服の断捨離|役割ごとの枚数から決める手順

捨てられないのは、意志が弱いからではありません。決める順番が決まっていないまま、1枚ずつ「これは捨てるか」と聞かれているからです。
「1年着ていない服は捨てる」。この基準は広く知られています。それでも毎月2万回以上、服の断捨離という言葉が検索されている。基準を知らないのではなく、基準を当てはめる手前で止まっている人がそれだけいる、ということです。
先に結論を置きます。この記事は、減らすことを目的にしません。目的は朝に決めることを減らすことです。だから判断の単位を「何枚残すか」ではなく、「どの役割を何枚で回すか」に置き換えます。
「1年着ていない服は捨てる」で手が止まる理由
理由は2つあります。
1つは、1年という窓が長すぎて、記憶だけでは答えられないことです。去年の10月に何を着ていたかは、たいてい思い出せません。答えられない問いを立てると、そこで手が止まります。
もう1つのほうが大きくて、この基準は1枚ずつにしか効かないことです。1枚を手に取って「1年着たか」と聞くと、答えは「たぶん着た」「着ていないけれど、着る機会がなかっただけ」に散ります。1枚単位の問いには比べる相手がいないので、どちらとも取れる答えは、いつでも残す側に倒れます。
服は1枚ずつ買われますが、使われるときは違います。同じ持ち場を、何枚かで交代しながら回している。だったら、比べる相手を並べてから聞くほうが早いです。
数える①|直近12か月で袖を通した回数
まず、記憶ではなく痕跡で数えます。
スマートフォンの写真フォルダを、季節ごとにさかのぼるのがいちばん早いです。去年の秋、冬、今年の春、夏。人と会った日の写真には、たいてい何を着ていたかが写っています。あとは、洗濯のときに何度も見た顔ぶれを思い出せば足ります。
数えるのは正確な回数ではなく、0回/1〜2回/3回以上の3段階だけです。このうち0回の服が何枚あるかを、紙に書いてください。 全体の3割を超えているなら、多いのは枚数ではなく、役割の偏りのほうです。同じ役割の服ばかりを買っていて、生活の中で実際に起きる日のうち一部しかカバーできていない状態です。
数える②|同じ役割の服が何枚あるか
ここが今日の中心です。
数えるとき、「白いシャツが5枚」という数え方をしないでください。数えるのは「人に会う日に、上半身を整える役割の服が5枚」という単位です。アイテム名で数えると、同じ役割を別のアイテムで持っていることに気づけません。襟のあるシャツと、きれいめのカットソーと、薄手のニットが、同じ日に同じ仕事をしているなら、それは同じ役割の3枚です。
役割ごとに数えて、多いほうから3つと、少ないほうから3つを書き出します。この2つの差が、そのまま今日の作業量になります。
数える③|直す前提で置いている服の年数
「丈を詰めよう」「ボタンを付け替えよう」と思ったまま置いてある服が、たいてい何枚かあります。それを置いた日から、何年経っているかを数えてください。
1シーズン以内なら、それは予定です。2シーズンを超えているなら、予定ではなく保留です。保留と予定は見た目が同じなので、年数で分けるしかありません。
直すという選択は、手放すために使うものではなく、着続けるために使うものです(お直しでできること・できないこと)。年数を数えて2シーズンを超えていたなら、直したい気持ちのほうが先に薄れていた、というだけのことです。
「役割」とは、その服が引き受けている仕事のこと
役割はアイテム名ではありません。同じカーディガンでも、冷房の効いた室内で体温を足すためのものと、人に会う日に上半身の輪郭を整えるためのものは、別の役割です。前者は畳んで持ち歩く前提で選ばれ、後者は掛けておく前提で選ばれます。
自分の生活で実際に起きている仕事を、6つ前後で書き出します。目安として、よくある形を並べておきます。
| 役割 | その服がしている仕事 | よく入るもの |
|---|---|---|
| 体温を足す | 朝と昼の気温差、冷房の効いた場所を埋める | 羽織もの、薄手のニット |
| 一枚で成立させる | 上下の組み合わせを考えずに出かけられる | ワンピース、上下そろいのもの |
| 上半身を整える | 人に会う日の印象を受け持つ | 襟のある服、きれいめのトップス |
| 下半身を決める | 立つ・座る・歩くの動きを受ける | パンツ、スカート |
| 汚れても構わない | 手を動かす日、家の中で過ごす日 | 部屋で着る服、作業の服 |
| 一段上げる | 場が改まる日に、格を足す | ジャケット、改まった場に出せる一式 |
自分の言葉に置き換えて構いません。むしろ、置き換えたほうがいいです。「打ち合わせの日の上」「送り迎えの日の下」のように、朝に思い浮かべる言葉のままにしておくと、後の手順で迷いません。
