自分らしさを感じる瞬間の見つけ方|鏡の前ではなく、服を忘れていた時間の長さに出る

「自分らしい装いを見つけましょう」と言われると、鏡の前に立つことになります。そして、似合っているかどうかを確かめようとして、かえって分からなくなる。
けれど、実際に「今日は自分らしかった」と思える日を振り返ってみると、たいてい鏡の前の記憶ではありません。人と話していた時間、道を歩いていた時間、家に帰って座った時間のほうが残っています。
共通しているのは、そのあいだ服のことを考えていなかったということです。
結論:感じる瞬間は、忘れていた時間のなかにある
自分らしさは、鏡の前で確認されるものではなく、服のことを忘れていた時間の長さとして後から分かります。
だから、探しに行かなくて構いません。測ればいいのです。測るのは、その日に服のことを思い出した回数です。
数え方 ── 一日の終わりに、指で数える
帰ってきてから、その日を振り返って数えます。1分で終わります。
数えるのは、次のような場面です。
- 袖や裾を直した
- 座ったあとに服を引っぱった
- 鏡や窓に映った自分を見て気になった
- 写真に写った自分を見て気になった
- 人の服を見て、自分の服を思い出した
鏡を見た回数ではありません。服に意識が戻った回数です。
回数で分かれる3つの帯
| 一日の回数 | その日の状態 | 次にやること |
|---|---|---|
| 0〜2回 | 服が背景になっていた | その日の組み合わせを書き留める |
| 3〜6回 | どこか1か所が気になっていた | 多く直した場所を1つだけ特定する |
| 7回以上 | 場面の条件が重なっていた | 日を比べず、同じ条件の日と比べる |
0〜2回の日は、覚えておく価値があります。うまくいった日ほど記憶に残らないので、意識して書き留めないと消えてしまいます。
書き留めるのは、着たものの名前だけで足ります。上に何を着て、下に何を穿いて、足元は何だったか。3つ書けば、後から思い出せます。写真を撮っておく必要もありません。数字と3語だけのほうが、続きます。
一週間続けると、たいていの人は0〜2回の日を1日か2日は持っています。毎日が3回以上、ということはあまり起きません。少ない日が確かにあると分かるだけでも、探し方が変わります。
回数が増えるのは、3つの場所のどれか
数えた回数を、原因で分けてみると、だいたい3つに収まります。
① 体に当たる場所
袖ぐり、肩、ウエスト、裾。ここが気になる日は、動いたときに服が当たるたび意識が戻ります。
この場合、直すのは服のほうです。1日に3回以上同じ場所を直していたなら、その一着は、その日の動きに対して合わせ方がずれています。形が悪いのではなく、その日の動きに対して、という意味です。
どの場所かが分かると、直し方も決まります。袖を何度も上げ下げしていたなら、その日は腕を使う場面が多かった日です。裾を引っぱっていたなら、座る回数が多かった日です。ウエストを直していたなら、立っている時間と座っている時間が入れ替わる回数が多かった日です。同じ一着でも、予定の形が変われば当たり方が変わります。
② 人の視線
人と会う場面が多い日、はじめて行く場所がある日は、回数が増えます。これは服の問題ではなく、場面の条件です。
対処は、朝の段階で「今日は見られる場面が多い」と分かっていれば、迷いの残らない組み合わせを選んでおくことです。迷いが残ったまま出ると、日中に何度も確かめ直すことになります。
③ 自分の期待
「もっとこう見えるはずだった」という差から意識が戻る場合です。写真を見て気になるのは、たいていこれです。
ここは服を替えても減りません。減るのは、朝に決めた理由を覚えている日です。なぜその一着を選んだかが自分のなかに残っていると、日中に理由を探し直さずに済みます。
理由は立派でなくて構いません。「今日は歩く時間が長いから」「この色の気分だったから」で足ります。言葉になっていることが大事で、内容は問いません。朝に言葉にしていない日ほど、日中に意識が戻ります。
数えた回数を、翌朝に使う
数字は、振り返るためだけのものではありません。翌朝の3分を短くするために使えます。
やり方は1つだけです。前の日にいちばん多く直した場所を思い出して、そこに当たらない一着を選ぶ。
- 昨日いちばん多く直した場所を思い出す(袖・肩・ウエスト・裾のどれか)
- 今日着る候補を2着だけ出す
- その場所に当たりの強いほうを外す
- 残ったほうを着る
3着以上出すと、選ぶこと自体に時間がかかります。2着にしておくと、外す作業が1回で終わります。これを数日続けると、当たりの強い一着が自然に後ろへ下がっていきます。
人に褒められた服を、着られない日があること
「その服いいね」と言われた一着が、なぜかそのあと着づらくなる、ということがあります。
