名の後ろ姿、ピアノならピアノの横姿。その姿で崩れないことが、その日の服のいちばんの仕事です。
先に確かめる1つ:園の申し合わせと、去年の写真
役を決める前に、1つだけ確かめておくことがあります。園に、職員の式典の服装についての申し合わせがあるかどうかです。
申し合わせは、書面になっていないことが多いものです。「先生たちは黒か紺のスーツで」「コサージュは園で用意します」と、口づてで伝わっている園もあります。新しく入った人や異動してきた人は、それを知らないまま当日を迎えることがあります。
いちばん早いのは、去年の卒園式の写真を見ることです。園のアルバムや記録の写真で、職員の何人がパンツで、何人がスカートだったかを数えてください。
- 職員の半分以上がパンツなら、パンツで迷う必要はありません
- 全員がスカートなら、主任や園長にひと言聞いてから決めます
- 写真が無い場合は、同じ学年の担任どうしで揃えるかを先に話しておきます
全員がスカートだった場合でも、パンツが禁止とは限りません。たまたまそうだっただけ、ということも多いからです。ただ、1人だけパンツだと集合写真で目立つので、聞いておいたほうが当日落ち着いていられます。
聞くときは「パンツでもいいですか」より、「ピアノを弾くので、ペダルを踏みやすいパンツにしたいのですが」と、役と理由を添えたほうが話が早く通ります。
役1|担任:呼名と礼で、上着の後ろ丈が決まる
担任のいちばん長い姿は、前に立って子どもの名前を呼び、礼をする姿です。保護者席からは、この後ろ姿と横姿が何度も見えます。
礼をすると、上着の後ろ裾は持ち上がります。腰から30度ほど体を傾けたとき、上着の後ろ裾が5cm前後上がるのがふつうです。上着の後ろ丈が、ヒップのいちばん高いところをぎりぎり覆う長さだと、礼をした瞬間にパンツの後ろの縫い目が見えます。
鏡で確かめる手順
- 上着を着て、前のボタンを留めます
- 横向きに立ち、鏡に後ろ姿が映るように首だけ振り向きます
- そのまま、腰から30度ほど体を前に倒します
- 上着の後ろ裾が、ヒップのいちばん高いところより下にあるかを見ます
裾がヒップの高いところより上に上がってしまう場合は、上着の丈が担任の役には少し短いということです。手持ちの上着でそうなるなら、礼をするときだけ前のボタンを外すと、後ろ裾の上がり方が小さくなります。前を閉めたまま腰を折ると、上着全体が前に引かれて後ろが持ち上がるからです。
証書授与の補助で見ること
証書授与で、子どもの横に立って証書を受け渡す役がある場合は、腕を前に伸ばす動きが加わります。腕を前に出したとき、上着の背中に横じわが何本も出るなら、肩まわりがきつめです。2本までなら写真では気になりません。3本以上で生地が背中に張りつくなら、上着のサイズか形を見直します。
呼名のときの手元
名前を呼ぶときは、名簿を両手で持つことが多いと思います。名簿を胸の高さで持つと、上着の前の合わせが手で隠れます。このとき、上着の前ボタンの位置が胸の下にあると、手と名簿でボタンが隠れて、前の線がすっきり見えます。逆にボタンが腰の近くにある上着だと、名簿の下に上着の合わせが長く見えます。どちらが良い悪いではなく、写真に残る形が違うということだけ覚えておけば十分です。
役2|ピアノ:座ったときの裾と、ペダルの足首
ピアノを受け持つ人の、いちばん長い姿は、鍵盤の前に座った横姿です。入場の曲、歌の伴奏、退場の曲と、式の始まりから終わりまで鍵盤の前にいることもあります。
この役で見るのは、座ったときの裾の位置です。
人は座ると、パンツの裾が3〜5cm上がります。立ってちょうどよい丈でも、座ると足首が見え、逆に立って長めの丈でも、座れば靴の甲から離れることがあります。問題は、ペダルを踏む足です。
丈の境目
- 立って、裾が靴の甲に1cm以上かかる:座ってもペダルの上で裾が揺れやすい。ピアノ役には長め
- 立って、くるぶしの骨の下端あたりで止まる:座ると足首の骨が半分見える。ピアノ役にはこのあたりが収まりやすい
- 立って、くるぶしの骨がすっかり見える:座ると足首から上が広く出る。式典の場では少し短め
