メグラシ
着こなす

カジュアルフレンチの服装|力を抜く場所は1か所だけにする

メグラシ編集部//読了 9分
カジュアルな食事の席に向けて、上品さを残しながら一か所だけ力を抜いた装いのイメージ

「カジュアルフレンチ」と案内されている店で迷うのは、どこまで力を抜いていいかです。

抜きすぎると席から外れ、抜かなすぎると店の空気から浮く。この幅は思ったより狭く、しかも抜き方には決まった場所があります

結論|崩せるのは1か所だけ

崩せる場所は3つしかありません。足元・素材・丈です。

そして、同時に崩していいのは1か所だけ。2か所崩すと全体が2段下がり、店に合わせていない装いに見えます。

「カジュアル」という言葉は、3つ全部を抜いていいという意味ではありません。1つ抜いてよいという意味だと考えてください。

崩せる3つの場所

足元:靴の種類、底の厚み、かかとの高さ

素材:織りの粗さ、光の返し方、生地の重さ

:上の丈、下の丈、袖の長さ

この3つ以外は、崩す場所になりません。色を明るくしても、柄を入れても、それは崩しではなく別の軸の話です。装いの段を動かしているのは、この3つだけです。

足元で崩す|いちばん安全で、幅が広い

上半身と丈をそのままにして、靴だけを替える。これが最も扱いやすい崩し方です。

段の動き方はこうなります。

  • つま先が閉じて、かかとに高さのある靴 → 崩していない
  • 甲が見える革の靴 → 半段
  • 底に厚みのある革の靴 → 1段
  • 布や紐で組まれた靴 → 1.5段

1段までに収めてください。1.5段まで行くと、他をどれだけ整えても全体が下がります。

足元の崩しが安全なのは、席に着くと見えなくなるからです。入店から着席までの数十秒だけが判断の対象になり、食事のあいだは効きません。

もう1つの利点は、実用と同じ方向を向いていることです。歩く距離が長い日、雨の日、階段の多い店。どれも足元をゆるめたい条件で、そこに崩しを置けば、我慢する場所がなくなります。

ただし1つだけ注意があります。です。底の厚い靴は、床が硬い店で音が響きます。席の間隔が狭い店では、その音が装いより先に届きます。店の床が板張りだとわかっているなら、底の厚みではなく甲の見え方で崩してください。

素材で崩す|形は変えずに、空気だけ変える

形も丈もそのまま、素材だけを替える崩し方です。

段の動き方は、織りの粗さでほぼ決まります。目の詰まった生地は上、粗い織りは下。同じ形、同じ色でも、織りだけで1段動きます。

もうひとつは光の返し方です。光を吸う素材は上、散らす素材は下。暗い席ではこちらのほうが強く効きます。

素材の崩しが向いているのは、写真に残る日と、同行者の装いが読めない日です。輪郭は整ったままなので、写真では崩したように見えません。それでいて、その場の空気はやわらぎます。

素材で崩すときの確かめ方は簡単です。生地を腕の長さまで離して見てください。その距離で織り目が見えるなら崩しとして効いていて、見えないなら効いていません。近くで見て粗く感じても、離れて見えないなら段は動きません。

素材の崩しには、季節の後押しが要ります。冬に厚みのある素材を選ぶのは自然で、夏に薄い素材を選ぶのも自然です。季節に沿った素材での崩しは、崩しに見えず「その季節らしい選択」に見えます。逆に季節に逆らった素材は、崩し以上の効き方をしてしまいます。

丈で崩す|効きが大きいので、扱いに注意

丈は、1か所だけでも2段動くことがあります。

上の丈を腰より上に切ると1段。下の丈を足首より上に上げるとさらに1段。この2つが重なると2段動くので、丈で崩す日は、上か下のどちらか一方だけにしてください。

袖の長さも丈のうちです。手首が出るまでは崩しに数えませんが、肘が出ると1段動きます。

丈を変える日は、足元と素材の両方をきれいめ側に固定してください。3つのうちいちばん効く場所を使うので、残りに余裕がありません。

2か所崩すと、何が起きるか

いちばんわかりやすいのは、足元と素材を同時に崩したときです。

底の厚い靴に、粗い織りの上半身。1つずつなら「その場に合わせたうえで力を抜いている」ように読めますが、2つ重なると「その場に合わせていない」ように読めます。

読み手が見ているのは、整えた形跡があるかどうかです。1か所崩しには、残る2か所に整えた形跡が残ります。2か所崩すと、その形跡が消えます。

自分で確かめる方法もあります。全身が写る鏡から3歩下がって見てください。3歩の距離は、店に入ったときに他の人から見られる距離とほぼ同じです。この距離で、崩れている場所がいくつ見えるかを数えます。2つ以上見えたら、1つ戻してください。

