産後、自分を見失った私が、装いから戻ってきた話

産後3ヶ月、鏡の中の「他人」
産後3ヶ月のある朝、洗面所で歯を磨いていて、鏡の中の自分と目が合った。
そして、私は思わず一歩、後ずさりした。
「これ、誰?」
鏡の中にいるのは、髪を一つにくくった、目の下にクマのある、よれよれのTシャツの女性。それは確かに私の顔の輪郭をしているのに、私が知っている「私」とは、別の人だった。
体型が変わっていた。出産前のサイズの服は、ほとんど着られなくなっていた。髪が抜けて、地肌が透けて見える日もあった。肌は、ホルモンの変化で、産前とは別の質感になっていた。
「お母さんになると、すべてが子のためになる」とは聞いていた。でも、ここまで急速に「自分」が消えていくとは、想像していなかった。
その朝、私は鏡を見ないことに決めた。
「もう、おしゃれは当分諦めよう」
それからの1年、私は同じスウェットばかり着ていた。
着替える時間がない。立ったまま赤ちゃんを抱いていることが多くて、おしゃれより動きやすさ。授乳のたびに服を上げ下げするから、装飾は要らない。家から出ない日も多いから、誰にも見られない。
「もう、おしゃれは当分諦めよう」と、私は自分に何度も言い聞かせていた。それは合理的な判断だった。今は子育てが最優先。装いは、子が大きくなってから、また考えればいい。
そう思いながら、実は私の中で、何かが日々少しずつ消えていた。
朝、鏡を見ずに家を出る日が増えた。買い物に行くときも、ほとんど自分の姿を確認しない。SNSで友人の投稿を見ても、「私はもう、ああいう自分じゃないから」と、画面を閉じる回数が増えていった。
私の中の「私」が、装いと一緒に、ゆっくり消えていく。それは、産後の体の変化よりも、もっと静かで、もっと深い変化だった。
1歳検診の日、別のお母さんを見て
子が1歳になった日、市の保健センターで開かれる検診に行った。
待合室には、同じくらいの月齢の子を抱いたお母さんたちが、たくさん座っていた。みんな疲れた顔をしていた。子育ては大変だ。みんな、同じだ。
その時、私の前にひとり、ベビーカーを押して入ってきたお母さんがいた。彼女も、私と同じくらい疲れた顔をしていた。
でも、私はその人を見て、一瞬、目を奪われた。
何が違うのだろう、と考えて、私はようやく言葉にできた。
装いに「自分」があった。
特別なブランドの服ではない。シンプルなリネンのワンピースに、ベージュのカーディガン、足元はフラットシューズ。それだけ。でも、その人の選んだ色とシルエットが、「これは私らしい装いです」と、静かに語っていた。
待合室の中で、彼女だけが、お母さんでありながら「ひとりの女性」としても、ちゃんとそこにいた。
それを見た瞬間、私は手元に視線を落とした。よれよれのTシャツ、毛玉のついたパンツ、すっぴん。
「私、いつの間にか、ここまで自分を放っていたんだ」
検診の待ち時間、子の頭をなでながら、私は心の中で、初めてその事実を認めた。
「産後の私」に合う装いって、何だろう
帰り道、ベビーカーを押しながら、私はずっと考えていた。
「産後の体に合う装いって、何だろう」。
問題は、いくつもあった。体型がまだ完全に戻らない。授乳もまだ続いている。睡眠不足で、午後にはぐったり疲れる。新しい服を買いに行く時間がない。試着室で何度も服を着替える気力もない。
これまでの服は、もう着られない。じゃあ何を着る?でも、何を選んでいいかわからない。一人で考えても、答えが出ない。
その夜、子が眠ったあと、私はリビングのソファに座って、スマホでメグラシの記事を読んでいた。「産後復職前後の人におすすめ」と書かれた記事。
そこで紹介されていたのが、月一の装い体験のサービスだった。プロのスタイリストに「産後1年、体型変化中、授乳中」と伝えておけば、その私に合う装いが、3着、毎月届く。試着室に行く必要もない。一人で選ぶ必要もない。
半信半疑で、私は申し込みフォームを開いた。
赤い袋を受け取った朝
それから2週間後、玄関のチャイムが鳴った。