立ってくるぶしの骨の下端あたりで止まる丈が、いちばん迷いにくい長さです。
裾幅の境目
裾幅も関係します。片側の裾幅が、平らに置いて測って22cmを超えるワイドな形は、座ってペダルを踏むとき、裾の布がペダルの横に垂れます。踏み込んだときに布を一緒に押さえてしまうことがあるので、ピアノ役には向きません。
片側18〜21cmくらいのまっすぐな形か、裾に向かって少し細くなる形なら、ペダルの横に布が余りません。
靴との組み合わせ
ピアノ役は、ふだん弾き慣れている靴の高さで弾いたほうが、ペダルの感覚が狂いません。式の日だけ高いヒールにすると、裾の丈も変わります。靴を決めてから丈を決める、の順にしてください。ヒールの高さが2cm変わると、同じパンツでも裾が靴の甲にかかる長さが変わります。
役3|進行・司会:止まって立つ時間で、縦の線を選ぶ
進行や司会を受け持つ人は、式のあいだ、正面の端に立ち続けます。動きは少ないけれど、全身がずっと見えている役です。
この役で見るのは、立ち止まった全身に縦の線が1本通っているかです。
止まって立っている人は、横から見ると、上着の前の合わせと、パンツの折り目(センタープレス)が縦の線になります。この2本がそろって真下に落ちていると、長く立っていても姿勢が崩れて見えません。
センタープレスがあるかどうか
パンツの前に折り目が入っているものは、立っているとき脚の前に縦の線が1本ずつ通ります。進行のように止まって立つ役には、折り目のある形が向いています。
折り目の無いパンツでも、生地にハリがあって膝の前にしわが溜まらなければ、縦の線は出ます。立って3分ほどそのままでいたあと、膝の裏と前にしわが溜まっていないかを見てください。溜まるなら、長く立つ役には生地が柔らかすぎます。
手元を落ち着かせる
司会は、マイクか原稿を持つことが多い役です。両手がふさがるので、上着のポケットにハンカチや進行表を入れておきたくなります。ただ、ポケットに物を入れると、上着の腰まわりが膨らんで、縦の線が崩れます。
ハンカチは、司会台の下か、袖口から見えない位置に置ける場所を、前日に決めておいてください。卒園式は、進行役も子どもの別れのことばで目元が熱くなる日です。手が届く場所にハンカチがあるかどうかで、落ち着き方が違います。
役4|誘導・裏方:中腰と小走りで、伸びと靴を決める
子どもの入退場の列について歩いたり、席に座らせたり、合唱のひな壇に並ばせたりする役は、式の中でいちばん動きます。保護者からは、子どもの横で中腰になっている姿が多く見えます。
この役で見るのは、中腰になったときの生地の突っ張りです。
中腰で確かめる
- パンツを履いて、膝を軽く曲げ、上半身を少し前に倒します
- 子どもの肩に手を添える高さまで、手を下ろします
- その姿勢で10秒止まります
このとき、太ももの前とお尻の後ろで生地が突っ張り、腰の後ろが下がって背中が出そうになるなら、この役には窮屈です。後ろの股上が浅い形だと、中腰で背中が出やすくなります。上着を着ていれば背中は隠れますが、上着の中でシャツが出てくると、立ち上がったときに直す手間が増えます。
生地に横に少し伸びるものが混ざっていると、中腰の突っ張りは小さくなります。タグの混率で、伸びる糸が2〜5%入っているものが、式典の見た目と動きやすさの間に収まりやすい目安です。
靴
誘導役は、廊下や園庭を小走りすることがあります。ヒールは3cm以下で、かかとが幅広いもの。つま先が細く尖った靴は、子どもの足を踏みそうになったとき、よけにくくなります。
ひな壇の段差
合唱のひな壇に子どもを並ばせる役なら、段差を上り下りします。段を上がるとき、パンツの膝が引かれて裾が上がります。段差が20cmほどあるひな壇で、膝を上げたときに裾が足首の上5cm以上まで上がるなら、生地にゆとりが足りません。
裾幅と丈を、自分の脚で測る
ここまで役ごとに見てきましたが、裾幅と丈は、どの役でも一度は自分で測っておくと迷わなくなります。
丈の測り方