書き出してみると、偏りが枚数として見えます。一段上げる役割が2枚あれば足りるのに8枚ある、というような偏りです。断捨離で減らすべきなのは、この「同じ役割の中の余り」であって、全体の枚数ではありません。
手順①|全部出す
並べ替えるだけが目的なら、全部を出す必要はありません(服の整理の仕方)。ただし今回は手放す判断をするので、全部出したほうが結果的に速いです。
理由は比べるためです。クローゼットに残したまま判断すると、比べる相手が奥に隠れていて視界に入りません。手前の服だけで判断が終わり、奥の服は判断されないまま残ります。全部出す作業は、その全員を同じ土俵に上げるためのものです。
時間の目安は、30〜40枚で1時間ほど。100枚を超えるなら日を分けてください。出す場所は、床でもベッドでも構いませんが、作業が終わるまで塞がっていても困らない場所にします。途中で片づけたくなると、全部を元に戻して終わります。
手順②|役割の山に分ける
広げた服を1枚ずつ手に取って、書き出した役割の山に置いていきます。
ここで「残す」「捨てる」「迷う」の3つの山はつくらないでください。 この段階では、まだ捨てる判断をしません。つくるのは役割の山だけです。山が10を超えたら細かすぎるので、近いものを統合して6〜8に収めます。
1枚が2つの役割を持つことがあります。その場合は、直近12か月で多かったほうの山へ置いてください。両方に置きたくなりますが、置き場所が2つある服は、後で線を引くときに二重に数えられます。
どの役割にも入らない服が、必ず何枚か出ます。それは失敗ではなく情報です。今の生活のどの日にも当てはまらない、というだけのことなので、脇によけておいて、後の節でまとめて扱います。
手順③|役割ごとに、回す枚数を決める
枚数は好みではなく、逆算できます。見るのは2つ、週にその役割の日が何回来るかと、着てから次に着られる状態に戻るまでの日数です。
| 役割の例 | 週に来る回数 | 戻るまでの日数 | 回す枚数の目安 |
|---|---|---|---|
| 上半身を整える | 4回 | 2〜3日 | 4〜5枚 |
| 一枚で成立させる | 2回 | 2日 | 2〜3枚 |
| 体温を足す | 5回 | 毎回は洗わない | 2〜3枚 |
| 汚れても構わない | 3回 | 1日 | 2枚 |
| 一段上げる | 月に1回以下 | その都度 | 1〜2枚 |
戻るまでの日数は、洗濯機を回す間隔ではなく、乾いて畳み終わるまでの実際の日数で見てください。室内干しが中心の季節は、ここが1日ずれるだけで必要枚数が変わります。
そのうえで、余白を1枚だけ足します。予定が重なる週、洗濯が回らない週が必ずあるからです。ただし足すのは、いちばん多く回る役割の1つだけにしてください。全部の役割に1枚ずつ足すと、元の枚数に戻ります。
決めた枚数は紙に書いてください。頭の中に置いたままだと、手を動かしているうちに増えます。
同じ役割の中だけで比べて、線を引く
1枚ずつ聞く方法と、いちばん違うのがここです。
役割の山を1つ選んで、その中身を1列に並べます。並べる順番は次の通りです。
- 直近12か月で袖を通した回数が多い順
- 同数のものは、洗ったあとの状態で並べ直す(毛玉、襟と袖口のよれ、色あせ)
- それでも同数なら、他の役割の服と組み合わせやすい順
並べ終わったら、決めておいた枚数のところに線を引きます。線から下が、今回手放す候補です。
「どれも捨てられない」ではなく「5枚のうち上から3枚」を選ぶ形にすると、手が動きます。 聞かれている中身は同じでも、選ぶ作業のほうが、捨てる作業より軽いからです。
ひとつだけ注意があります。線から下に、いちばん状態のいい服が来ることがあります。着ていないから傷んでいない、という服です。これは残す理由になりません。傷んでいないという事実より、12か月着なかったという事実のほうが、情報として新しいです。
手順④|迷った服だけ、最後にまとめて見る
役割の山に入らなかった服と、線から下に来たのに手が止まった服。ここまで来て残っているのは、たいてい理由が服の外側にある服です。
まとめて1つの箱に入れないでください。理由の違うものを同じ箱に入れると、いちばん重い理由に全部が引きずられて、判断だけが先送りされます。次の4つに分けてから、それぞれ別の見方で扱います。
| 迷う理由 | 見分け方 | 見るところ |
|---|---|---|
| 高かった | 手に取ると値段が先に浮かぶ | 払った額ではなく、これから着る回数 |
| 思い出がある | 服より、その日の場面が浮かぶ | 残したいのが服か、記録か |
| 今の体に沿っていない | 着られるが、動くと引っぱられる/余る | 服のどこが合っていないか |
| 人からもらった | 贈った人の顔が浮かぶ | 関係が服に乗っているかどうか |