近づいて見ると、崩しは細かい違いに見えます。離れて見ると、段としてまとまって見えます。判断は離れた距離でする。これだけで、2か所崩しはほとんど防げます。

どうしても2か所動かしたいときは、片方を半段に留めてください。足元を半段(甲が見える革の靴)にして、素材を1段。合計1.5段なら、まだ形跡が残ります。

崩す場所の選び方

条件選ぶ崩し理由
昼の食事足元光が回り、素材の粗さが見えやすい
夜の食事素材照明が落ち、輪郭のほうが見える
写真を撮る素材輪郭が整ったまま空気だけ変わる
長く歩く足元実用と崩しが同じ方向を向く
同行者が読めない素材どちらの段にも寄せられる
席が近い店丈は避ける立ち座りが多く、丈が動きやすい

昼と夜で、崩し方が変わる理由

昼は光が全体に回るので、素材の質感がはっきり見えます。ここで素材を崩すと、崩しが実際より大きく見えます。だから昼は足元です。

夜は照明が落ちるので、見えるのは輪郭です。ここで丈を崩すと輪郭そのものが変わり、効きすぎます。だから夜は素材です。

同じ店、同じ1か所の崩しでも、時間帯で見え方が変わります。予約の時刻が決まったら、崩す場所を選び直してください。

どちらとも取れるとき|崩し方が決まらない日

3つのうちどれを崩すか決まらないなら、足元に固定して、外せる形で上に1枚足すのが最短です。

足元を1段崩して、上半身に外せる一枚を重ねる。店に入って周囲が下の段なら、その一枚を外して足元の崩しを見せます。周囲が上の段なら、着たままにして足元の崩しを隠します。

当日の店内で決められる形にしておけば、事前の判断が外れても取り返せます。

もう1つの決め方は、自分がその日いちばん長くいる場所に合わせることです。食事の前後に別の予定があるなら、そちらに合わせて崩し、店では小物で調整する。食事だけの日なら、店に合わせる。1日のうち店にいる時間が2時間で、それ以外が6時間なら、店に全部を合わせる必要はありません。

崩す場所が決まらない理由の多くは、店の情報が足りないことにあります。その場合は店を読むのをやめて、自分の予定から決めてください。歩くなら足元、写真があるなら素材、どちらもないなら好きなほうで構いません。1か所に絞られていれば、どれを選んでも大きくは外れません。

崩さない2か所を、どう整えるか

崩す場所を1つ決めたら、残る2か所は整える側に固定します。ここを曖昧にすると、崩しが1か所でも全体が下がって見えます。

足元を残した場合:つま先が閉じていて、かかとにわずかでも高さのある靴にしてください。高さは指1本ぶんで十分です。高さがゼロの靴は、それだけで半段下がります。

素材を残した場合:織り目が離れて見えないものを選びます。腕の長さまで離して織り目が見えないなら、整えた側に数えられます。

丈を残した場合:上の丈は腰が隠れるところ、下の丈は足首が見えるか、膝が隠れるか。中途半端な丈はどちらにも寄らず、崩しでも整えでもない見え方になります。

この3つに共通するのは、基準がはっきりしていることです。崩す1か所は感覚で選んでよいのですが、残る2か所は基準どおりに固定してください。基準どおりの2か所があるから、崩した1か所が「意図」に見えます。

気合いが入りすぎたときの外し方

過剰に感じたときの外す順番は決まっています。

  1. 光る小物を1つ外す(半段)
  2. 髪をまとめから下ろす(半段)
  3. 羽織りを外す(1段)

1と2で1段です。ここまでは店に入ってからでもできます。3は一気に動くので、店に入る前に決めてください。

逆に足りないと感じたときは、髪をまとめるのがいちばん速く効きます。首と肩の線が出て、半段から1段上がります。

そもそも気合いが入りすぎたと感じるのは、たいてい崩す場所を決めずに家を出たときです。3か所とも整えると、上に振り切れます。1か所だけでも崩してあれば、この感覚はほとんど起きません。