靴を履いた状態で、鏡の前に立ちます。パンツの裾の折り目が、どこで止まっているかを見ます。
- 靴の甲に、裾が軽く触れている
- くるぶしの骨の下端で止まっている
- くるぶしの骨がすっかり見えている
この3つのどれかに当てはまります。卒園式は靴を脱がない式が多いので、靴を履いた状態で見ることが大事です。会場がホールで、靴を脱いでスリッパに替える園なら、スリッパでもう一度見てください。スリッパは靴より低いので、裾が床に近くなります。
裾幅の測り方
パンツを平らに置き、裾の端から端までを測ります。これが片側の裾幅です。
| 片側の裾幅 | 見え方 | 向く役 |
|---|---|---|
| 17cm以下 | 足首に沿う細い形 | 誘導・裏方(小走りに向く) |
| 18〜21cm | まっすぐ落ちる形 | どの役でも収まる |
| 22cm以上 | 布が揺れる広い形 | 進行・司会(止まって立つ役) |
**迷ったら、18〜21cmの帯を選んでください。**どの役に回っても、極端に困ることがありません。
色は、保護者より一段沈める
卒園式は、子どもと保護者が主役の日です。保育士は、送り出す側として、色を少し沈めておくと、写真の中で自然に背景に回れます。
色の目安
- 黒:もっとも迷わない。ただし園によっては、黒は保護者の色として、職員は紺かグレーにそろえることもある
- 紺:黒より柔らかく、子どもの明るい服の隣で重くなりすぎない
- 濃いグレー:明るめの会場で、黒や紺より軽く見える
- ベージュや淡い色:保護者の装いと重なりやすく、職員として前に立つと目立つ
紺は、照明の下で黒に近く見えることもあれば、窓の光で青みが出ることもあります。去年の写真で、自分の園の会場がどちらの光かを見ておくと、色の選び方がはっきりします。
上着の中に着るもの
上着の中は、白か淡い色のブラウスか、カットソーが無難です。衿のあるブラウスは改まって見えます。ただ、ピアノ役や誘導役で腕を動かす人は、衿が首に当たって気になることがあります。その場合は、首まわりが丸く開いた、ハリのあるカットソーでも式の場に収まります。
コサージュを園で用意する場合は、上着の左胸につけることが多いので、その位置にポケットのフタや飾りが無いほうが、すっきりつけられます。
足元は、座ったときに見える範囲で決める
パンツスーツのときの足元は、ストッキングにするか、靴下にするかで迷う人が多いところです。
立っているときは、裾が足首を覆うので、ストッキングでも靴下でもほとんど見えません。違いが出るのは、座ったときです。座ると裾が3〜5cm上がるので、足首から上が見えます。
- ピアノ役:座っている時間が長く、横から足首が見え続ける。肌に近い色のストッキングにすると、足首からパンプスまでが自然につながる
- 担任役・進行役:立っている時間が長い。どちらでも見え方は変わらないので、履き慣れているほうでよい
- 誘導役:中腰になると裾が上がる。靴下にするなら、パンツと同じ濃い色で、座っても脚が見えない長さのものにする
靴下を選ぶ場合、くるぶし丈の短いものは、座ったり中腰になったりしたときに素肌が見えます。ふくらはぎの中ほどまである長さなら、どの姿勢でも素肌が出ません。
靴は、黒か紺の、飾りの少ないパンプスか、ひもの無い革の靴が式典の場に収まります。ピアノ役なら、つま先が細すぎないものを選ぶと、ペダルを踏む位置が安定します。
上着の前を閉めるか、開けるか
式の間、上着の前を閉めるか開けるかは、役で変わります。
- 担任:呼名と礼の間は閉める。座っている間は開けてよい
- ピアノ:座って弾くときは開ける。閉めたままだと腕を動かすたびに背中が引かれる
- 進行:立っている間は閉める
- 誘導:動くときは開ける。止まって式を見守る間は閉める
ボタンが1つの上着なら、留め外しが一瞬で済むので、役の切り替えが多い人に向いています。ボタンが2つ以上ある上着は、閉めたときの縦の線が長く通るので、進行のように閉めっぱなしの役に向いています。
役が2つ以上重なるとき