迷う服①|高かった服
値段は、すでに払い終わっています。手放しても戻らないし、持ち続けても戻りません。だから「元を取る」という考え方は、この判断には使えません。
代わりに、これから先の回数を見ます。この先12か月で何回着るかを、具体的な場面をつけて言ってみてください。 0回か1回しか出てこないなら、値段はもう判断材料から外れています。3回以上の場面が言えるなら、それは高かった服ではなく、よく着る服です。
場面が出てこないけれど手も動かない、という状態なら、役割の列のいちばん手前に3か月だけ戻してください。値段を回収する方法は着ることしかないので、実地で試すのがいちばん早いです。3か月で袖を通さなければ、答えは出ています。
もう1つ。高い服ほど、役割が狭いことがあります。合わせる相手が限られていて、その1枚のために別の服を買い足している場合、金額はまだ増え続けています。数えるのは買った額ではなく、その1枚を着るために動いている総額のほうです。
迷う服②|思い出のある服
手放さなくて構いません。着る予定のない服を持ち続けることを、片づけられていない状態として扱う必要はありません。服は道具であると同時に、記録でもあります。
ただし、置き場所だけは移してください。毎日開ける場所から、年に1〜2回しか開けない場所へ。毎日開ける場所に置いたままだと、朝に毎回それが目に入って、毎回小さく判断することになります。判断の回数を減らすのが目的なので、ここは効きます。
上限は、枚数ではなく場所で決めます。この引き出し1段、この箱1つ。上限の中に入るものは、理由を説明しなくていいことにする。上限を決めておくと、「思い出」という言葉が、決められないもの全部を吸い込む逃げ場になりません。
見分け方をひとつ。その服を最後に着た日のことを、人に説明してみてください。話が服の話にならず、その日の話になるなら、残したいのは記録のほうです。記録なら写真が1枚あれば残りますし、写真は場所を取りません。逆に、生地の手ざわりや袖を通したときの感じまで話に出てくるなら、それは服として残す理由があります。
迷う服③|今の体に沿っていない服
「痩せたら着る」という前提を、この記事では採りません。条件を体のほうに置くと、判断が服から離れてしまい、クローゼットの前に立つこと自体が重くなるからです。
見るのは服です。今の体で実際に着てみて、どこが合っていないかを言葉にしてください。肩の位置、身幅、丈、袖丈、ウエストの位置。 このうち丈と袖丈は直せることが多く、肩の位置と身幅は直しにくく、ウエストの位置は服の設計そのものなので、直すというより別の服の話になります。
直せる範囲だったら、いつ直すかを日付で決めます。日付が決まらないなら、それは直す予定ではなく保留です(数える③で年数を数えたのは、このためです)。
直せない範囲だったら、その服は今の生活に合っていない、というだけのことです。体が変わったのではなく、服が今の体に追いついていない。体は季節でも1日の中でも動きますし、年単位でも動きます。ある一時点の寸法に合わせた服を持ち続けると、合っている期間のほうがどうしても短くなります。
体が動いている途中の時期なら、手放すよりいったん保留するほうが妥当です。この時期の持ち方は借りると買うの使い分けにまとめています。
迷う服④|人からもらった服
手に取ったときに浮かぶのが服ではなく、贈ってくれた人の顔なので、判断が重くなります。
分けて考えてください。贈り物は、受け取って、お礼を言った時点で役目を終えています。その後にその服がどこにあるかは、贈った人との関係とは別の話です。贈った人が見たいのは、掛かっている光景ではなく、着ている姿のほうです。
だから判断の順序は、他の服と同じで構いません。役割の列に入るかどうかだけを見る。入るなら残し、入らないなら毎日開ける場所から移す。関係は、服の置き場所では変わりません。
それでも手が止まるなら、期限をつけて手前に置いてください。3か月着なければ、答えは出ています。着なかった理由を後から探すと、たいてい「サイズが少しだけ違う」「合わせる相手がいない」といった、服の側の具体が出てきます。
手放したあとの行き先は、始める前に決めておく
行き先を決めずに始めると、手放すと決めた服が床に積まれたまま週末が終わり、翌週には元のクローゼットに戻ります。判断が終わった服に、次の置き場所がないからです。
一般的な選択肢は4つです。人に譲る、買い取ってもらう、寄付や店頭での回収に出す、資源回収や処分に出す。どれを選ぶかは、1枚あたりに何分かけられるかでほぼ決まります(服の手放し方)。
始める前にやることは2つだけです。袋を4枚用意して、それぞれに行き先を書いておくこと。そして、出す日をカレンダーに先に書いておくこと。日付のない袋は、開ける理由が発生しないので、そのまま部屋の一部になります。