店に入る前に確かめる方法もあります。入口の前で立ち止まって、中の様子を数秒見る。他の客の足元が見えれば、それだけで段がわかります。見えた段が自分より2段下なら、そこで髪と小物を調整してから入ってください。数秒の観察で、当日の判断は十分に間に合います。

カウンター中心の店では、崩す場所が変わる

席がカウンター中心の店では、足元が見えません。座ってしまえば足は隠れ、判断の対象から外れます。

そのぶん、袖と手元が長く見えます。カウンターの店で崩すなら、素材を選んでください。袖が広がるものや、手元に触れる素材は避けます。

丈の崩しは、カウンターでは避けたほうが無難です。座面が高く、座ったときに丈が大きく動きます。

カウンターでは、荷物の置き場所も変わります。足元に台がない店では、膝に載せるか背もたれにかけるしかありません。膝に載せる大きさなら、装いの一部として見えます。ここも、崩しの数に入れて考えてください。大きくて崩れた形の荷物は、それだけで半段動かします。

席が並ぶ形なので、隣との距離が近いという条件も加わります。香りの強いものや、動くたびに音が出る小物は、席の近さのぶんだけ届きます。カウンター中心の店では、崩しの前にこの2つを確かめてください。

季節で変わるところ、変わらないところ

変わるのは素材の崩し方です。冬は厚みのある素材が自然なので、粗い織りでも崩しに見えにくくなります。夏は薄い素材が自然なので、粗い織りが崩しとして強く出ます。同じ素材でも、季節で半段ずれます。

変わらないのは足元と丈です。この2つは、季節に関係なく同じ段の動き方をします。だから、季節をまたいで同じ判断が使えます。

季節で1つだけ増える条件が、外側の一枚です。冬は上着を着て店に入るので、脱いだあとの状態が本番になります。脱ぐ前提の一枚は崩しに数えません。逆に夏は、上着がないぶん最初から本番の状態で入店します。冬のほうが調整の余地が大きく、夏のほうが事前の精度が要る、と考えてください。

雨の季節は、足元の崩しが自動的に決まります。濡れてもいい靴を選ぶと、たいてい半段から1段崩れます。その場合、素材と丈は動かさないでください。雨の日は崩しの枠を天気に使い切っていると考えるのが正確です。

まとめ|1か所に決めて、あとは固定する

  • 崩せるのは足元・素材・丈の3つだけ
  • 同時に崩すのは1か所。2か所で全体が2段下がる
  • いちばん安全なのは足元。席に着けば見えなくなる
  • 昼は足元、夜は素材。時間帯で効き方が変わる
  • 迷ったら足元に固定して、外せる一枚を上に足す

関連記事

— メグラシ編集部

よくある問い

Q. 「カジュアルフレンチ」と書かれていたら、どこまで力を抜いていいですか
1か所だけです。崩せるのは足元・素材・丈の3つで、そのうち1つを選んでください。3つとも整えると席から浮き、2つ以上崩すと全体が2段下がります。いちばん扱いやすいのは足元です。上半身と丈をそのままにして、甲が見える革の靴や底に厚みのある靴に替えるだけで、全体の力が1段抜けます。
Q. デニムで行っても大丈夫ですか
崩す場所をデニム1か所に絞るなら大丈夫です。色が濃く、裾がほつれていないものを選び、上半身は衿があるか落ち感のあるものにしてください。足元も革の靴に固定します。デニムは素材と丈の両方を同時に動かすので、これ自体が1か所ぶんではなく1.5か所ぶんの崩しになります。だから残りは全部きれいめ側に置いてください。
Q. 2か所崩すと、実際に何が起きますか
全体が2段下がって、店の側ではなく街の側の装いに見えます。1か所の崩しは「その場に合わせたうえで力を抜いている」ように読めますが、2か所になると「その場に合わせていない」ように読めます。境目は明確で、足元と素材を同時に崩したときにいちばん出ます。どうしても2か所動かしたいなら、片方は半分だけにしてください。
Q. 昼と夜で、同じ店でも変えるべきですか
崩す場所を変えてください。昼は光が回るので素材の質感が見え、夜は照明が落ちるので輪郭が見えます。昼に崩すなら素材ではなく足元、夜に崩すなら丈ではなく素材が向いています。同じ1か所でも、時間帯によって崩しの効き方が変わるためです。店の格そのものは、昼と夜でコースの構成が変わるかどうかで判断してください。
Q. 気合いが入りすぎたと感じたら、当日どう外せばいいですか
外す順番は、光る小物、髪、羽織りの3つです。まず光る小物を1つ外すと半段、髪をまとめから下ろすとさらに半段下がります。合わせて1段です。それでも過剰に感じるなら羽織りを外しますが、これは一気に1段動くので、店に入る前に決めてください。逆に足りないと感じたときは、髪をまとめるのがいちばん速く効きます。