小さな園ほど、1人の職員が複数の役を受け持ちます。担任がピアノも弾く、主任が進行をしながら誘導もする。ここがいちばん迷うところです。
優先順位の決め方
- 当日の式次第を紙に書き出します
- それぞれの場面で、自分がどの役をしているかを横に書きます
- 役ごとに、その場面の長さをおおよそ分で書きます
- いちばん長い役を「主」、それ以外を「従」にします
主の役の寸法を優先して選び、従の役の動きは、前日に1回だけ試して足りるかを確かめます。
よくある重なり方と、その決め方
担任+ピアノの場合。呼名は1人数十秒でも、子どもの人数が20人なら10分前後になります。ピアノは入場・歌・退場で、合わせて15分前後になることがあります。ピアノのほうが長ければ、裾の丈を優先し、上着の後ろ丈は礼のときにボタンを外す、で補います。
進行+誘導の場合。進行は式のあいだ止まって立ち、誘導は入退場の前後だけ動きます。式の本体が長いなら進行を主にして、センタープレスのある形を選びます。誘導の場面では、上着の前を開けて動けば足ります。
担任+誘導の場合。担任は自分のクラスの子どもを連れて入場し、そのまま呼名に移ることが多いので、どちらの動きも同じくらいの長さになります。この場合は、後ろ丈と中腰の両方を見ます。後ろ丈が足りる上着と、伸びる糸が入ったパンツの組み合わせにすると、両方に足ります。
両方とも同じくらいの長さだったとき
主と従が決められないときは、保護者席から見て正面にいる時間が長い役を主にしてください。正面にいるとき、全身がいちばんよく見えるからです。ピアノは横向き、誘導は列の脇にいることが多いので、正面の役より見られる角度が限られます。
前日に1回だけ試す動き
主の役で選んだ服を着て、従の役の動きを1回だけ試します。
- 従がピアノなら:椅子に座って、ペダルに足を置く。裾が触れないか
- 従が担任なら:腰から30度礼をする。後ろ裾がヒップの高いところより上がらないか
- 従が進行なら:3分止まって立つ。膝にしわが溜まらないか
- 従が誘導なら:中腰で10秒止まる。背中が出ないか
1つでも通らなかったら、その動きのときだけ上着の前を開ける、靴を替える、など服の外側で補えるかを考えます。補えないときに初めて、服そのものを替えます。
式次第から長さを書き出した例
ある園の、年長クラスの担任がピアノも受け持つ場合を例にしてみます。式次第と、そのときの役を書き出すと、次のようになります。
- 入場:ピアノで入場の曲を弾く(約5分)
- 開式のことば・園長のあいさつ:ピアノの椅子に座ったまま待つ(約10分)
- 呼名と証書授与:前に出て名前を呼ぶ(子ども22人で約12分)
- 来賓のあいさつ:担任の席に戻って座る(約10分)
- 歌:ピアノで伴奏する(2曲で約8分)
- 別れのことば:子どもの横に立って見守る(約5分)
- 退場:ピアノで退場の曲を弾く(約4分)
ピアノの前にいる時間は、弾いている時間と座って待っている時間を合わせて約27分。前に立つ時間は、呼名と別れのことばで約17分です。この場合はピアノが主、担任が従になります。
服は、立ってくるぶしの骨の下端で止まる丈の、まっすぐなパンツを選びます。上着は、礼をしたときに後ろ裾が上がりすぎないかを前日に試し、上がるなら呼名の間だけ前のボタンを外して礼をします。これで、主の役も従の役も、1着でこなせます。
書き出してみると、自分では担任の役が長いと思っていたのに、実際はピアノのほうが長かった、ということがよくあります。印象ではなく、分で比べてください。
園の申し合わせがはっきりしないとき
申し合わせが無い、聞いても「自由でいいよ」と言われた。そういうときも、意外に迷います。自由と言われても、当日になって自分だけ浮くのは避けたいからです。
3つの段階で決める
- 同じ学年の担任どうしで、パンツかスカートか、色は黒か紺かだけを合わせる
- 学年の中で合わせられないときは、主任の服装に寄せる
- それも分からないときは、濃い色の無地のパンツスーツにする
濃い色の無地のパンツスーツは、どの園の卒園式でも浮きにくい、いちばん幅の広い選び方です。「自由でいい」と言われたときの最後の拠り所にしてください。