人に渡せる状態かどうかは、自分の基準ではなく、受け取る側の基準で見てください。目安は、その状態のまま人に手渡して平気かどうかです。
まとめ
- 捨てられないのは基準を知らないからではなく、1枚ずつ聞かれているから。比べる相手を並べてから聞く
- 先に3つ数える。直近12か月で袖を通した回数、同じ役割の服の枚数、直す前提で置いている服の年数
- 判断の単位は「何枚残すか」ではなく「どの役割を何枚で回すか」。枚数は洗って戻るまでの日数から逆算できる
- 迷う服は箱にまとめない。高かった・思い出・体に沿っていない・もらった、で見るところが違う
減った枚数は、成果ではありません。翌朝クローゼットを開けて、目が止まる回数が減っていれば成功です。そこまで来ていれば、次の衣替えは仕舞う量が減っているぶん、かなり軽くなります(秋の衣替えの手順)。
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— メグラシ編集部
よくある問い
- Q. 「1年着ていない服は捨てる」で判断できないのは、なぜですか
- 1枚ずつ聞かれているからです。1枚を手に取って「1年着たか」と尋ねると、答えは「たぶん着た」「着ていないけれど機会がなかっただけ」に散ります。1枚単位の問いには比べる相手がいないので、どちらとも取れる答えはいつでも残す側に倒れます。服は1枚ずつ買われますが、使われるときは同じ持ち場を何枚かで交代しながら回っています。だから、同じ持ち場のものを並べてから聞くほうが速いです。5枚を並べて「上から3枚」を選ぶ形にすると、同じことを聞かれていても手が動きます。捨てる作業より、選ぶ作業のほうが軽いからです。
- Q. 何枚まで減らすのが正解ですか
- 全体の枚数に正解はありません。決めるのは役割ごとの枚数です。週にその役割の日が何回来るかと、着てから次に着られる状態に戻るまでの日数がわかれば、必要な枚数は逆算できます。週に4回ある役割で、洗って戻るまでに2〜3日かかるなら4〜5枚。月に1回以下の役割なら1〜2枚。この計算をすると、全体では多いのにある役割だけ足りていない、という状態がよく見つかります。総量を目標にすると、足りていない役割まで一緒に削ってしまい、次の月に買い足すことになります。
- Q. 高かった服が捨てられません
- 値段はすでに払い終わっているので、手放しても戻らず、持ち続けても戻りません。「元を取る」という考え方はこの判断には使えないので、代わりにこれから先の回数を見てください。この先12か月で何回着るかを、具体的な場面つきで言ってみる。0回か1回しか出てこないなら、値段はもう判断材料から外れています。3回以上言えるなら、それは高かった服ではなく、よく着る服です。数字が出てこないときは、いちばん手前に3か月だけ置いてください。実際に袖を通すかどうかで答えが出ます。
- Q. 「痩せたら着る」と思って残している服は、どうすればいいですか
- 体のほうを条件にしないでください。条件を体に置くと、判断が服から離れて、クローゼットの前に立つこと自体が重くなります。見るのは服です。今の体で着てみて、どこが合っていないかを言葉にします。肩の位置、身幅、丈、袖丈、ウエストの位置。このうち丈と袖丈は直せることが多く、肩の位置と身幅は直しにくく、ウエストの位置は服の設計そのものです。直せる範囲なら、いつ直すかを日付で決めてください。日付が決まらないなら、それは直す予定ではなく保留です。直せない範囲なら、服が今の体に追いついていないというだけのことです。
- Q. 全部出す時間がありません。少しずつでもできますか
- できます。分けるのは日ではなく役割にしてください。今日は「体温を足す役割」だけ、次は「上半身を整える役割」だけ、という区切り方です。日で区切ると、前回どこまでやったかを思い出すところから始まるので、2回目が重くなります。役割で区切れば、その役割の服だけを集めて並べ、線を引いて、終わりです。1つの役割はたいてい20〜30分で片づきます。衣替えの前に2つの役割だけ済ませておくと、仕舞う量がその分だけ減ります。
- Q. 手放すと決めたのに、いつまでも部屋に置いたままになります
- 行き先を決める前に手放す判断をしているからです。判断が終わった服には次の置き場所がないので、いちばん近い床に置かれ、翌週には元のクローゼットへ戻ります。始める前に袋を用意して、それぞれに行き先を書いてください。人に譲る、買い取ってもらう、寄付や店頭での回収に出す、資源回収や処分に出す。この4つのどれかに全部が入ります。あわせて、出す日をカレンダーに先に書いてください。日付のない袋は開ける理由が発生しないので、そのまま部屋の一部になります。
— メグラシ編集部