— メグラシ編集部

あわせて読みたい

鉄板焼きの服装|熱・油・においの3つで決める

着こなす

鉄板焼きの服装|熱・油・においの3つで決める

目の前で焼く形式の店に行く日の装いを、店の格ではなく「調理面との距離」から決める手順です。膝から60〜80cmの位置に熱源があるため、席が暖かい・正面に細かい油が届く・においが繊維に残る、の3つが同時に起きます。素材ごとの強さ、白い面の置き場所、袖の扱い、帰宅後に戻せるものと戻せないものまでまとめました。

メグラシ編集部読了 9分
バイキングの服装|皿を持って何往復するかで決める

着こなす

バイキングの服装|皿を持って何往復するかで決める

取り分け形式の食事の日の装いを、座っている時間ではなく「立って歩く回数」から決める手順です。1人あたり4〜7往復し、そのあいだ片手はふさがっています。袖口の位置、羽織りの前が留まるか、肩から落ちないバッグ、料理台の高さと干渉しない前身頃。歩く姿と後ろ姿が見られる回数まで整理しました。

メグラシ編集部読了 9分
特別な日のディナーの服装|予約した時刻で、上げる段は決まる

着こなす

特別な日のディナーの服装|予約した時刻で、上げる段は決まる

記念日やクリスマスの時期など、一年でいちばん格が上がる日の外食で、装いをどこまで上げるかを予約した時刻から決める手順です。17時台・18〜19時台・20時以降で店内の顔ぶれが変わり、必要な段が2つ動きます。二部制の見分け方、上げ幅の上限と置き場所、同行者との差、上げすぎたときの戻し方までまとめました。

メグラシ編集部読了 9分
一泊二日の夏旅行の服装|着替えを1セットに絞れるかを先に決める

着こなす

一泊二日の夏旅行の服装|着替えを1セットに絞れるかを先に決める

夏の一泊二日で本当に迷うのは、2日目に何を着るかだけです。着替えを1セットに絞れるかどうかを、屋外にいる時間・移動手段・2日目の予定の格の3つから判定します。1日目に着たものを2日目へ回せる条件、洗って干すか持って帰るかの分かれ目、1.5セットという中間の作り方、バッグの大きさから逆算する順番までまとめました。

メグラシ編集部読了 9分
10月後半の気温と服装|最低気温10度を3日続けて下回ったら、本格的な羽織りに

着こなす

10月後半の気温と服装|最低気温10度を3日続けて下回ったら、本格的な羽織りに

10月後半(21日〜31日)は、中旬までの薄手の羽織りでは足りなくなる方が増える時期です。判定の軸は、最低気温が10度を3日続けて下回ったかどうか。下回っていなければ中旬の延長で、下回っていればコートを基準にした本格的な羽織りへの切り替え時期です。朝晩と日中の差が最も開く時期の組み立て方を整理しました。

メグラシ編集部読了 9分
デート服秋|羽織りの分量と艶の配置で決める、印象の作り方

着こなす

デート服秋|羽織りの分量と艶の配置で決める、印象の作り方

秋のデート服が決まらないのは、気温より先に羽織りの分量を決めていないからです。屋外での行動時間から羽織りの厚みを決め、艶のある素材を顔まわりか手元のどちらに置くかで印象を作る。判定の軸と、屋内外が半々の日の対処、昼と夜で変える色の置き方まで整理しました。

メグラシ編集部読了 9分

"似合う"の輪郭が見えたら、
次は実際に試してみる段階かもしれません。

スタイリストがあなたの骨格・好みをヒアリング、季節に合わせたコーデを毎月お届けします。

まずは無料で試してみる

月額制 / 自宅で試着 / 返却時のクリーニング不要 / 送料込