宅配便の方から手渡された、鮮やかな赤い袋。私はそれをリビングのテーブルに置いて、しばらく眺めていた。「開けるのが、なんだか怖い」と思っていた。
もしも、中の装いが「私には似合わない」と感じたら。もしも、「もう、私はおしゃれを楽しめない体になった」と確信させられたら。そんな小さな恐れが、私を躊躇させていた。
それでも、ゆっくり袋を開けた。中から取り出した一着一着を、ハンガーに掛けながら、私の手は震えていた。
授乳しやすいデザインの、淡いベージュのワンピース。産後の体型を上品に包んでくれる、シルエットゆるやかなブラウス。足を細く見せてくれる、ストレッチの効いたテーパードパンツ。
3着全部、「今の私の体」に合う装いだった。
そして、3着全部、「私の好きな色とシルエット」だった。
涙が出てきた。
「私のことを、誰かが、ちゃんと考えてくれた」
それは、産後の1年、誰にも理解されていないと感じていた私の心が、少しだけ温められた瞬間だった。
装いが、自分を戻してくれた朝
翌朝、私はそのベージュのワンピースに袖を通した。
子を抱いて鏡の前に立ったとき、私は思わずつぶやいた。
「あ、私がいる」
体型は産前とは違う。肌の調子も完璧ではない。髪も伸びきっていない。それでも、鏡の中にいるのは、確かに「私」だった。
その日から、私は鏡を見ないようにする習慣をやめた。朝、家を出る前に、洗面所の鏡で自分の顔を確認する。お風呂上がりに、姿見で全身を見る。それだけのことが、私の中に少しずつ「自分の輪郭」を戻してくれた。
数週間後、夫から「最近、明るくなったね」と言われた。「うん、装いを変えたから」と答えながら、私は心の中で、もう一つ別の答えをつぶやいた。
「装いが、私を戻してくれたから」
産後の自分にも、装いの優しさを
産後の体は、人生で最も大きく変化する時期です。
その時期の自分に、「もう手抜きでいいや」「おしゃれなんて子育てが終わってから」と言ってしまいがちです。それは、子のためを思う優しい合理性。でも同時に、自分の中の「私」を、少しずつ消していくことでもあります。
産後だからこそ、自分の体と心に優しい装いを、贈ってあげてほしい。
それは「華やかにする」ことでも「以前の体に戻す」ことでもありません。「今の私の体」に「今の私の好きな色とシルエット」を重ねる。たったそれだけで、産後の毎日が少しだけ、自分の側に戻ってきてくれます。
私は、産後1年で消えかけていた「私」を、装いから取り戻すことができました。それは、子育てを諦めることでも、自分を優先することでもありません。「お母さんでありながら、ちゃんとひとりの私でもいる」 という、当たり前のバランスを取り戻すこと。
産後の母にこそ、装いの伴走が必要なのだと、いまの私は思っています。
産後の自分に、月一の装いの贈り物を
産後は、自分のために装いを選ぶ時間も気力もない時期。
エアークローゼットでは、月に一度、プロのスタイリストが選んだ3着が 赤いairClosetの袋 に入って届きます。プロフィールに「産後、授乳中、体型変化中」と伝えれば、その時の自分にやさしい装いが届きます。試着室に行く必要も、一人で選ぶ必要もありません。
産後の毎日に、自分のための小さな贈り物を、月に一度。
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よくある問い
- Q. 産後の装いで気をつけることは?
- 授乳しやすさ、体型変化への対応、肌に優しい素材の3つです。前開きの服、ストレッチが効くもの、綿やシルクなどの自然素材を選ぶと、産後の自分にやさしく寄り添ってくれます。
- Q. 産後の体型の変化、どれくらいで戻る?
- 個人差が大きく、半年から1年以上かけて少しずつ変化します。「戻す」より「今の体に合う装いを選ぶ」発想の方が、産後の自分にやさしいです。
- Q. 子育てが大変で装いを考える余裕がない時は?
- 自分で選ぶ余裕がない時期こそ、プロのスタイリストに任せる選択肢を。月一の装い体験で、産後の自分にやさしい一着が届く仕組みがあります。
— メグラシ編集部