園の雰囲気で調整する
園によって、卒園式の空気はかなり違います。ホールを借りて行う改まった式もあれば、遊戯室で保護者と一緒に輪になって行う、和やかな式もあります。
- ホールや講堂で行う改まった式:上下同じ生地のスーツ。インナーは衿付きでもよい
- 遊戯室で行う和やかな式:上下同じ生地のスーツに、インナーを柔らかい丸首にする
和やかな式でも、上着は脱がずに着ていたほうが、保護者の改まった装いと釣り合います。
新しく入った人・異動してきた人
その園で初めて卒園式を迎える人は、去年の写真も、口づての申し合わせも知らないことが多いはずです。聞ける相手がいるなら、同じ学年の担任か、その園に長くいる職員に聞くのがいちばん確かです。
聞くときに確かめておきたいのは、次の3つです。
- 職員はパンツでもよいか、色は黒か紺か
- コサージュは園で用意するか、各自で用意するか
- 会場は靴のままか、スリッパに履き替えるか
この3つが分かれば、服の準備はほとんど決まります。とくに3つ目は、裾の丈に関わるので、早めに聞いておくと安心です。スリッパに履き替える会場なら、靴を履いたときに合わせた丈が、スリッパでは床に近づきすぎることがあります。
前の園で着ていたスーツがあるなら、それを基準にして、今の園の申し合わせに合わせて色やインナーだけ替えれば足ります。新しい園だからといって、一式を新しく揃える必要はありません。
手持ちがスカートスーツしかないとき
パンツスーツを持っていない、スカートスーツなら1着ある。この場合、新しく買うかどうかで迷う人は多いと思います。
まず、手持ちのスカートスーツで、自分の役が務まるかを試してください。
- ピアノ役:座ってペダルを踏んだとき、スカートの裾が膝の上5cm以上まで上がるなら、パンツに替えたほうが落ち着きます
- 担任役:礼をして、スカートの後ろ裾が気にならなければ、そのままで足ります
- 誘導役:中腰になったとき、スカートの後ろが引かれて歩幅が狭くなるなら、パンツに替える理由があります
- 進行役:立っている役なので、スカートでもまったく困りません
**試して困らないなら、手持ちで十分です。**新しく揃えるのは、困る動きがあったときだけで構いません。
上着だけ手持ちのものを使い、パンツだけ新しく買う方法もあります。その場合は、上着と同じ色・同じ光沢のパンツを探します。上着とパンツで色が少しずれると、上下別の服に見えるので、売り場では上着を持って行って並べて見るのが確実です。
式のあとに、お別れ会や片付けがあるとき
卒園式のあと、園内でお別れ会や記念撮影、会場の片付けが続くことがあります。式とその後で、服の役目が変わります。
式のあとの動き別に
- 記念撮影:式と同じ服のまま。上着の前は閉める
- お別れ会:保護者や子どもと近い距離で過ごす。上着は着たままか、脱いでブラウス姿になる
- 片付け:椅子を運ぶ、床に膝をつく。上着を脱ぎ、パンツの膝を汚さないように気をつける
片付けで膝をつく場面があるなら、パンツは膝に砂やほこりがついても払える生地を選びます。毛足の長い生地や、光沢の強い生地は、ほこりが目立ちやすくなります。
式のあとの流れについては、保護者の側から見た保育園の卒園式の服装も参考になります。保護者が式のあとにどう動くかを知っておくと、職員として寄り添う場面が読みやすくなります。
着替えを持っていくか
片付けまで含めると長い日になるので、上着の下に着るものを1枚予備で持っておくと安心です。子どもを抱きしめたり、涙を拭いたりする日なので、ブラウスの胸元に跡がつくこともあります。
前日までに確かめる5つの動き
当日の朝に気づいても直せないことがあるので、前日までに、選んだ服を着て次の5つを試してください。
- 礼:腰から30度。上着の後ろ裾がヒップの高いところより上がらないか
- 座る:椅子に座って足をペダルの位置に。裾が靴の甲に触れないか
- 立つ:3分止まって立つ。膝の裏と前にしわが溜まらないか