これは好みが変わったからではなく、その一着が背景から前へ出てきてしまったからです。褒められた記憶がついているぶん、着るたびに服のことを思い出します。数えている回数で言えば、その一着だけ回数が上がる状態です。
対処は、しまうことではありません。その一着を、いちばん条件の穏やかな日に着てみることです。人に会う回数が少なく、座っている時間が短い日に何度か着ると、記憶が薄れて、また背景に戻っていきます。褒められた服を手放してしまう前に、置く日を変えてみてください。
秋は回数が増えやすい
9月末から11月は、朝と昼で体感が二段動きます。脱ぐ、羽織る、また脱ぐ。そのたびに服へ意識が戻ります。
減らし方は簡単です。**朝のうちに「今日は何回脱ぐか」を先に決めてしまうことです。**決めておけば、そのたびに考え直す必要がなくなります。
前が開く一枚を基準にしておくと、判断は1回で済みます。かぶるものを脱ぎ着する日は、そのたびに髪や襟元を直すので、回数が二重に増えます。
秋に回数が増えるもうひとつの理由は、手持ちの入れ替え時期と重なることです。夏のあいだ着ていたものと、これから着るものが同じ場所に並んでいると、朝に見比べる対象が増えます。見比べる対象が多いほど、決めきれないまま出る日が増え、日中に意識が戻ります。季節の変わり目は、選ぶ服より先に、並んでいる数を減らすほうが効きます。
| 秋の一日 | 回数が増える場面 | 先に決めておくこと |
|---|---|---|
| 朝の冷え | 出るときに羽織るか | 家を出る時刻の体感で決める |
| 日中の上がり | 脱いだものをどこに置くか | 鞄に入る薄さにしておく |
| 夕方の下がり | 足元が冷えるか | 靴下の厚みを朝に選んでおく |
よくある行き違い
「自分らしさは特別な一着に宿る」 ── 特別な一着を着た日は、むしろ服への意識が増えます。回数が少なかった日を振り返ると、普段から着ているものが入っていることが多くなります。
「似合う色や形が分かれば解決する」 ── 分かると迷いは減りますが、回数が0になるわけではありません。回数を増やしているのは、場面の条件と、朝に決めきれなかった迷いのほうです。似合うかどうかの答えと、過ごしやすさは別々に測ってください。
「回数が多い日は失敗した日」 ── 条件が重なっただけの日があります。人に会う回数が多い日は、誰が着ても増えます。比べるなら、同じような予定の日どうしで比べてください。
装いに活かすなら
一週間だけ、数字を書き留めてみてください。手帳の隅に数字を1つ書くだけで足ります。
週の終わりに並べると、いちばん少なかった日が1日は見つかります。その日に着ていたものを覚えておくと、次に迷ったときの基準になります。基準がひとつあると、次の一週間は数えるのがずっと楽になります。全部を見直す必要はありません。動かすのは、いちばん多く直していた1か所だけで足ります。
自分らしさを感じる瞬間は、そうして服のことを考えずに済む時間が伸びたときに、あとから気づく形でやってきます。
関連記事
よくある問い
- Q. 自分らしさを感じる瞬間は、どうやって見つければいいですか
- その日の終わりに、服のことを思い出した回数を数えてみてください。鏡を見た回数ではなく、袖を直した、裾を引っぱった、写真を見て気になった、といった「服に意識が戻った」回数です。回数が少なかった日が、自分らしく過ごせていた日になります。感じる瞬間を探すより、感じていた時間の長さを測るほうが見つけやすくなります。
- Q. 服のことを考えないほうがいい、という意味ですか
- 選ぶときは考えたほうが決まります。ここで数えているのは、選んだあとの時間です。朝に十分に考えて決めた日は、日中に思い出す回数が減ります。逆に、迷ったまま出た日は、日中に何度も意識が服へ戻ります。考える時間を後ろから前へ移す、という言い方のほうが近いかもしれません。
- Q. 数えてみたら回数が多くて落ち込みました
- 回数の多さは、服の選び方が悪かったという意味ではありません。その日の場面が、服に意識を向けさせる条件を多く含んでいた、という記録です。人に会う回数が多い日、はじめて行く場所がある日、座っている時間が長い日は、誰が着ても回数が増えます。数字はその日の条件を映しているので、日どうしを比べるより、同じような日のなかで比べてください。
- Q. 秋は服のことを考える回数が増える気がします
- 増えやすい時期です。朝と昼で体感が二段動くので、脱ぐ・羽織るの判断が一日に何度も入ります。この回数は減らせます。朝に「今日は何回脱ぐか」を先に決めておくと、そのたびに考え直さずに済みます。前が開く一枚を基準にしておくと、判断そのものが1回で済むようになります。
— メグラシ編集部