- 中腰:子どもの肩に手を添える高さで10秒。背中が出ないか
- 段差:20cmほどの段を上る。裾が足首の上5cmより上がらないか
自分の役に関係のない動きは、飛ばしてかまいません。担任だけなら1と5、ピアノだけなら2、というように、自分の役の欄だけ試せば足ります。
5つ全部が通ったら、その服は、当日どの役に回っても困りません。急に役が変わったときの備えにもなります。
秋のうちに決めておく理由
卒園式は年度の終わりですが、服の準備は秋から冬のうちに始めたほうが落ち着きます。
ひとつは、年明けは発表会や生活発表の準備で、職員が服を見に行く時間が取りにくくなるからです。もうひとつは、式典用のスーツは裾上げに日数がかかることがあるからです。ピアノ役で丈をきちんと合わせたいなら、裾上げの日数を見込んでおく必要があります。
入園式のスーツと同じ1着で卒園式も通すなら、秋のうちに入園式のときの写真を見返して、どの役でどう見えていたかを確かめておくと、今回の調整箇所がはっきりします。
装いに活かすなら
卒園式の服装を決めるとき、保育士が見るべきなのは、自分の脚の長さでも体型でもなく、当日の自分の役です。役が決まれば、見る寸法は1つか2つに絞れます。
担任は礼の後ろ姿、ピアノは座った裾、進行は立った縦の線、誘導は中腰の突っ張り。この4つのうち、自分に関係あるものだけを鏡の前で確かめれば、パンツでもスカートでも、式の場に収まる1着が決まります。
送り出す側の服は、目立たないことより、動きの途中で崩れないことのほうが大切です。子どもたちの最後の日を、服の心配をせずに見届けられるように、前日までに一度だけ、自分の役の動きを試しておいてください。
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よくある問い
- Q. 卒園式で保育士がパンツスーツを着るのは失礼ですか
- パンツスーツそのものが失礼にあたるという決まりはありません。式典の服として通るかどうかは、形よりも色と生地と上着の丈で決まります。濃い色の無地で、生地に光沢が強すぎず、上着がヒップの高いところを覆っていれば、パンツでも式の場に収まります。ただ、園によっては職員の服装を申し合わせていることがあるので、まずはそれを確かめてください。去年の卒園式の写真で、職員の何人がパンツだったかを見るのがいちばん早い方法です。
- Q. ピアノを弾くとき、パンツの丈はどのくらいがいいですか
- 椅子に座ってペダルに足を置いたとき、裾が靴の甲に乗らず、足首の骨が半分見えるくらいが目安です。立った状態で靴の甲に裾が1cm以上かかる長さだと、座ったときに裾がペダルに触れやすくなります。逆に、立ってくるぶしがすっかり見えるほど短いと、座ったときに脚の素肌やストッキングが広く出ます。立ってくるぶしの骨の下端あたりで止まる丈なら、座っても立っても収まりやすい長さです。
- Q. 担任とピアノを両方受け持つ場合、どちらに合わせればいいですか
- 当日の式の流れを書き出して、どちらの動きのほうが長く保護者の目に入るかで決めます。呼名と証書授与の補助で前に立つ時間が長いなら、上着の後ろ丈を優先します。ピアノを弾く曲が多く、入場から退場まで鍵盤の前にいる時間が長いなら、裾の丈を優先します。そのうえで、優先しなかったほうの動きを前日に1回だけ試してください。礼をして後ろが上がりすぎない、座って裾がペダルに触れない、の2つが通れば、その1着で両方こなせます。
- Q. 式典用のスーツを持っていません。普段の仕事着で出てもいいですか
- 普段の仕事着が、動きやすさを優先したニットや明るい色の上下なら、式の日だけは避けたほうが落ち着きます。卒園式は保護者が改まった服で来る日なので、職員だけが普段の服だと浮いて見えます。新しく揃えるなら、濃い色の無地で、上下が同じ生地のパンツスーツが1着あると、入園式・卒園式・保護者会と何度も使えます。急ぎで揃えられないときは、手持ちの濃い色のジャケットと濃い色のパンツを、色の差が小さい組み合わせで合わせてください。
— メグラシ編集部





